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SUSE、HPEのOpenStackとCloud Foundry事業買収の意図を語る

2017年1月5日(木)
松下 康之
SUSE Open Forum Japan 2016に合わせて来日したSUSEの製品、戦略&アライアンス担当プレジデントにHPEの事業買収の意図や今後の製品の方向性などについて聞いた。

ドイツに本拠を構えるSUSEは、LinuxディストリビューションSUSE Linuxの会社という認識がIT業界の常識であったが、昨年2016年に発表されたHPEのOpenStackとCloudFoundry関連の事業買収によって、単なるLinuxディストリビューションの会社から、より包括的なソリューションを提供する企業に変貌しようとしているようだ。今回、2016年12月9日に行われたSUSEのプライベートイベント、「SUSE Open Furom Japan 2016」に合せて来日した製品、戦略&アライアンス担当プレジデント、マイケル・ミラー(Michael Miller)氏とAPAC担当チーフテクノロジスト、ピーター・リース(Peter Lees)氏にインビューを行った。両氏とは、2014年12月にもインタビューを行っており、約2年ぶりの再会となった。

2年前のインタビューはこちら。

エンタープライズLinuxを目指すSUSE、Red Hatとの違いを強調

HPEの事業買収についてその意図や背景について教えてください。

ミラー氏:創業以来SUSEは、Linuxのディストリビューションを開発しているドイツの会社と思われてきましたが、ここ4、5年は単なるLinuxの会社からもっと包括的かつSoftware-definedなインフラストラクチャーやストレージを提供する企業に生まれ変わったと言っていいでしょう。

NovellがSUSEを買収した時、SUSEは単なる製品ブランドとして扱われていたわけですが、2010年にNovellがAttachmateに買収された際に、SUSEは独立の事業部門としてスピンアウトしました。この時が、SUSEがより総合的なソリューションベンダーとして生まれ変わる大きな転機となりました。そしてAttachmateとMicro Focusの合併の時が、次の転換期となりました。

近年はSoftware-definedなインフラストラクチャーを提供するベンダーとして、いくつかの戦略的な買収を行っています。2016年の11月に行ったCephのストレージ管理フレームワーク、OpenATTICを持つit-novumの買収、そして、今月(2016年12月)のHPEのOpenStackとCloudFoundryの技術と人材の買収です。HPEに関して実際に買収に伴って異動することになる人材の数は公表できませんが、「非常に多くの人材」とだけは言えると思います。特にOpenStackにおいては、これまでのSUSEのOpenStack関連の人材が3倍になることは確実です。またCloud Foundryに関しても、多くの貢献ができるようになると言っておきましょう。

Linuxディストリビューションの会社から総合的なソリューションベンダーと転換してきた結果、ビジネスも変わりつつあります。実際、すでにヨーロッパでの売り上げを北米での売り上げが超えているのです。

OSとSoftware-defined Storageに加えてプライベートクラウド、そしてPaaSをポートフォリオに加えたわけですが、まだ欠けているところは何でしょうか?

ミラー氏:Container-as-a-Service(CaaS)ですね。それを実現するための重要なコンポーネントであるKubernatesには、大きな投資をしています。またOpenStackの上で動くコンテナも重要だと考えています。多くの人がPaaSとCaaSを白と黒の問題、つまりどちらか一方だけになると考えているようですが、私はそうではなく2つが補完しあう、もしくは融合していくとみています。そういう意味で、PaaSとCaaSはSUSEにとって必要なピースということです。

Cloud Foundryのオフィスに行くとExtreme Programing、具体的にはペアプログラミングを行って開発をしていますが、SUSEもHPEのCloud Foundryに関わる人材を吸収するとなると、そのスタイルを続けることになるのですか?

リース氏:実際に我々の開発チームのオフィスを見れば、2名から4名の小さな単位で開発をしているのがわかると思います。我々も以前からアジャイルなスタイルで開発を行っていましたから、Cloud Foundryの人材が入ってきたとしてもあまり変化はないとは思いますね。

この先、SUSEとして注力していきたい製品の方向はなんですか?

ミラー氏:我々の顧客はそれぞれのレイヤー、例えばOS、ネットワーク、ストレージなどを個別に管理するのではなく、包括的に管理したいと思っているのです。11月のOpenATTIC買収は一つの例ですが、それ以外にも今後の買収戦略として拡げていくことになるでしょう。コンテナ、オーケストレーション、それに包括的なマネージメント機能、それが近い将来の方向性と言って良いと思います。また同時に、これまでIBMのSystem ZとSAP HANAのプラットフォームという面が強かったSUSEですが、これからはx86サーバーについても強力に推進していくつもりです。特にミッションクリティカルなシステムを、SUSE Linuxが持つ優れた機能で実現していく予定です。ゴールとしては、インテルベースのサーバーの20~25%のシェアを取りたいと考えています。

Red HatもOpenShiftでKubernatesに大きな投資をしています。Red HatとSUSEはOSやOpenStackという部分では競合ということになりますが、Kubernatesの開発という部分では問題はないのでしょうか?

リース氏:Welcome to Open-source world!!!(オープンソースの世界へようこそ!)いや、我々はRed Hatとも協力してKubernatesを開発していますよ。

ミラー氏:一つの例を挙げましょう。LinuxカーネルにLive Kernel Patchingという機能があります。これについて我々は、Red Hatと協力してコードを書いています。SUSEの考える方式とRed Hatの考える方式、それぞれの良さについて議論をし、一緒に開発を行っています。またKubernatesについても、同じように働いています。

リース氏:オープンソースソフトウェアのプログラマーにとって何よりも大事なのは、ソフトウェアそのもの、次がそれを使う顧客、最後は給料を払ってくれる会社、という優先順位だと思います(笑)。なのでエンジニアリングの部門は、常に協力しあっています。セールスとマーケティングは戦っていたとしても(笑)。

2年前と同様に非常にストレートに、時にジョークを交えて質問に答えてくれたミラー氏とリース氏だった。今回のインタビューには、シアトルオフィスのグローバルアライアンス担当のVP、フィリップ・コックレル氏、上海オフィスのAPAC&Japan担当のVP、アンデイ・ジアン氏も同席し、SUSEがこのイベントにかける思いの強さを知った感じだ。

一方、前回のインタビューに同席した日本法人のマーケティング担当者はもう在籍していないようで、別の担当者が同席した。日本法人の名刺には未だにAttachmate、NetIQ、Novell、SUSEのロゴが並んでいるし、メールアドレスもsuse.comとmicrofocus.comが混在している。日本でのビジネスを拡大するためには、ブランディングの統一、担当者をすぐにすげ替えない、コミュニティ向けの地道な活動などやるべきことは多い。SUSEにとってポートフォリオを拡げることも重要だが、日本市場に向けた継続的な努力も期待したい。

左からリース氏、ミラー氏、ジアン氏、コックレル氏

左からリース氏、ミラー氏、ジアン氏、コックレル氏

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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