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人を動かす“言葉のひとひねり”は雑談で鍛えよう

2017年4月13日(木)
大倉 利晴(おおくら・としはる)三好 康之(みよし・やすゆき)

はじめに

社会人になると、交渉事でお客さんを説得したり、上司や会社に新企画を提案したりと、“人を動かす”ことが必要なシーンに直面しますよね。“マネジメント”なんかも、まさに人を動かすことです。

人を動かすというと、どこか偉そうに映りますが、“人にお願いして動いてもらう”とか“助けてもらう”と意味合いを含めると、新入社員や若手エンジニアの皆さんにも必要なことかなと思います。

皆さんは、上手に人を動かしていますか。あるいは、誰かに依頼した事は気持ちよく聞いてもらっていますか。

世の中には、そのあたりを得意としている人がいます。いわゆる“お願い上手”です。皆さんの周りにもいませんか。「なんか、あいつに頼まれると嫌とは言えないんだよな」という人。時に自分と比較して羨ましく思うようなこともありますよね。

では、そういう人たちはどうやってお願い上手になったのでしょうか。それは、雑談で練習しているからなのです。

ラジオショッピングをご存知ですか?

私は今、あるラジオ局で“ラジオショッピング”の原稿を書いています。ラジオショッピングは“ラジオ”での通販番組です。この話をすると「えっ!? 品物を見ないで買うの?」とよく驚かれるのですが、実はこれ、とても好評なのです! よく売れているんですよね。

ラジオショッピングでは、視聴者へ言葉だけで正確かつ簡潔に商品の情報を伝えるように注意しなければなりませんが、それだけでは足りません。そこに“買おう!”と思わせるあと一押しの言葉が必要になります。そのあと一押しの言葉の良し悪しで売れ方も大きく変わってくるので、本当に重要なのです。ある意味、人を動かす魔法の調味料のようなものと言っても過言ではないでしょう。私は、それを“人を動かすための最後のひとひねり”と呼んで特に力を入れて考えています。

誘い上手なMプロデューサの話

人を動かすことが上手な人は、普段の声掛けでも「粋な一言」を付け加えて人の心を動かします。テレビ局のMプロデューサの誘い方は、本当におしゃれでした。

ある日の夜、打ち合わせが終わり、六本木のビルを出た時です。Mプロデューサが「大倉ちゃんは、夜に炭水化物は摂らない?」と聞いてきました。私は“面白いこと聞くなぁ”と思いつつ、「そんなことないですよ。食べますよ」と答えました。すると「じゃあ、近くの蕎麦屋で食べて行かない?」と誘われたのです。実はこれ、食事のお誘いだったのです。

見事な誘い上手でしょ。言われた私も見事な誘われ上手になりました(笑)。最初に一言付け加えただけですが、それで“いきなり”ではなくなったんですよね。

さらに、お蕎麦屋さんに向かう車中の会話でも「Mさんもよく行く店で……」と、Mさんの話を始めました。Mさんは有名な俳優で、Mプロデューサとはプライベートでも親交がある“相棒”的な存在です。

Mプロデューサ:「Mさんはいつもざるそばを食べた後、蕎麦がきぜんざいを食べるんだよ」
:「そうなんですか。私も蕎麦がきぜんざい大好きなんです!」

この話だけで、私はもうお腹はペコペコです。頭の中はざるそばと蕎麦がきぜんざいでいっぱいになり、注文もこれで決まりました。

:「蕎麦がきぜんざいも食べます!」
Mプロデューサ:「良いんじゃない!」

そんな会話を交わした、その後です。ちょっと間があって、

Mプロデューサ:「あれ!? 大倉ちゃん、今日何曜日だっけ?」
:「月曜日ですけど」
Mプロデューサ:「あっ、そうか……。月曜日は定休日だった。せっかく誘ったのに、また今度でいいかな?」
:「はい、次の楽しみにします!」

でも、そこで話が終わらないのが誘い上手なMプロデューサ。「ちょっと遠回りになるけど、麻布十番の蕎麦屋でも良いかな? そこも旨いから。ただ、蕎麦がきがなくてごめんね」と続けます。何かあった時のために、次にどうしたら良いかをちゃんと考えているって、さすがだなあと思いました。

ちなみに、麻布十番のお蕎麦屋さんは、大晦日のニュースで年越しそばの中継で登場する名店です。その日はそこで十割そばを頂きました。その帰り道、私はMプロデューサの一言を付け加える相手想いの誘い方は、お蕎麦と同じで“十割だ!”と思ったものです。

人を動かすちょっとした一言の重要性

このように、ラジオショッピングで重要な“最後の一押し”、すなわち人を動かすちょっとした一言は、普段の会話で磨かれていくのだと思います。それは決して難しい言葉ではなく、相手を想う気持ちから自然に出てくる言葉なのかもしれません。

私が親しくしているSアナウンサーも毎日生放送でラジオショピングを担当していますが、同じようなことを言っていました。Sアナウンサーも、いつも相手に伝えたいあと一言を足して商品を紹介しているそうです。

その人を動かすあと一言とは具体的にどのような言葉なのかは、是非、ラジオショッピングを聴いてみてください。

【解説】ビジネススキルとしての“雑談力”(三好)

今回はラジオショッピングを題材に“人を動かすちょっとした一言”というテーマでしたが、いくつも共感するところがありました。

1つ目は、「お願い上手な人は雑談も上手だ」ということ。これは小さな頃からの試行錯誤の積み重ねなんですよね。営業や企画などが飲み屋や喫煙コーナーで決まるというのも、まさにこういうことです。“雑談が重要だ”という最大の根拠だと思います。

2つ目は、それが“相手への思いやり”から発せられる言葉だということ。だからこそ嫌な気にならず、頼まれてもついついニヤけてしまうのでしょう。僕自身も誰かに何かを頼まれた時、僕のことをどれだけ考えてくれているのか? という点を見ます。同じことを頼まれても、それで“Yes”と“No”を使い分けています。

そして3つ目。これは僕が実施している情報処理技術者試験の論文(高度系の午後Ⅱ試験)にも如実に表れていることだよなと。4月16日に春の試験がありますが、合格論文への近道は“相手のことを考えながら書く”ことです。採点者が何を知りたいのかをよく考えて書いている人は、「この論文を読む人(採点者)は、私のこともここに書く事例も何も知らないわけだから、丁寧に筋道立てて説明しないといけないよな」と考えるのです。その結果、事前情報が皆無の採点者にも、そのプロジェクトの情景が目に浮かぶようなわかりやすい説明ができるのです。毎回数百本の論文を添削しているからこそわかるのですが、論文試験に合格できない人の最大の要因は「よくわからない」というものです。情報不足で伝わっていないんですね。いくら知識や経験が豊富でも、相手のことを考えずに普段接している人たち(過去を共有している人たち)と同じように話をしていれば、ひいては論文試験にも合格できないことになります。

マネジメントとは人を動かすことで、歳を重ねるごとに、それが主要な仕事になります。あるいは仕事だけではなく、家庭でも地域社会でも、あらゆるところで必要になってくるコンピテンシーです。その練習は雑談でしかできないということを再認識しました。

今からでも遅くはありません。雑談上手のお願い上手を目指しましょう。どこにひとひねりがあるのか、ラジオショッピングを聴くのもよし、論文試験に挑戦するのもよし、大倉さんのラジオショッピングをテーマにした“人を動かすちょっとした一言”講座を受講するもよし。練習しなければできないのは当たり前。ちゃんと練習すれば、できるようになりますよ!

著者
大倉 利晴(おおくら・としはる)
フリーの放送作家。過去に萩本欽一氏に師事していた経歴を持つ大御所。テレビ・ラジオの企画構成をはじめ、ラジオのパーソナリティ、テレビ出演、講演、作詞などを行っている。主な構成番組は「欽ちゃんのどこまでやるの」「オレたちひょうきん族」「笑っていいとも」「クイズ100人に聞きました」他多数。他に「M-1グランプリ」の予備審査員なども務める。
著者
三好 康之(みよし・やすゆき)
株式会社エムズネット代表

IT 関連企業又は、企業の情報処理部門専門コンサルタント。加えて、大手SE 向けの資格取得講座や階層教育を担当。高度情報処理技術者試験対策講座では驚異の合格率を誇る。情報処理全区分制覇他資格多数。『情報処理教科書プロジェクトマネージャ』(翔泳社)など著書も多数。全国の優秀なITエンジニアを参画するプロフェッショナル集団、ITのプロ46代表も務める。
e-mail:miyoshi@msnet.jp
URL:www.msnet.jp

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