「自己紹介」はコミュニケーションの基本!

2016年12月14日(水)
大倉 利晴(おおくら・としはる)三好 康之(みよし・やすゆき)

はじめまして、大倉利晴でございます

はじめまして。連載2回目にしてようやく登場の大倉利晴でございます。雑談が上手くなる方法ですか? そんな無茶ぶり(第1回の最後を参照)を(笑)。

では……そうですね。最初の“雑談”は、やはり私の自己紹介から始めましょう。この連載は、IT業界の方々にお読みいただいていることが多いと思いますが、私は、IT業界とは異業種の芸能界で放送作家という仕事をしております。

放送作家と言っても、IT業界で働いている皆さんには馴染みが薄いかもしれません。実際、「放送作家ってどんなお仕事ですか?」と聞かれることもあります。そんな時、私はこう答えています。

「放送作家は、主にテレビやラジオの番組の企画や構成をして、台本を書き、スタッフ・出演者と一緒に、皆さんに喜んで頂ける番組を創る仕事です。番組のタイトルなんかも考えるんですよ」と。

そうすると、多くの場合「番組のタイトルも考えるんですか?」って聞き返されます。それに対して、私は「はい!私、タイトルも考えるのが大好きなんです」と応えます。実は、この連載のタイトル“ザッツ談 閑話Q?題”も、“閑話休題”にかけて、「これだ!」と閃いたのです。

また、“芸能界”というキーワードを入れると、早速、私の名前をネットで検索される方もいらっしゃるかもしれませんね。Wikipediaでは“日本の放送作家”として載っているのですが、いろいろなことが書かれています。どなたが書いてくれたのでしょう? ご覧いただければ私のこと、少しはお解りいただけると思います。ほぼ正しい情報ですが、“ほぼ”ですから100%ではありません。7掛け8掛けくらいでご理解いただければと思います。

もう少しネットで見てみると、“脚本家”として掲載されているページもあります。私は放送作家で、一度も自分を「脚本家です」と自己紹介したことはありませんが……言われてみれば確かに日本脚本家連盟に加入していますので、「脚本家」と載せていただけるのはありがたいことだと思っています。

さらにいろいろ見ていると、もうひとつ別の肩書きを発見しました。この時ばかりは「私はそういう職業だったのか?」と驚いてしまいました。というのも、そこには「大倉利晴エッセイスト」と書かれていたからです。

……私はエッセイストなんですね。まぁ、今回のこの連載もエッセイのようなものかもしれませんね。ということで、改めてご挨拶させていただきます。

「はじめまして!
エッセイスト(?)の大倉利晴でございます(笑)!」

【解説】ビジネススキルとしての“雑談力”(三好)

トークの“プロ”である大倉さんの話を聞いて、それを“分析する”というのは本当におこがましいのですが、大倉さんからのリクエストということで、解説させていただきます。

自分の話をする

初対面の会話は、多くの場合自己紹介から始まります。人は最初の数分の会話、すなわち“ファーストコンタクト”で相手を評価します。いわゆる“第一印象”ですね。でも、その第一印象だけで今後一緒に居たいかどうかが決まるという説もあります。第一印象は、それぐらい重要なのです。

自己紹介というのは、当たり前ですが“自分のことを話す”ことです。自分のことをちゃんと話せますか? 他人の話ばかりしていませんか? 他人のことを話すのは楽ですからね。褒めて賞賛しているならまだ良いのですが……。

自分のことをしっかりと話せるようになるのは、コミュニケーションの基本であり、人間関係形成の要になります。“自慢”になったり、“嫌味”になったりするケースも多いので注意が必要です。“マウンテン女子”という造語もできたみたいで、聞く側の捉え方も高度になっていますからね。

そういう意味で、自分のことを嫌味なく話せるというのは“雑談”における話題の基本だと考えてください。

自己紹介で長時間話す!

私が大倉さんのお話しで「さすがだな」と思ったのは、“自己紹介”というお題、すなわち“自分の話”で、いくらでも話が膨らませられるということ。

自分に付けられた多くのイメージの全てで話ができる。放送作家という仕事を中心に、脚本家やエッセイストなど似通った仕事についても話を膨らませることができる。我々の場合だとSEやPG、テクニカルエンジニアの違いでしょうか。なかなか面白おかしくすることは難しいかもしれませんが、職業について長く話せるというのは強みだと思います。短くすることは比較的簡単ですからね。

この“自分のことを長く話せる”という強みは、特に会話する相手が口下手だったり、緊張したりしている場合にすごく喜ばれます。いわゆる“好感度アップ”につながる可能性が高くなるわけです。一見すると“独り語り”のように見えても、こと口下手の人や緊張している人にとっては、自分が無理に話さなくてもいいので、すごく心地良かったりしますからね。

初デートの時なんかは鉄板です。会話がキャッチボールになって盛り上がってくるまでは、静かに淡々と自分のことを“独り語り”するというのも、大きな武器になるのです。ほら、相手が心を開かない時なんかにも、よくやっていますよね。

会話が続くように“ひとひねり”を入れる

あとは“ひねり”ですかね。大倉さんは“ひとひねり”という言葉をよく口にします。会話にも“ひとひねり”を入れるとキャッチボールができると。

例えば、今回の自己紹介の最初の部分でも、放送作家という仕事を説明した最後に「番組のタイトルなんかも考えるんですよ」という一言を付け足していますよね。これは、相手に“?(ハテナ)”と思わせて質問してくれることを期待する一言なんですよね。この一言があると、多くの場合「え?そうなんですか?」と思わず聞いてしまう。

会話を続けるために「?」と疑問に思わせて、「そうなんですか?」と聞き返してもらうことを期待した“ひとひねり”を入れているんです。今回は途中でカットしましたが、この後に「タイトル」というキーワードで“雑談”を続けることも可能になります。

どのような内容を入れると“ひとひねり”になるのか、それには試行錯誤しなければなりませんが、原則は“相手の驚きそうな内容”になります。なので、相手の状況を十分に把握したうえで考えるようにしましょう。四六時中考えていれば、普通に鍛えられるはずですからね。

Wikipediaに載っているのは強い!

すぐにどうこうできるものでもありませんが、やっぱり今の時代、Wikipediaに自分の名前が載っていて語られているというのは強いですよね。もちろん悪いことで載るのはダメですよ。そこは新聞と同じです。

“雑談”という観点から考えても、そこから派生できる話題はすごく多いと思います。大倉さんの言うように合っていることもあれば嘘や間違ったことも書いてありますが、雑談ならばいろいろなパターンにつなげられますからね。

ですから、長期的視点に立って「Wikipediaに掲載されるような人物になろう!」というのを目指すのもいいですよね。目指す過程そのものも馬鹿らしくて面白いと思いませんか。

たかが自己紹介、されど自己紹介。自分の話をするという……ただそれだけの話なのですが、“雑談する”ことを前提に考えれば、これがどれだけ重要なことか気付くと思います。会話下手だという人は、まずは自分のことを言葉に出せるように考えてみてはいかがでしょうか。

次回は、プロジェクトマネージャや上司がしなければならない“職場での声かけ”について大倉さんに聞いてみましょう。いろいろな状況によって“声かけ”も変わりますからね。お楽しみに!

著者
大倉 利晴(おおくら・としはる)
フリーの放送作家。過去に萩本欽一氏に師事していた経歴を持つ大御所。テレビ・ラジオの企画構成をはじめ、ラジオのパーソナリティ、テレビ出演、講演、作詞などを行っている。主な構成番組は「欽ちゃんのどこまでやるの」「オレたちひょうきん族」「笑っていいとも」「クイズ100人に聞きました」他多数。他に「M-1グランプリ」の予備審査員なども務める。
著者
三好 康之(みよし・やすゆき)
株式会社エムズネット代表

IT 関連企業又は、企業の情報処理部門専門コンサルタント。加えて、大手SE 向けの資格取得講座や階層教育を担当。高度情報処理技術者試験対策講座では驚異の合格率を誇る。情報処理全区分制覇他資格多数。『情報処理教科書プロジェクトマネージャ』(翔泳社)など著書も多数。全国の優秀なITエンジニアを参画するプロフェッショナル集団、ITのプロ46代表も務める。
e-mail:miyoshi@msnet.jp
URL:www.msnet.jp

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