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いろいろな“声かけ”をしてみよう!

2017年1月31日(火)
大倉 利晴(おおくら・としはる)三好 康之(みよし・やすゆき)

はじめに

前回は職場での声かけとして、仕事で必要のない“ちょっとした雑談”について紹介しましたが、実はまだもう1つ聞いてほしいことがあります。“残業で頑張っている部下に対する声かけ”です。仕事で必要な声かけでは、特に“タイミングが命”です。

芸能界で言う“間”(ま)ですね。

0.01秒でもタイミングがずれたら仕事の邪魔になってしまいますし、シラ~とした空気になってしまうかもしれませんからね。空気を読んで、絶好のタイミングでやらないといけないんです。だから、それを考えだすとものすごく難しいと思いますよ。

なので、「タイミングが難しいな」という場合は、思い切って“声かけをしない”というのも1つの手です。

今お読みいただいているあなたは「えっ?!」と思ったかもしれません。「なんだそれは? 前回の話と違うじゃないか!」と。

声かけしないという声かけ

少し言葉が足りなかったかもしれませんね。正しくは“第一声では声かけをしない”ということです。

最初は声かけでなく独り言から入ります。部下にギリギリ聞こえるぐらいの小さめの声で「あれっ! 気が付かなかったなあ。もう8時だよ。どうりでお腹が空くわけだ」という感じの独り言をつぶやくんです。

そうすれば、何かしらの反応があるはずです。本当に忙しくて迷惑ならスルーされるし、タイミングが合っていればその独り言に乗ってくるだろうし。で、乗ってくればもうけもの。そこから会話が始まります。

これが、ちょっとした「ひとひねり」なんですね。

本音を探る声かけ

頑張っている部下に声かけしようと思ったら、こんな“ひとひねり”を入れちゃうのも有効ですよ。

「○○さ~ん! 遅くまで頑張ったね」

頑張っている部下に「○○さ~ん!遅くまで頑張ってるね」と言うと普通ですよね。しかも、受け取り方によっては「まだまだこれからだよね。頑張って残業しようよ!」と言っていると思われてしまうかもしれません。

それに対して「遅くまで頑張ったね」と言われると、(え? そろそろ終わりってこと?)とも取れるため、「ありがとうございます。もうちょっとで切り上げます」とか「今日はここまでにします」というような答えが返ってくる可能性が高くなると思います。

このちょっとした言い方の違いで本音がわかる、すなわち部下の仕事のペースや疲れ具合が分かる“探る声かけ”になるんですね。まさに言い方ひとつで全然印象が変わってくるんです。

応用編「独り言からの……探り」の声かけ

どこか元気のない部下に対する声かけなら、こんな感じでやってみるのもいいと思いますよ。

「気圧のせいかなあ。なんか疲れてる気がするなあ」という独り言を言ったあとに、「○○さん、気圧に敏感な方?」という感じで“探りの声かけ”を続けるんですよ。「はい」と返事があったら、「一緒だね。お互い無理しないようにしよう」と同じ目線での会話で励ますことができます。仮に「いいえ」と言われても、「あっそう。良かったよ」と返せば、そこで違和感なく話題を終えることができます。

でも、実はどちらの答えが返ってきても、この後こんな“ザッツ談”につなげていけるんですよね。

「そういえばさ、この前テレビの特集を観てたら、IT業界のようにパソコンを使うデスクワークの仕事では、ストレートネックになりやすいから気を付けようって言っていたけど、私は大丈夫かな。○○さんはどう? おっ! いいS字カーブの頸椎だね」

いかがでしょうか? こんな感じで、さりげない“ヨイショ”につなげていけば、元気を与えることができるかもしれません。

究極編「大好きなあの人を誘う」声かけ

「大好きな人と食事に行きたい!」と考えた時に、どう誘うか……絶対に断られない声かけも教えてほしい? これはまた難問ですね。

ただ、今回は文量的にここまでのようなので、次回と言うことで。あまり期待されるのもあれなのですが、少しだけなら期待してもらってもいいかな? (少しだけ)乞うご期待!

【解説】ビジネススキルとしての“雑談力”(三好)

大倉さん、ありがとうございます。ここからは三好の解説になります。大倉さんの話を聞いて、マネジメントの視点から見ていきます。

部下ファーストの重要性

大倉さんの声かけは、最近流行りの言葉で例えると“部下ファースト”なんですよね。相手のことを最優先に考えて声をかけることで、“本音”や“真の状況”を把握できるのです。この本質を探るための声かけはマネージャや上司にとって現状を正確に見極めるために、本当に大切なことなんです。

“プロジェクトマネジメントのあるべき姿”としても出てきますよね。部下に「どうなってるんだ!」と問い詰めるばかりでは、部下も本当の状況を言わなくなる。「少々の遅れだ」と隠すようになり、いよいよどうしようもなくなった時に「実は、もう無理です」と白旗を上げる。そうなれば、取り返すことも難しくなります。

でも、そう仕向けているのは、たいてい上司ですからね。

そもそも、立場が上の人から話しかけられたら、愛想笑いをしながらでも不快感を与えないように会話を返さないといけないと思いますよね。上司は気を遣わずに部下が気を遣う。よく見かることですが、最悪の状況です。実際に作業をして成果を出さないといけない部下に気も遣わせる……はっきり言って、その時点で上司失格です。

生産性が最大になるように配慮するのが上司の役割。そのためには、良い感じに“乗せ”ていかないといけないんです。乗っている時に流れを遮ったり、やる気になっている時にそれをへし折ったり。「上司のために仕事をして、上司の気分を損ねないように話し相手になる」というのは、絶対におかしいですからね。

単に部下への思いやりというだけでなく、プロジェクトを成功させるためにも“部下ファースト”の声かけは重要なのです。

部下を成長させる上司

弱音を吐く、悩み事を部下に相談する、隙がある、緩い……今、そんな上司たちが愛される時代だということをご存知ですか?

もちろん、単なる“ダメ上司”ではなく、知識やスキルが豊富だったり、凄い実績を出していたり、尊敬できる側面があったりすることが前提ですが、そういう上司は部下の自己肯定感を育む優秀な上司なんです。

大倉さんの声かけの中で「同じ目線」というのがありましたよね。尊敬する上司が雲の上の人ではなく、自分と同じようなことを考えているとわかるだけでも安心できたりするんです。些細なことでも「私と同じなんだ」と思えたら、自分を認めてあげることになるんですね。

相手のための“ヨイショ”

そして、大倉さんの代名詞の“ヨイショ”です。この“ヨイショ”は本当に効果的な声かけですよね。

実は“ヨイショ”には“グッド・ヨイショ”と“バッド・ヨイショ”があるんです(by三好語録)。もちろん今回は前者です。これは「落ち込んでいる相手の気持ちを少しでも上げたい」という思いから生まれる“思いやりのヨイショ”です。心が温まり、それを聞いた誰もが癒されるので、上司の立場になったら声かけでさりげなく使えるようになりたいですよね。

ちなみに“バッド・ヨイショ”とは自分の利益のためにするヨイショ。一般的には“ごますり”と揶揄される“いやらしいヨイショ”です。その言葉の裏って、案外見透かされますからね。

たかが雑談、されど雑談。こうした声かけ1つで生産性も変わってくるし、現状を正確に把握できて問題の早期発見、早期対応も可能になります。すなわち“雑談がプロジェクトの成否も左右する”……そう考えると奥が深いですよね。

著者
大倉 利晴(おおくら・としはる)
フリーの放送作家。過去に萩本欽一氏に師事していた経歴を持つ大御所。テレビ・ラジオの企画構成をはじめ、ラジオのパーソナリティ、テレビ出演、講演、作詞などを行っている。主な構成番組は「欽ちゃんのどこまでやるの」「オレたちひょうきん族」「笑っていいとも」「クイズ100人に聞きました」他多数。他に「M-1グランプリ」の予備審査員なども務める。
著者
三好 康之(みよし・やすゆき)
株式会社エムズネット代表

IT 関連企業又は、企業の情報処理部門専門コンサルタント。加えて、大手SE 向けの資格取得講座や階層教育を担当。高度情報処理技術者試験対策講座では驚異の合格率を誇る。情報処理全区分制覇他資格多数。『情報処理教科書プロジェクトマネージャ』(翔泳社)など著書も多数。全国の優秀なITエンジニアを参画するプロフェッショナル集団、ITのプロ46代表も務める。
e-mail:miyoshi@msnet.jp
URL:www.msnet.jp

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