Web 2.0の性能を検証する
Web 2.0の性能検証をサポートするHPのソリューション(1)
HPでは、「HP Performance Center」ソリューションによって、AjaxやFlexなど、Web 2.0アプリケーションの性能検証に必要な機能を提供しています。同ソリューションの中核となるのは、世界で68%のマーケット・シェア(Yankee Group:2007年)を持つ負荷テスト・ツール「HP LoadRunner software」(以下、LoadRunner)です。
LoadRunnerは、数百から数十万におよぶ仮想ユーザーをソフトウエア的に作り出し、テストを必要とする重要なビジネス・プロセスにアクセスさせて、そのときのシステムの振る舞いをモニターします(図3)。
何らかの性能問題が発見された場合や期待したパフォーマンスが得られなかった場合は、LoadRunnerが提供する豊富な分析機能により、その原因を追及します。「HP Diagnostics software」と一緒に使うことによって、J2EEや.NETアプリケーションの複雑な性能問題をSQLレベルまでブレーク・ダウンして診断し、性能のボトルネックを素早く特定することができます。
Web 2.0の性能検証をサポートするHPのソリューション(2)
LoadRunnerの仕組み
- “仮想ユーザー・ジェネレータ”モジュールを使って、テストしたいビジネス・プロセスを記録し、テスト・スクリプトを作成します。
- “コントローラ”モジュールを使って、テスト・スクリプトに対して、アクセスする仮想ユーザー数、アクセスの仕方(いつ始めるか、どれくらい続けるか、どのようにアクセスするか、など)、テスト・シナリオを指定して、テストを開始します。
- コントローラから指令を受けた“負荷ジェネレータ”モジュールが、仮想ユーザーを生成して、ビジネス・プロセスにアクセスします。
- 負荷テスト中のシステムに関するデータは、“各種モニター”モジュールによってコントローラに集められます。
- テストが終わったら、収集したデータを“アナリシス”モジュールで分析します。
LoadRunnerの特長
使いやすいインタフェースでスクリプト作成を効率化
負荷テストの工数の実に80%は、テスト・スクリプトの作成にかかる、と言われています。テスト・スクリプトの作成は、技術的に難しい作業ではありませんが、数が多いため時間がかかります。LoadRunnerの仮想ユーザー・ジェネレータは、スクリプト作成の時間を短縮します。
深い分析を支えるグラフや分析機能
テスト結果の分析には、人手はいりませんが、高い専門知識と分析力を必要とします。ここで、LoadRunnerは、アナリシス・モジュールが、レポート機能や分析機能を提供しており、分析にかかる時間を短縮します。
幅広いアプリケーション環境をサポート
LoadRunnerは、Webだけでなくレガシー・システム、ERP/CRMなどさまざまな環境をサポートしており、複雑な現在の企業ITシステムにおいても、異なる環境をくし刺しにして負荷テストを行うことができます。
Web 2.0のサポート
LoadRunnerは、Web 2.0アプリケーションの主流であるAjax(Click & Script)プロトコルとAMF(Action Message Format)プロトコルをサポートしています。
Click & Scriptプロトコルは、クライアント・サーバー間のトラフィックだけでなくGUIレベル(ユーザー操作)のやりとりを記録するものです。これにより、Ajaxのコントロール・レベルのAPIを生成できるとともに、パラメータの変更を容易に行うことができます。またAMFは、Adobe Flexの標準プロトコルです。
また、LoadRunnerでは、ASP.NET AJAX、script.aculo.us、Google Web Toolkitなどのフレームワークをサポートしているほか、ほかのAjaxフレームワークをサポートするようにAPIをカスタマイズすることもできます。
以上、Ajaxを例に、Web 2.0アプリケーションの性能検証とLoadRunnerの機能について説明しました。最終回となる次回は「Agile開発」について解説します。