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連載 :
  インタビュー

Qt、Automotive Grade Linuxのユーザーインターフェースとして3Dは更に拡大すると語る

2017年7月6日(木)
松下 康之
フィンランドに本社をおくクロスプラットフォームのアプリケーション開発フレームワークQtのプロダクトマネージャーにインタビューを実施。自動車の車載インフォテインメントシステムに使われる3Dシステムは拡大すると解説。

「Open Source Summit Japan 2017(旧称LinuxCon)」と併催されたLinuxの車載向けシステムであるAutomotive Grade Linuxに関するカンファレンス「Automotive Linux Summit 2017」。今年は目白の椿山荘から有明に移して行われた。

今回はその中から車載向けインフォテイメントシステムのGUIの開発に使われるフレームワークであるQt(キュートと発音するのが正式)を開発/販売するQt CompanyのProduct Manager、アリステア・アダムズ氏にインタビューを行った。

ーー自己紹介をお願いします。

Qtの車載向けシステムに関する製品の責任者、プロダクトマネージャーです。Qtはもう25年ほど前に開発が開始されたGUI用ライブラリそしてフレームワークですが、当初はLinuxのデスクトップのためのものでした。そこからWindows、それにMacなどにおいても使えるように開発が進みました。今はスマートフォンや車載向けシステムのGUIを作るために利用が拡がっています。エンベデッド向けシステムを提供し始めてからもう15年くらいになります。その中で私は主に車載向けシステムの製品を担当しています。

Qt CompanyのProduct Manager、アリステア・アダムズ氏

ーー今回のカンファレンスでは多くの車載向けのシステムが展示されていましたが、特に3Dによる表現、つまり平面ではなく3次元的なグラフィックス表現が多かったように思えます。これはやはりメーカーからの要望ということなのでしょうか?

そうですね。特に拡張現実(AR=Augmented Reality)を行おうと思うと3Dによるモデリングが必須になります。実際に利用する人たちからも要望は強いと思います。

ーー例えば、スピードメーターの盤面がクルッと回って違うものが出てくる時に光と影で実際に円盤が回っているようにみえるということですか?

その通りです。そのような表現はユーザーインターフェースをより使いやすくしようと思うとどうしても必要になるものだと思います。先ほどのような3D表現をしたいとデザイナーが思ったとして、それをC++などの言語で一から作る場合、何ヶ月かかってもできないかもしれません。加えて、実際に自動車に搭載されるハードウエアで検証するのであれば、もっと時間が掛かる可能性があります。それをより高度なライブラリであるQtが短時間で可能にするというところに大きな意味があるのです。

ーーよりグラフィカルな表現という意味ではNVIDIAのGPUに特化しているということですか?

Qt 3D Studioという製品に関してはNVIDIAのパワーを最大限に活かすようになっていますが、他にもNXPのプロセッサーで動くものもありますので、インテルのプロセッサーも含めて幅広く対応しています。

Qt 3D Studioの操作画面

注:QtのブログによればNVIDIAが開発していたNVIDIA DRIVE™ Design Studioをオープンソースソフトウェアとして公開し、Qtと統合することにしたというのが2017年の2月の記事である。つまりNVIDIAが開発していた3Dのための開発ツールのコードをQtに渡して、これからはオープンソースソフトウェアとして開発を進めていくということである。

ーーQtとしてのチャレンジはなんでしょうか?

日本市場に関して言えば、まだ日本語の情報が少ないことですね。それに関しては私が日本人になるわけにはいきませんので(笑)、日本の拠点を強化するということになります。日本市場における売上を2倍に伸ばして、現時点で8名と言う日本支社のリソースをもっと増やしていく必要があると思います。他にもフィンランドにヘッドクオーターがあるQtにとっては日本は遠いことがチャレンジでもありますね。また強いニーズのある市場に対応することもチャレンジですし、やることは多いです。

同社展示ブースにて、写真左はSenior Vice Presidentのペッテリ・ホランダー氏

自動車以外にも工場で使用される設備や機械、医療系のデバイスなどで既に利用が進み、さらに拡がることが予想されるQtだが、日本での浸透を進めるためには技術情報の日本語化、サポートなどまだまだハードルは多いというのが現状だろう。カンファレンスでトヨタが発表した北米でのAutomotive Grade Linuxの利用に際してはまだGUIは未定とのことだったが、イベント当日に展示されていたレクサスのデモ機(2017年のCESでトヨタがデモに使用したAGLと同じもの)ではQtがGUIとして利用されていたことが確認できた。これから更にインフォテイメントとしてドライバーとクルマを繋げる接点としてユーザーインターフェースの重要性は増すばかりだ。Qtの今後に注目したい。

トヨタの発表に関する参考記事;http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1062647.html

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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