ズバリ!andLinuxは使えるのか?
andLinuxの特徴
すでに説明しているように、andLinuxの最大の特徴は、何と言っても完全なLinux環境をWindows上に簡単に構築できることです。このため、以下のような特徴があります(図2)。
1つ目が通常のLinux環境とバイナリ互換があることです。andLinux上で開発したアプリケーションは基本的にそのまま通常のLinux環境へ移行することができます。バイナリ版しか入手できない商用Linuxアプリケーションが開発に必要な場合も、そのままandLinux上で利用できます。これは、XAMPP for WindowsやCygwinにはまねができない点です。
2つ目がLinuxアプリケーションをWindows上で利用できることです。特に開発ツール類に代表される、Linuxの豊富なアプリケーションをWindows上で利用できることは大きなメリットです。標準でインストールされるUbuntuパッケージ以外でも、多くのLinuxアプリケーションを別途インストールしてWindowsで利用できます。一方、XAMPP for Windowsは、使いたいLinuxアプリケーションのWindows版がない場合はどうにもなりません。
Cygwinでは、一部システムコールのふるまいの違いや日本語の扱いなど、環境に起因する問題に頭を悩ませることも少なくありません。
仮想マシン上の環境はWindows環境と完全に別環境なので、LinuxアプリケーションをWindows環境で利用する目的には不適です。
3つ目はインストールが簡単であることです。一般に面倒あるいは難しいと思われているLinux環境の構築が、Windowsで一般的なインストーラを実行するだけで済んでしまいます。これだけでUbuntuに含まれている多くのパッケージが利用可能になります。
基本的なインストールに関しては、仮想マシン以外のほかの方法もほぼ同様に簡単ですが、追加パッケージのインストールはandLinuxの方が簡単だと思います。
そのほかの方法の特徴
もちろんandLinux以外の方法にもそれぞれの特徴があります。
Cygwinは、この連載の「第1回:andLinuxとは?(http://www.thinkit.co.jp/article/126/1/)」にも説明したように、動作に必要なハードウエアリソースが比較的少なくて済むという点のほかに、Linux上の各種アプリケーションをWindows上で動作するように移植して、WindowsにもLinuxと同等の機能を持たせることができることも挙げられるでしょう。例えばOpenSSH(http://www.openssh.com/ja/index.html)をWindows上で動かして、ネットワーク越しにSSHでWindowsにアクセスできるようにすることも可能です。
XAMPP for WindowsなどのWindows版バイナリの場合は、何と言ってもWindowsとの親和性の高さがポイントです。インストールや設定が基本的にWindowsの流儀にのっとっているため、Windowsに慣れている人にとっては利用するにあたっての抵抗が最も小さいと思われます。また、Windowsネーティブのアプリケーションなので、仮想化などのオーバーヘッドが無く、軽快な動作が期待できます。
VMwareなどの仮想マシンの利点は、物理PCへインストールされた通常のLinux環境とほぼ完全に同等の環境を、Windows上に構築できることでしょう。最近のPCであれば、仮想マシンを利用するのに十分なリソースがあるので、わざわざPCを2台用意しなくても複数の環境を用意できるのは魅力的です。
また、仮想マシンにインストールされたOSは一般的に仮想ディスクのイメージファイルになっているので、一度環境を構築しておけば、同じ環境をいくつでも簡単に構築することができるのも、開発環境によっては大きな利点となるでしょう。
最後に、andLinuxのセキュリティーとandLinuxの使いどころをまとめてみました。