アクセシビリティにも気を使おう
アクセシビリティに配慮した設計
アクセシビリティに配慮したFlashアプリケーションを設計するにあたっては、具体的に次の4つのような配慮をしましょう。
1つ目は、「文字のサイズや配色」です。
前回でも触れましたが、Flashアプリケーションでは往々にして、文字サイズが小さくデザインされたり、配色についても背景色と文字色のコントラストが低くデザインされてしまうことがあります。こうした問題を解決し、十分な可読性を実現することは、アクセシビリティ対策としても非常に有効です。特に高齢者は小さい文字は見にくいですし、高齢者でなくても、目が疲れているとよく見えなかったりします。もちろん、色覚特異性を持ったユーザーや弱視のユーザーに対する配慮としても、可読性の確保は重要です。
2つ目は、「操作要素」です。
これも前回で触れましたが、Flashアプリケーションではしばしば、操作要素(クリックまたはドラッグできる要素)が小さくなりがちです。手や腕に障がいがある人、健常者であってもけがをしている人、高齢者など、細かなマウス操作が困難なユーザーは、意外と多いものです。十分な大きさを持って、隣接させすぎないようにすることはもちろんのこと、ダイヤルなど回転させる操作要素は、ユーザーによってはマウス操作が非常に困難になるので、可能な限り避けたいところです。
3つ目は、「ファイルサイズ」です。
スペックの低いマシンや低速のインターネット接続環境を使っているユーザーの場合、ファイルサイズの大きなFlashアプリケーションだとスムーズに動かず、かえってユーザーのフラストレーションを高めることにつながります。本当にFlashでなければならないかを吟味するのはもちろんのこと、Flashを使う場合も、ファイルサイズを意識するようにしましょう。具体的には、現時点で「ブロードバンド」とされる速度の最下限(ADSLの下り1Mbps程度)の実効速度を基準にするのがよいでしょう。
4つ目は、「読み上げ(音声ブラウザ/スクリーンリーダー)やキーボード操作への配慮」です。
視覚障がいのあるユーザーは、音声ブラウザやスクリーンリーダーといった支援技術を使っています。また、上肢障がいがあるユーザーはマウスによる操作ができないため、特殊な道具を使ってキーボードを操作し、Webを閲覧しています。このようなユーザーへの配慮も、現在のFlashでは可能になっていますので、ぜひ採り入れていただきたいと思います。具体的には、Flash(オーサリングツール)の「アクセシビリティパネル」で設定します。
アクセシビリティパネルの設定
Flash(オーサリングツール)の「アクセシビリティパネル」を使うと、音声読み上げやキーボード操作にも配慮した、よりアクセシブルなFlashアプリケーションをつくることができます。例えば次の2つが挙げられます。
まず、メニューなどのラベルや操作要素に代替テキストを入れることができます。音声ブラウザやスクリーンリーダーが代替テキストを読み上げてくれるので、視覚障がいのあるユーザーもFlashアプリケーションを使うことができます。
さらに、操作要素にタブインデックスを設定することができます。マウスを使えなくてもキーボード操作が可能になるので、上肢障がいのあるユーザーもFlashアプリケーションを使うことができます。
英語のわかる方は、詳しい情報がAdobe社より公開(http://www.adobe.com/jp/accessibility/)されていますので、参考にしてみるとよいでしょう。
ちなみに、「アクセシビリティJIS」と呼ばれているJIS X 8341-3「高齢者・障害者等配慮設計指針 - 情報通信における機器、ソフトウエアおよびサービス - 第3部:ウェブコンテンツ」には、以下の規定が明記されているので引用します。
5.1 b)
ウェブコンテンツには、アクセス可能なオブジェクトなどの技術を使うことが望ましい。
例2.
ウェブコンテンツを、動画または動的なメニューを生成するプラグイン(筆者注:Flashはこれに含まれます)を用いて提供する場合には、そのプラグインの情報アクセシビリティ支援機能(筆者注:「アクセシビリティパネル」はこれに含まれます)を適切に用いる、代替手段を用意する、またはその技術の提供元のアクセシビリティ実現方法を参考に制作し、それ自体のアクセシビリティを向上することが望ましい。