工程/進ちょく管理のツールを比較!
工程・進ちょく管理ツールとしての検討
GanttProject、OpenProjのどちらのツールも、MS-Projectのようなガントチャートをベースとした工程計画、進ちょく管理を可能とする機能を備えています。ここで、プロジェクトの計画から実行時における、現場のニーズとツールの機能の対応を図3にまとめます。
実際のプロジェクトの実行フェーズにて、進ちょく状況を管理するためのツールとして利用することを考えてみます。2つのツールとも、計画されたタスクに対する進ちょく度を記入すれば、プロジェクトの進行をバーチャートやインジケーターで表示することが可能です。
さて、ここで一点、注意が必要です。プロジェクトのタスクを遂行しているのは主に「人間」であるため、いつ、誰が、どのように進ちょく度を投入するのか、といった運用方法を、プロジェクトの状況や性質に応じてあらかじめ決めておく必要があります。
例えば、進ちょく状況を週次で報告し、集計する場合、前日までの実績として誰かがツールに情報を投入することになります。
タスクの担当メンバーが直接投入するならば、メンバーの投入完了や記入内容を確認する手順、さらにはファイルへの排他制御などを考える必要があるでしょう。チームリーダーがとりまとめて投入するならば、リーダーはメンバーの進ちょくを投入前に確認、管理する必要があります。
つまり、タスクの進ちょく度を登録するというだけのことでも、人間の動きやプロジェクトの特性に合わせてツールが十分効果を出せるように運用を考えなければなりません。ツールはあくまでも道具ですので、それを生かすも殺すもユーザーの運用次第である、ということをきちんと認識しておくことが重要です。
ツール利用上の課題と今後の期待
ここで、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
初めて自分でプロジェクトを計画するとき、真っ白なガントチャートの画面を眺めて途方に暮れた経験はないでしょうか?ツールへ入力する情報のもととなる、WBS作成やタスク分解の工程こそ難しく、一筋縄ではいかない部分であり、プロジェクトマネジャーやリーダーの経験、勘、想像力が求められます。
この作業に対して、ツールでの自動化やサゼスチョンなどのサポートがあると、現場としては非常に助かるでしょう。具体的には、プロジェクトの性質に応じたテンプレートを用意してくれたり、ウィザード形式で工程を組み立てたり、組織に応じてそれらをカスタマイズしながらブラッシュアップができたり、といった機能があると魅力的です。
最近注目されているツールに、Ivar Jacobson Consulting社が提唱するソフトウェア開発プロセス「EssUP(http://www.ivarjacobson.com/products/essup.cfm)」に沿って、必要なプラクティスを組み合わせたプロセスに、プロジェクトや組織に応じたカスタマイズができるツール「EssWork(http://www.esswork.com/)」があります。
これはオープンソースではありませんが、OSSプロジェクト管理ツールでも同等の機能を実現したり、ツール同士が連携してプロジェクトの工程計画ができるようになれば、大変強力なソリューションとなるでしょう。
さて、プロジェクトが中心の企業や組織では、全社的なコスト状況の把握やプロジェクトをまたいだ人的リソースの活用なども重要なテーマとなってきます。次回は、企業における複数プロジェクトの統括管理までもターゲットとする、エンタープライズ系のOSS管理ツールを取り上げます。
なお、本稿の執筆にあたっては、以下を参考にしています。
「GanttProject公式サイト」(http://www.ganttproject.biz/)(アクセス:2008/9)
「OpenProj公式サイト」(http://openproj.org/openproj/)(アクセス:2008/9)
「EssWork公式サイト」(http://www.esswork.com/)(アクセス:2008/9)
「EssUP公式サイト」(http://www.ivarjacobson.com/products/essup.cfm)(アクセス:2008/9)