統合プロジェクト管理ツールを比較!
dotProjectの機能と特徴
今回は、プロジェクト管理機能に加え、企業のほかの部門で扱う情報も含めて管理することを目指したオープンソースの統合管理ツールを紹介します。
まずは、PHPで記述されたWebインタフェースの「dotProject」です。原稿執筆時点(2008年9月現在)の最新バージョンは2.1.2です。
dotProjectには「プロジェクトの登録」「タスクの登録と追跡」「カレンダー作成/表示」「ファイル共有」「顧客コンタクト先リスト」「フォーラム」「トラブルチケット登録」「企業(取引先)の登録」「部署の登録」「ガントチャート表示」などの機能が搭載されています。
dotProjectのインストールに関しては、ツールそのものよりも、動作に必要となるPHPのセットアップに筆者は手こずりました。そこで、少し試してみたいという方には、demoサイト(http://www.dotproject.net/demo/)が便利です。あらかじめ用意されている、権限の異なる2種類のアカウント「admin」「guest」でログインして機能を試すことができます(パスワードはアカウントと同じ)。
インストールする場合は、dotProjectの公式サイト(http://www.dotproject.net/)の「Online Courseware」にあるインストールガイド(http://sites.sakienvirotech.com/moodle/course/view.php?id=19)に、環境構築に必要なPHPやMySQLのバージョンが掲載されていますので、必ず確認してください。
また、有志の方々による日本語サイト(http://wiki.dotproject.jp/)や「グループウエアはアレだけじゃない!dotProject徹底解剖!」の第2回(http://www.thinkit.co.jp/free/article/0701/7/2/)も大変参考になります。
現時点では最新バージョンの日本語化パックがないので、英語版か、上記の日本語サイトにて開発されているdotProject-ja(日本語版)をお試しください。
ツールの機能を拡張するためのアドオンモジュールは、dotproject mods(http://sourceforge.net/project/showfiles.php?group_id=70930)からダウンロード可能です。バックアップやImport/Exportのためのアドオン、バグ管理ツールとの連携を行うためのアドオンも存在するようです。
実際に利用してみると、メニュータブやプルダウンは直感的にわかりやすいのですが、UIの構造に慣れるまでは、実際に行いたい処理をどこから操作すればよいのか迷うかもしれません。
dotProjectの利用シーン
ツールのアドバンテージとしては、以下が挙げられます。
・部門を階層構造で登録できる
・複数のプロジェクトを、顧客ごとに束ねて管理できる
・企業内のグループウエアとして利用できる
例えば、全社的に人的リソースの状況を把握してタスクの担当を調整したり、蓄積された同一顧客のプロジェクト実施情報やリスク要素を次のプロジェクトに活用したりといった使い方ができます。また、カレンダーやファイル共有の機能を利用して、営業部のプロジェクト提案活動の予定や受注状況の資料を共有するなどという使い方もできます。
プロジェクト計画・管理に関連する機能としては、「第2回:課題管理対決!Redmine vs. Trac(http://www.thinkit.co.jp/article/138/2/)」で取り上げたRedmineやTracに類似しています。
ただし、dotProjectではタスク(Task)とチケット(Ticket)が明確に区別されています。日付や期間の属性を持ち、ガントチャートに反映されるのはタスクだけで、チケットはあくまで課題の状態管理として用いることのみ想定されています。チケットの解決に向けたアクションをスケジュールに反映するためには、別途タスクとして登録する必要があります。
また、コストの記録や集計をする機能がないため、ほかのツール(Excelなど)と連携して管理することになります。しかし、dotProject上のデータの入出力機能がアドオンを含めて成熟していない様子です。
単一のプロジェクトの管理という枠を越えて機能を提供するツールですが、現存の機能およびアドオンでは制限が多く、さらなる機能向上、次期バージョンのリリースが期待されます。
続いて、]project-open[を紹介します。