3ステップでどんどんアイデアが沸いてくる!「ブレストカード」でカヤック式発想法を体験
バズるコンテンツを次々生み出し続けている「面白法人カヤック」。同社の企画は、すべてが「ブレインストーミング(ブレスト)」から生まれているそうだが、そのブレスト・エッセンスをぎゅうっと詰め込んだカードゲーム「ブレストカード」のワークショップ「面白法人カヤック『ブレストカード』ワークショップ IN コワーキングスペース ジブンオフィス Colony(静岡市)」が6月29日に開催された。主催は静岡市で活動しているシステムエンジニアのコミュニティ「Tech First Shizuoka」だ(後援しずおかオンライン)。
ブレストカードとは
ブレストカードは、数多くの人気Webコンテンツやひねりのきいた広告企画などを手がけるカヤックが社内で行っているアイデア発想法をカードゲームとして発売したもの。イラスト100枚の「発想カード」と「乗っかりチップ」のセットで、ビジネス現場最前線でのアイデア出しはもちろん、チームワークの向上や頭の体操、ひいてはポジティブな人生にまで有効だという。
ワークショップに先立ち、カヤックの氏原 大氏がブレストカードをレクチャー。ゲームの基本ルールは簡単だ。1グループ4、5人でテーマを決め、まず順番に発想カードを1枚ずつ引いていく。自分が引いたカードに描かれたイラストとテーマを掛け合わせて、テーマに沿ったアイデアをひねり出しメンバーに発表する。カードを引いてから発表するまでの制限時間は30秒! 時間も短いうえに、100枚の発想カードにはクマのダンスや跳ねる布団といった奇想天外なイラストが描かれており、パッと見ただけではテーマと繋がるようにも思えない。アイデア出しのポイントは「質より量」ということで、その内容はこじつけでもOK。とにかく「発表する」ことが大切なのだ。
全員がアイデアを出したところで、ゲームはセカンドステージへ。出てきたアイデアから気になるものに「乗っかりチップ」を乗せて「他人のアイデアに乗っかる」。「乗っかる」とは、元のアイデアを自分のアイデアで膨らませること。こうして次々とアイデアを量産していくのがブレストカードの仕組みで、ゲームの勝ち負けは量産されたアイデアをメンバー同士で採点して決まる。
ブレストカードのルールで大切なことは次のふたつ。
(1)アイデアは「質より量」を重視すること
(2)他人のアイデアに乗っかること
また、どんなアイデアや意見でも否定しない魔法ワード「うんうん」を多用するのもコツ。みんながどんなアイデアでも受け入れる姿勢を見せることで、何を言っても「安心・安全な場や雰囲気」を作ることができるという。
ブレストカードを体験してみよう!
今回のワークショップには30名ほどが参加。職業はエンジニアやIT系の人の割合が高かったが、子ども向け自然体験NPO代表やブランディング会社経営者なども参加したほか、年代も大学生から50代まで幅広く、男女比も6:4ほど。さまざまな職種、年代の男女が5、6名ずつ数テーブルに分かれたら、いよいよブレストカード体験だ。「静岡を盛り上げるアプリ」をテーマに、各テーブルでゲームが始まった。
開始数分で、各テーブルから「おお~」「うんうん」「良いね~」などの歓声が上がり始めた。引いたカードのイラストを見て30秒でアイデア出しするのは難しそうだが、事前レクチャーの「収束しなくて良い」「質より量」「発想より発散」「スピード重視」を受けて、参加者から予想外のアイデアが飛び出してくる。
各人がアイデアを出し終えたら、「他人のアイデアに乗っかる」セカンドステージの始まりだ。セカンドステージでも各グループわいわいと盛り上がり、話が尽きない雰囲気。他人のアイデアを下敷きにすることでコミュニケーションの幅が広がり、アイデアも膨らんでいくようだ。15分ほどでシャッフルタイム。テーブルとメンバーをチェンジして2回目の開始。やり方が分かっためか、2回目のほうが歓声も大きいように感じた。
「アーン」したい人とされたい人をマッチングするアプリ、静岡市のオレオレ・ランキングアプリなどをはじめ、たくさんのアイデアが続出。参加者たちも「アイデアは一人悩んでいては出てこないけれど、ブレストカードを使ったチームワークならできる」という氏原氏の言葉を体感したようだ。
また、「びっくりするくらいポジティブシンキングになれた」「初対面なのに、かけひきや遠慮せずになんでも言えた」など、発言やコミュニケーションの仕方で自分自身が変化した感想を語る参加者が多かった。「すぐに会社で使いたい」と、Amazonでブレストカードを購入する参加者もいた。各テーブルともまだまだ議論し足りないような雰囲気満々の中で、ブレストカード体験ワークショップは終了した。
打ちとけ感ハンパないって! ブレストカードは魔法のカード
ワークショップ後は、地元のクラフトビール「Jiiin Craft(ジーンクラフト)」と美味しいサンドイッチを囲んだ懇親会も開かれた。ワークショップやセミナー後の懇親会は筆者も数多く経験しているが「ブレストカード」後の懇親会は「少し違う!」と感じられた。カードゲームで「安心・安全な場」を共有した参加者たちは、もうすでに“チームメイト”のよう。懇親会では話題が尽きずに盛り上がりは続き、解散時はみんなが名残惜しそうだった。
楽しみながらアイデア出しができる「ブレストカード」の真価は、この“チームワーク感”創出にありそうだ。「質より量」「乗っかる」「認める」ことで、これまでにない新しいコミュニケーションのパターンが生み出されたのではないか。また、職場でも使え、頭の体操にもなり、スポーツチームの絆も深めるのにも効果的かも知れないと感じた。
おわりに
静岡市という地方都市で、様々な属性を持つ数十人がブレストカードを通じて出会った今回のワークショップ。ひょっとしたら「静岡を盛り上げるアプリ」だけではなく、地域が変化するブレイク・ポイントに立ち会ったのではないだろうか。そんな思いのするイベントだった。
シェアオフィスのような個室や固定席はあえてなくし、すべてが共有エリアであり共有設備。まさにジブンのオフィスのようなスペース。また、スペース利用だけにとどまらず、シェアリングエコノミーがコンセプト。カーシェア、オープンキッチンでの社食提供などもあるユニークなスペース。
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