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立体アニメーションのしくみ

2008年11月21日(金)
村田 朋泰

立体アニメーションができるまで

 今回は、立体アニメーションができるまでの行程を説明したいと思います。

 ストーリーを考え、シナリオを書きます。自分1人で制作できる範囲の舞台セットを頭に浮かべながら、制作可能な個所を抜粋し、絵コンテを描きます。同時に主人公となる人形のことも考えます。演出によってどのような人形にしたらいいのかも考慮にいれます。

 30センチに満たない人形の中には関節(図1)が入っています。少しずつ動かしては撮影、動かしては撮影という繰り返しに耐えられるだけの人形を作ります。人形のサイズに合わせた舞台セットを作ります。

 資料は実際に撮影にいく時もあります。写真集を参考にする時もあります。カメラアングル、照明を決めて、人形の演出を頭に思い浮かべます。コマ撮りは静止画の連なりにより動いているように見せます。だから動いてはいけないものはすべて固定しておきます。それから撮影を開始します。

 撮影は1秒のシーンを撮るのに15回ほど動かすわけですが、撮影がスムーズに進行する場合もあれば、いつまで進まない場合もあります。一度動かし始めるとそのカットが終わるまで続きます。途中でやめることはできません。途中で動かすことに失敗したら最初からやり直しです。焦れば焦るほど失敗する原因になります。じっくりと呼吸を整えてせっかちにならないように心がけます。

 撮影中はさまざまな音楽を聴きます。作品の空気と合いそうな曲があれば、それはどこかに書きとどめておきます。なんとか撮り終えたら編集です。編集が終わりましたら、DVD-RかミニDVテープに出力します。それで一通り完成ということになります。

セット制作について

 木工用ボンド、くぎなどを使ってベニヤ板を箱状にして、演劇の舞台をミニチュアで作ってみようというのが最初のセット制作の発想でした。カメラアングルをどうするかということを念頭に置いておらず、いざ撮影に入ってみると、ほぼ正面からしか撮影できませんでした。やらなければならないことをこなすだけで頭がいっぱいで失敗ばかりでした。

 次の作品では箱状のものを制作するのではなく、どだいとなる机を1台用意して、その上に土や、壁板、造花といったものを使用し、セットを分解、組み立てやすいストーリーを考えました。作り込まずに済むようなもののみで作りました。それはいい意味でも悪い意味でもチープな作品になり、やはりちゃんとセットを作る必要があると感じました。

 今度はいくつものシーンを考え、その場面場面のセットをいくつも制作することにしました。大学の課題日程は長くて2ヶ月ほどでした。時間だけでなく、金もない学生だったので、余り金のかからない、しかも加工しやすい素材はないだろうかと思い、浮かんだのが段ボールでした。これは思った以上に使いやすかったのですが、段ボール特有のストライプが気になるのと、色を片面に彩色すると絵の具の乾燥とともに段ボールが反ってしまう、という問題点がありました。

 最終的にはベニヤ板におさまり現在に至ります。箱状のセットも四面すべての取り外し可能な作り方を考えました。床面は、「睡蓮の人」「朱の路」では主にベニヤ板を使って制作していました。歩かせる時は人形の裏面に両面テープを貼(は)り付けたり、見えないように練りゴムなども使用していました。

 「HERO」の時はバルサ材とスタイロフォームに変更しました。人形が歩いたり、走ったりするシーンが多かったので、人形の足(鉛板)にあらかじめ小さな穴を開けておき、そこに「虫ピン」を指すことにしました。バルサ材やスタイロフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)は、ベニヤ板ほど硬質でないために床面に直接虫ピンを刺すことができます。それと同時に両面テープも併用することで、人形は直立するのにかなりの安定感を得ることができました。

立体アニメーション「朱の路」で第9回広島国際アニメーションフェティバル優秀賞を受賞するほか、Mr.Childrenの「HERO」のPVなども手がける。近年では絵画、空間芸術にも表現を展開し、2008年4月の平塚市美術館での個展「夢がしゃがんでいる」では、巨大な空間をひとつの作品世界として作り上げた。http://www.tomoyasu.net/

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