DevRelの施策(コンテンツ)
書籍・電子書籍
新しいテクノロジーについて学ぶ際に、書籍を購入するエンジニアは多いです。インターネット上では情報が散発していたり、最新情報は分かっても基礎的な内容が抜けていたりします。そうしたベースになる知識を得る上で書籍はとても便利です。
DevRelとして書籍を書く場合、大きな利点はAmazonなどの書籍サイトで検索結果に出せることでしょう。Web検索とはまた異なるアプローチ、異なる層へ情報を届けられます。
ポッドキャスティング
動画と同じく、ポッドキャスティングで業界のニュースや話題を届ける方法です。ポッドキャスティングは耳から情報を入れられるので、仕事をしながら聞けるのが利点です。また、アプリで購読していれば自動的に最新情報が入ってくるので、手間いらずなのも利点です。
筆者が主催している「DevRel Meetup in Tokyo」では「DevRel/Radio」と題して毎週ライブ配信を行っています。音声も動画と同じく編集を行うとコストが大きくなるので、ライブ配信をそのままポッドキャスティングにしています。元々コロナ禍になって参加者との接点を増やすために始めたものですが、すでに80回を超えています。
スライド
登壇する際に利用するスライドも立派なコンテンツです。スライドは知見がぎゅっと詰まっているので、閲覧者にとって役立つ情報になるでしょう。こうしたスライドはSlideshareやSpeaker Deckなどで公開・共有するのが一般的です。
なお、スライドを非公開にして、フォームへ情報を入力することでダウンロードできるコンテンツにしているケースもあります。これは検索できないコンテンツになりますが、見込み顧客のリスト作りに役立つでしょう。
ユーザーコンテンツ
公式ではなく、サービスを利用するユーザーが作成するブログ記事などです。公式サイトがいくら頑張っても、ユーザーコンテンツと比べると圧倒的に量は少ないでしょう。質はピンキリですが、それぞれのコンテンツが刺さる層は異なるので問題ありません。
ユーザーコンテンツは、ユーザーが記事を書きたくなるような要素を加えたり、それを奨励する動きをすることで増やせます。開発者の多くはブログを持っているので、情報発信に対する心理的障壁は高くありません。DevRelとしては積極的に進めたい施策です。
アイコンセット
例えば、AWSが公開しているAWSシンプルアイコンや、SORACOMのSORACOMアイコンセットなどが好例です。こうしたアイコンセットがあれば、アーキテクチャを分かりやすく書いたり、顧客提案用資料に利用できます。
とは言え「アイコンセットがあるからサービスを使おう!」とはなりづらいでしょう。しかし、すでに使っている方にすればとても便利なアセットなので、よりロイヤリティーが増す施策になります。
検索できないコンテンツ
GoogleなどのWeb検索で出てこないコンテンツです。基本的に訪問者の追加アクションが必要になります。
eBook
eBookは主に見込み顧客獲得のために作成されるため、業界の一般的な事実や、より多くの方たちが知りたいであろう情報がまとめられています。例えば「セキュリティのために知りたい10のこと」といった特定領域に対するものが多いです。
フォームなどで個人や法人の情報を入力後、メールでダウンロードURLが送られてきます。多くの場合、PDFファイルで提供されるでしょう。
ホワイトペーパー・レポート
より業界に対して公平な目線で書かれるのがホワイトペーパーです。商用として販売されるものもありますが、開発者の状況などをまとめたものは無料でダウンロードできます。
第三者的な視点で作成されるため、企業では自社サービスの利用ユーザーにアンケートを取ったり、聞き取り調査を行ってまとめます。プレスリリースの材料にもしやすく、社会的なトレンドを作る一助にもなります。
教育系動画
サービス登録者限定で、サービス利用に関する教育系動画も作成されます。DevRelでは認知度の向上やビギナー向けの教育に力を入れることが多く、教育系動画は理にかなっています。
最近ではUdemyなどで動画を配信するケースも増えています。こうした外部サービスを利用する場合には、自社サービスにフォーカスするよりもAIやデータ解析など、より汎用的な技術範囲をテーマに据えています。
おわりに
今回紹介した以外にも、実際のコンテンツは他にもたくさん考えられます。テック企業が行っている自社教育コンテンツの公開も、外部開発者との関係性を向上させます。
また、今回はデジタルの施策にフォーカスしましたが、ヌーラボ社のプロジェクトテーマパークというカードゲームもあります。他にもAWS Cloud QuestやTwilioQuestといったゲームも有名です。
コンテンツはとても幅広く、可能性は無限大です。アイデア次第で様々なアプローチが可能でしょう。他の施策と比べて安価に、すぐに始められるものが多いので、ぜひDevRel施策のファーストステップとして取り組んでみてください。