英語のスピーチも理解できる! 「TED Talks」を使った英語学習法

2024年2月21日(水)
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
今回は、世界的な講演会「TED」の講演アーカイブを視聴できる「TED Talks」を活用した英語の学習法を紹介します。

はじめに

世界には“伝説”と呼ばれるようなスピーチが数多く存在します。皆さんは海外のスピーチで有名なものと言えば、誰のスピーチが頭に浮かびますか。キング牧師、ネルソン・マンデラ、スティーブ・ジョブス、バラク・オバマ等々、人によって異なるスピーチが出てくると思います。

そういった多くのスピーチは英語で行われているものではないでしょうか。それはもちろん英語が世界で一番使われている言語であるため、英語圏出身でない人たちも英語でスピーチをしているということもあります。また、日本に入って来る情報は、英語のものが多いということも理由として挙げられます。

ただ、多くの日本人は、そういったスピーチを日本語訳を通して理解しているのではないでしょうか。これらのスピーチを英語のまま理解できれば、よりスピーカーの考えや熱意等を直に受け止められるようになります。

今回は、英語のスピーチを英語のまま理解できるようになるために「TED」を使った学習法を紹介します。この学習法を行うことで、スピーチのみでなく、英語力を総合的に伸ばすことができるので、「スピーチよりも、普通の英語を話せるようになりたい」という方にもおすすめです。

「TED Talks」とは

TEDの歴史等については深く触れませんが、簡単にまとめると、TEDは「Technology Entertainment Design」というアメリカの非営利団体です。毎年カナダのバンクーバーで大規模な世界的講演会を開催していますが、ここで行われるスピーチ(以降、talk)をTEDの公式サイトとアプリ、そしてYouTubeチャンネル上で無料公開しています。

TEDには実に色々なコンテンツがありますが、今回はこういったtalkが視聴できる「TED Talks」を取り上げます。

TED Talksには有料版がなく、基本的に生の英語のtalkを無料で視聴できてしまうという、英語学習者にとっては「使わないともったいない」と言えるものです。有料版としては「Membership」というものがありますが、そこれは実際の講演会に参加するためのものなので「現地へ行ってみたい」という方以外は無視して良いでしょう。

なお、TED Talksで視聴できるtalkは英語学習者のために行われたものではありません。よって、使われる単語や表現、話す速度等も全て自然なものとなっています。また多くのtalkには日本語の字幕があり、かつ音声の速度も変えられますが、ある程度英語の基礎知識がある学習者でない場合、挫折してしまう可能性が高いです。

特に初心者はTED Talksではなく、市販されている音読用の教材などを使うことから始めると良いでしょう。ある程度負荷をかけることは重要ですが、例えばテニスの初心者がいきなりプロのテニス大会に飛び込んでいくといったことは、その勇敢さは認めますが、ストレスになる可能性の方が間違いなく高いですよね。

まずはある程度の英語力を身に着けるようにして、それからTED Talksを使っていくようにしましょう。それでは、TED Talksの使い方について簡単に見て行きます。

TED Talksの使い方

TED Talksは、次の3つの方法で使うことができます。

TED公式サイト
②TED公式アプリ
TED公式YouTubeチャンネル

いずれも無料で使えますが、自宅で学習する際は公式サイト、外ではアプリやYouTubeといった形で分けることもできますね。ただし、この後で紹介する学習法を行う際は、最初は公式サイトを使うことがおすすめです。

次に使い方ですが、これはかなりシンプルで、直感的に使うことが可能です。今回は公式サイトの使い方を解説します。まずTED公式サイトへ行きます。そこからでも様々な動画を視聴できますが、画面右上にある[WATCH]からTED Talksへ行くと、より視聴したいtalkを見つけやすくなります。

TED Talksに入ると、画面上方に[Search for a talk(talkの検索)] [Sort By(並べ替え)] [Topics(話題)] [Subtitles(字幕)] [Duration(talkの長さ)]の5つが表示されます。これらを使うことで「興味がある」「日本語の字幕がある」「学習に合う長さ」といった条件に沿うtalkを探すことができます。

観たいtalkが見つかったら、クリックするだけですぐに視聴を開始できます。talkに関しては、画面上にカーソルを置くことで[音量] [字幕] [設定]ボタンが表示されます。字幕を選択した際に切り換えられる言語が表示されますが、ここに日本語が表示されない場合は、そのtalkには日本語字幕がないということになります。

また、設定からは音声の速度を0.5倍、0.75倍、normal(通常)、1.25倍、1.5倍に変更できます。字幕と全体のスクリプトの表示方法に関しては、学習法のセクションで解説します。

なお、画面右上には[SIGN IN]ボタンが表示されていますが、ユーザー登録(無料)することで、視聴したいtalkを自分のリストに追加することもできます。英語学習に使いたいtalkを保存しておけば便利ですね。

「talkが沢山ありすぎて観たいtalkが選べない!」という場合は[WATCH]からPlaylistsへ行き、「The most popular TED Talks of all time(史上最も人気のあるTEDトーク)」の中から選ぶこともできますよ。

日ごろ動画サイトを使っているような方であれば、直感的に使えるのではないでしょうか。

TED Talksを使って伸ばせる英語力

それでは、TED Talksを使って学習することで、どのような英語力を伸ばせるのかを見て行きましょう。この学習法では、下記に対して効果が期待できます。

①リスニング力(英語の音や音の変化等)
②スピーキング力(発音、抑揚、音の変化等)
③語彙力と表現
④文の形
⑤英語のコミュニケーション力(英語の雰囲気やスピーチの構成等)

見ても分かる通り、英語力を総合的に伸ばすことが可能になります。これらを伸ばしたい学習者の方は、ぜひこの学習法を実践してみてくださいね。

TED Talksを使った英語学習法

ここからは、実際にTED Talksを使った英語の学習法を紹介して行きます。準備しておく必要があるものは、TED Talksから選んだtalkだけです。

ちなみに、この学習法ではtalkの「スクリプト」が必要です。talk右下にある[Read transcript]ボタンを押すと、画面右側にスクリプトが表示されます。また、スクリプトの上には言語選択ボタンがあるので、必ず日本語があるtalkを選びましょう。スクリプトが表示されたら、それをコピーしてWord等に貼り付ければ完了です。また、これは日本語訳のスクリプトでも同じ方法で用意できます。

なお、このスクリプトは切りの良い部分で大体30秒から2~3分ほどの塊に分けられています。学習する際は一気にtalk全体を行うのではなく、2~3分くらいに分けて、少しずつ学習していくと気持ち的にも楽になるかと思います。もちろん、上級者の方は、レベルに合わせてもっと長めに区切って行っても問題はありません。

TED Talksを使った学習法は、下記の8つの手順に沿って行いましょう。

  1. 英語のみで観てみる
    まずは選択したtalkを字幕なしで視聴し、どのような話をしていたか確認しましょう。また、その際に自分がどの程度理解できたかも覚えておくようにしましょう。
  2. 英語の字幕を入れて観てみる
    次に、英語の字幕を表示して再度talkを視聴してみましょう。字幕なしで視聴したときに分からなかった部分が、字幕を入れることで理解できるかも確認してみましょう。
  3. 日本語の字幕を入れて観てみる
    今度は日本語の字幕を表示してtalkを視聴します。これで、どのような話だったのかを細部まで理解できるようになります。まずは自力で理解できるところまで行い、その後効率良く学習するためには「分からない」部分がない状態にする必要があります。
  4. 英語のスクリプトで分からない語彙や表現を確認する
    全体の内容が理解できても、分からない単語や表現も含まれていることが多くあります。(talkを視聴しながらではなく)英語のスクリプトのみを読んで、分からない単語や表現、英語のイディオム等がなくなるまで確認しましょう。
  5. 再度英語の字幕を入れて観てみる
    内容も単語や表現も全て理解した状態になったら、再度英語の字幕を入れて全部理解できるか最終チェックを行いましょう。
  6. シャドーイングを行う
    ステップ5まで行ったら、次はシャドーイングを行います。シャドーイングとは、talkに字幕を表示せずに、聞こえた英語をすぐに真似して影のように追って発音する練習法のことです。最初は置いて行かれてしまうと思いますが、諦めずに決めたところまで行うようにしましょう。また、シャドーイングは1回で終わらずに、最低3回を目安に何度も繰り返し行いましょう。「集中して耳で英語を聞く」という意識を持つことがとても重要です。
  7. オーバーラッピングを行う
    シャドーイングである程度練習できたら、続けてオーバーラッピングを行います。オーバーラッピングは、英語の字幕を表示して、話している人が発する言葉を字幕を見ながら同時に発声する練習法です。これにより、リズムや音の変化といった点も身に着けられるようになります。これも1回ではなく、最低3回は行うようにしましょう。
  8. 字幕なしで観る
    最後は、もう1度talkを字幕なしで視聴して、最初に聞いたときと比べて理解度の向上を実感してみましょう。この練習は1回では効果が低いので、少し遅く聞こえるくらいになるまでステップ6~8を繰り返し行うと良いでしょう。ステップ1~5は初回のみでOKです。

これを全てのパートで行い、最終的にはtalkを最初から最後まで通して視聴しても理解できるようにしましょう。

おわりに

TEDにあるような英語スピーチを、字幕なしで理解できたら自信を持てるようになりますよね。また、この練習を行うことで日常やビジネス場面でも会話できるようになるだけでなく、多くの学習者が目標として挙げる「英語の映画やドラマを理解する」こともできるようになってきます。

この学習法は音読と同じように反復練習が重要になりますが、しっかりと学習すれば英語力の向上は間違いなしです。ぜひ、TEDという生の洗練されたtalkを使った学習に挑戦してみてくださいね。

著者
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン 取締役。小学校〜高校卒業までをベルギーで過ごす。上智大学を卒業後、大手英会話スクールにて7年間教務主任として多くのクラスを担当。外国人講師の指導にも従事。マンツーマン英会話教室の代表を経て、2014年から現職にて語学プログラムの総監修を務める。これまで1万人以上にレッスンを提供。TOEIC990点、英検1級。

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