失敗は成功のもと! 「失敗の経験」から学ぶ英語
はじめに
あなたは、何かを極めるときに失敗や挫折を経験したことはありますか。恐らく、皆さん答えは「ある」ではないでしょうか。しかし、その失敗や挫折があったからこそ、その先の成功へ繋げることができたという経験を持っている人も多いはずです。
もちろん、失敗をすることで恥ずかしかったり悔しい思い、そして大切なものを失ったということもあるかもしれません。しかし残念ながら全く失敗をせずに成功を収めることは稀だと言えます。
そんな一見マイナスにしか聞こえない失敗ですが、昔から「失敗は成功のもと」と言うように、「あの失敗があったからこそ、今の自分がある」と言える人も多いでしょう。英語学習においても、これは同様です。「ネイティブレベルで英語が話せる」と言われる人でも、最初は初心者レベルだった時代があり、沢山の失敗を経験したからこそ、今のレベルに到達したのです。
シーズン4の最終回となる今回は、筆者が英語を習得する過程で経験した失敗、そして学習者が失敗することを恐れるがために行ってしまう注意点などについて、実際の体験談を紹介します。ぜひ、今後の英語学習の参考にしていただければと思います。
失敗その1:意味不明な単語を繰り返して失敗
1つ目の失敗は、筆者自身の経験です。筆者は小学生の頃に海外へ行き英語の学習を始めたのですが、もちろん最初の頃は全く英語を話せませんでした。それこそ筆者にとって容姿も言葉も全く異なる人達との出会いは「未知との遭遇」でした。
しかし、小学生だった筆者は、意味は分からなくても、今まで聞いたことのない音を持つ言語に対して、恐れよりも好奇心を抱いていました。それ自体は良いのですが、その好奇心によって起こった失敗が今回のものです。
友達を作ろうと必死だった筆者は、とにかく周りの人達が言っていることをそのままひたすら真似していました。例えば、友達が綺麗なシールを何枚か持っていて、それを何人かにあげようとしていたときに、欲しい人たちが神様に祈るような仕草をしながら「プリーズ〇〇」と言っていたのです。〇〇の部分は聞き取れていませんでしたが、他の人達の仕草や話し方から「プリーズ」は「ちょうだい」という意味だと勝手に思っていました。そんな筆者は、ひたすらPleaseを連呼していました。そのとき、相手は不思議そうな顔をしていましたが、「お願い」と繰り返し言っていたことを知るのは後のことでした。
また、別のときには、英語が話せないことを面白く感じた友人が、“Up yours.”という悪い表現を私に言ってきました。しかし、その「アピョース」という音が面白く聞こえた筆者は笑顔で繰り返し、周りの友人たちも爆笑していました。
気を良くした筆者は、それを笑顔で当時の担当に言って、こっぴどく怒られる大失敗をしたことを覚えています。しかし、こういった経験によって、単に誰かが言ったことを勝手に解釈することなく「意味を理解しよう」という気持ちが強くなりました。
1度怒られはしましたが「知らないことはちゃんと意味を調べることが大切」という教訓を得られた貴重な失敗でした。これは大人の学習者にも言えることです。例えば、映画やどこかで知り合った人が言っていたから大丈夫だと思った表現を取引先に使ったら、実はとても失礼な言い回しだったということになる可能性もあります。興味を持って色々な単語や表現を吸収することは大切ですが、使う際は、ちゃんと意味を理解して使うようにしましょう。
ちなみに、先ほどの表現はとても悪い表現なのでここには書きませんが、気になる方はぜひ調べてみてください。
失敗その2:ジェスチャーで乗り切ろうとして失敗
2つ目の失敗も、筆者が経験したものです。これは今振り返っても「そのときに気付いて良かった」と心から思える大切な失敗でした。海外へ行ってから数カ月ほど経った頃の経験ですが、まだ英語は分かっていなかったものの、何となく「こういったことを言っているのかな」と少しずつ理解できるようになっていました。
ある日、担任の先生から写真か絵を見せられながら、2つある何かから1つを選ぶように言われました(少なくとも、そのときはそうだと思ったのですが、それが正しかったのかは今でも確信は持てません)。ただ、そのときに筆者は口で言うより簡単だと思ったので、1つ選択したものを指して伝えようとしました。しかし、先生からは「No, say it.」(だめ、言いなさい)のように言われたことを鮮明に覚えています。
今まで、何となく「英語が話せないから許されるだろう」という甘い考えを持っていました。日本では、そこまではっきりと自己主張をしなければならないと言われたことはなかったため、驚いたとともに「海外では思ったことは声に出して言わなければならないんだ」と小学生ながら気付かされました。
その後も同じようなことを繰り返し経験することで、日本では人前で話すことが苦手だった筆者が徐々に声に出して自己主張するようになりました。これも、ちょっとした失敗がその後の成長(成功)につながった例です。
ビジネスにおいても、会議などで思ったことをその場で言わなければ「異論はない」と判断されると言います。小さい頃からしっかりと主張することの重要性を知ることができたのは、筆者にとって大切な失敗だったと言えます。
失敗その3:自分で「できない」と決めつけて失敗
3つ目も筆者の失敗ですが、個人的にこれはとても良い思い出として心の中に残っています。これも、海外へ行って半年が過ぎた頃の出来事です。その頃は英語にもある程度慣れてきていたものの、まだ話せるというレベルではありませんでした。そんなときに、同学年の2クラスが合同でグループ分けをして、各グループで選択した課題について調べて全員の前で発表するというグループワークがありました。
筆者は何かを調べたり、発表したりする英語力は全く持っていなかったので、グループに加わることはないと思っていました。しかし、なんとグループに加えられてしまったのです。それでも自分は「きっと聞いているだけだろう」と思い、特に積極的に参加する姿勢を見せていませんでした。
そんな態度を見てかどうかは知りませんが、グループのメンバーたちから「メンバーなんだから参加するんだよ」と言われてしまいました。自分は英語ができないから「調べたり発表したりなんてできない」と勝手に決めつけてしまっていたのです。しかし、友人たちは筆者の英語力を知っていながら、それでも仲間外れにしたり、何もしなくても良いといったことは一切ありませんでした。
そして、なんと最終的には発表者という大役を任されたのです。決まった以上どうしようもなく、グループで作ったスクリプトを事前に確認したものの、意味どころか、読み方も分からない単語ばかりが並んでいました。そんな筆者に対して、グループの皆は1つずつ単語を声に出して読んでくれ、筆者は全ての単語にカタカナでふりがなを振りました。最後には筆者が2クラス全員の前に立ち、100%のカタカナ英語で発表を行いました。
恐らく、誰も筆者の言っていることを理解できなかったのではないでしょうか。しかし、それを馬鹿にする人は誰もおらず、頑張りに対して大きな拍手で祝福してくれました。
このときは「自分にできることには限界があるし、やらなくて良い」と考えて失敗はしましたが、それによって挑戦することへの重要性、そして仲間を支えるという大切なことを学びました。
自分のレベル的に「難しい」と感じることでも、諦めず挑戦してみれば、最終的には成功につながる、という良い例ではないでしょうか。
失敗その4:他の人のレベルと比較して失敗
最後は、筆者が今までの教師人生の中で見てきた、「この失敗だけはして欲しくない」というもので締めたいと思います。それは「他の人の英語レベルと比較してしまう「ということです。英語学習を始めたときは、誰もが初心者です。そこから学習を続ければ中級者や上級者、そしてネイティブレベルと言われる域に達することも可能です。
しかし、英語学習を始めた時期や学習期間も千差万別です。自分よりかなりレベルが上の人もいれば、下の人もいます。他の人たちと比較したところで、自身の英語力が上がる訳ではありません。自分より英語力が上の人と比べて自信を失ったり、下の人と比べて自信を持ったりすること自体、意味がないのです。
ただし、「他の学習者の英語から学ぼう」という姿勢は自身の英語力アップにもつながるので、むしろそういった意識を持つと良いでしょう。
おわりに
今回は「失敗」をテーマに、筆者の数ある失敗の中からいくつかの経験を紹介しました。英語における失敗は、多くの場合それが成功につながるものが多いです。自身の英語力を上げるためにも、色々な経験をして、失敗もしつつ、そこから何かを学べるようにしましょう。
さて、今回で「ITエンジニアのための やりなおし英語 実践レッスン Season4」は終了となります。また近々、Season 5でお会いできることを楽しみにしています!