英語が聞き取れる! リスニング力UP勉強法

2022年5月18日(水)
宮園 順光(みやぞの よりみつ)

はじめに

英語を学ぶ人達がぶつかる壁はいくつかありますが、その壁やぶつかる時期は学習経験、英語レベルによって多少異なります。しかし、多くの方が、文法、単語、発音、そしてリスニングの壁で悩まされたことがあるのではないでしょうか。

その中でも今回は、誰もが一度は「聞き取れない」と悩まされるリスニングの悩みを解決する勉強法を2つ紹介します。これらをしっかりと行うことで、英語を聞き取る力は間違いなく上がっていきます。

勉強法を見る前に、まずはそもそもなぜ「英語を聞き取れない」のか、その理由を確認するところから始めましょう。

1. 英語が聞き取れない理由

日本語は問題なく聞き取れるのに、なぜ英語は聞き取れないのでしょうか。日本人に聞き取れない音が存在したり、ましてや耳に問題があるわけではありません。

では、理由はどういったところにあるのでしょうか。こちらの記事でも解説しましたが、大きく下記の3つの理由が挙げられます。

  • 英語特有の音を知らない、または慣れていない
  • 英文を聞く際のスピードに慣れていない
  • 必要な単語や文法の知識が不足している

このように、英語が聞き取れないのは「慣れていない」ものがある、または「知識が不足している」ことが原因です。

単語や文法の知識が不足している場合、それを地道に増やしたり、学習・復習して補っていく必要があります。知識が不足していると、耳から英語が入ってきても「意味を持つ言葉」ではなく「英語という音」にしか聞こえないため、内容を理解できないのです。

英語特有の音(音の変化)を知らない、または慣れていない場合には、その音を知り、自身で言えるようになるよう練習をすることが大切です。英語特有の音を「理解できる音」として耳から入れることができれば、聞きながら英文の内容を理解できるようになります。

もしスピードに慣れていないのであれば、英語の速度に慣れる練習を行うことが求められます。ゆっくり話してもらえば理解できるけれど、自然な速度で話されると理解できない方は、スピードに慣れる必要があると言えます。

ここからは、英語特有の音を聞き取れるようにして、英語を聞きながら内容を理解するようになる勉強法、そして速い英語でも聞き取れるようになる勉強法を紹介します。

2. 英語を聞きながら
内容が理解できるようになる勉強法

英語を聞きながら内容を理解できるようになるには、まず英語の音の変化に対応できるようにすることが大切です。英語の音の変化が分からなければ、言われている英語を聞き取り、内容を理解することは難しいと言えます。

英語の音の変化

英語の音の変化には、主に下記の6つの種類があると言われています。

  1. 連結
  2. 脱落
  3. 同化
  4. 変形(ら行化)
  5. 弱形
  6. 短縮

いきなり全部を理解することは難しいかもしれませんが、これらのルールを少しずつ理解して、英語の音がどのように文で変化するのか知るようにしましょう。

最初は、特に連結と脱落、同化から理解することをおすすめします。これらのルールは、こちらの記事で解説しています。

英語を前から意味の塊で理解する

英語を聞きながら内容を理解できるようにする勉強法を知る前に、もう1つ知っておくべき重要なポイントがあります。「英語を聞きながら理解する」とは、具体的に「英文を一度聞いただけでその内容を理解する」と言い換えることができます。

そのために必要なことは、英文を前から理解することです。英文を前から理解するためには、英文に含まれる「英語の塊」に気付き、それらの英語の塊の順番通りに意味を理解していくようにすることが効果的です。

例えば、下記の英文を聞いたとしましょう。

My good friend from university came to Tokyo last weekend to attend a conference.

この文を自然な日本語に訳すと「先週末、大学時代の仲の良い友達が、会議に参加するために東京に来た。」となります。この文を読んだ場合、確認する時間もあるので、理解することに問題はないと思います。

しかし、もしこれを耳だけで聞いた場合、一度聞いて、すぐに理解できる自信はありますか? ちょっと難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。なぜ難しく感じるのか。その理由は、英語と日本語の語順の違いにあります。

英文を見ると「大学時代の仲の良い友達」「東京へ来た」「先週末」「会議に参加するために」という順番になっており、日本語の順番とは全然違うことが分かりますよね。この英文を綺麗な日本語にしようとすると、英文を何度か行ったり来たりする必要があります。そのため「英語を聞きながら内容を理解する」ことができなくなってしまうのです。

それでは、どうすれば良いのでしょうか。心配は無用です。もう一度英文を見てください。英語の語順を見ると、綺麗な日本語の順番とは情報の並べ方は異なるものの、前からそれらの情報を見ても、読みなおすことなく内容を理解できたのではないでしょうか。

そこがポイントです。英文に含まれる「英語の塊」を前から順番通り聞き取ることで、内容をきちんと理解できるのです。「英語の塊」については、こちらの記事のSTEP1も参考にしてみてくださいね。

英語の塊を確認し、英語の音の変化を加えながら声に出して練習することが、「英語を聞きながら理解する」という結果につながります。

スラッシュリーディングが効果的

英文を聞きながら内容を理解するために効果的な勉強法が「スラッシュリーディング」です。正確には、スラッシュリーディングを中心とした勉強法です。

スラッシュリーディングとは、文を意味の塊ごとにスラッシュ(斜線)で切って内容を理解する勉強法です。そのステップは下記の通りです。 この勉強法に必要なものは、英語のスクリプト(あれば日本語訳)と、その音源の2つのみです。

  1. 英語のスクリプトを見ながら音源を聞く
  2. 音の変化がある部分をスクリプトに記す
    ※全部確認できるまで繰り返し聞く
  3. スクリプトを意味の塊で区切る
  4. 分からない単語や表現は対訳か辞書を使って確認する
  5. 意味の塊を1つ声に出して読み、日本語で意味を言う
    ※この作業をスクリプトの最後まで繰り返す
  6. スクリプトの音源を聞いて、意味の塊ごとに意味を頭の中で再確認する
    ※最初に日本語で確認しても良いですが、慣れてきたら英語のまま理解しましょう
  7. 音源を流し、スクリプトを読みながら一緒に言えるようになるまで繰り返し練習する

スクリプトなしでも意味を理解し、音源と一緒に言えるようになったら、新しいスクリプトを始めるのが理想的です。

この勉強法は、残念ながら数回程度を行っても劇的な変化をもたらすことはありません。しかし、それぞれのステップをしっかりと習慣化して行うことで、確実に英語を聞きながら内容を理解できるようになります。

3. 速い英語でも聞き取れるようになる勉強法

英語が聞き取れない理由には、英語のスピードに慣れていないことがあります。この問題を解決するポイントは下記の2つです。

  • 英語を声に出して練習する量を増やすこと
  • 安心して話せる・聞ける英語の範囲を広げること

英語が聞き取れない人に共通して言えることが、英語を声に出して練習する量が足りていないこと、そして練習していても、自身が心地よく話せる(聞ける)速度で行っているということです。これらに変化を加えることで、今聞き取れる英語より速い英語を聞き取れるようになります。

そのために筆者がおすすめする勉強法を教えましょう。ここで用意するものは英語のスクリプトと、その音源の2つのみで、先ほど紹介した英語を聞きながら内容を理解する勉強法と同じものを使います。また、練習する前に予めスクリプトの内容を確認するようにしてください。

それでは、実際の学習法を見ていきましょう。ここでは「リピーティング」「オーバーラッピング」「シャドーイング」「速音読」の4つのステップで学習していきます。これらを全て組み合わせて練習していただければOKです。1セットにつき、全てのステップを3回ずつ行いましょう。ただし、回数は目安なので、減らすのは良くありませんが、増やすことは可能です。

①リピーティング

スクリプトを見ながら音源を聞き、切りの良いところ(文、または少し長い文の場合にはコンマの後等)まで聞いて止めてから、リピート。それを最後まで行います。必ず発音、音の変化、抑揚、アクセント等を意識して声に出すようにしましょう。

②オーバーラッピング

オーバーラッピングは音源に被せるように声に出して練習することです。スクリプトを見ながら、音源を流し、全く同じ速度と話し方で一緒に最後まで言えるよう練習しましょう。つまずいてしまう箇所は、音の変化や抑揚に対応できていないことが考えられます。そういった部分を確認をしながら、声に出して練習しましょう。

③シャドーイング

スクリプトを見ずに音源を聞き、聞こえた単語を影のように続けてしっかり声に出して言うようにしましょう。これにより、音を集中して聞き取る意識が生まれます。特に最初の頃は上手く言えず、途中で追いつかなくなってしまいますが、気にせず途中から再開して最後まで諦めずに練習しましょう。

④速音読

英語学習を行う際、多くの方が自身が落ち着いて話せる速度で練習する傾向があります。それが自然な速度であれば良いのですが、通常よりかなりゆっくりであれば注意が必要です。自然な速度の英語を耳にした場合に「速い」と感じるだけでなく、聞き取ることができない可能性が高いでしょう。

速い英語を聞き取れるようにするためには、自身が話す速度を上げる必要があります。これは、言語では「話せる」=「聞き取れる」という公式が成り立つからです。速音読はそのために効果的と言えます。

速音読の方法は簡単で、スクリプトを自身が限界だと思う速度で音読します。通常コンマやピリオドでは止まりますが、それらも無視して1秒でも早く読むという感じです。最初はかなり疲れますが、徐々に速い英語にも対応できるようになります。

1つのスクリプトを使って、これら4つのステップを毎日1週間ほど行えば、音源をかなり落ち着いて聞くことができるようになります。その段階で次のスクリプトに進み、これらのステップを繰り返し行いましょう。この学習を習慣化することで、速いスピードの英語が聞き取れるようになります。

おわりに

今回は、英語を聞き取れるようになるためのリスニング力アップの勉強法を紹介しました。英語を聞き取るために必要な単語や文法の知識が足りないと思ったら、それらの強化や見直しを行いましょう。

英語特有の音(音の変化)が分からないと思ったら1つ目の勉強法、そして英語の速度に慣れていないと思ったら2つ目の勉強法を行ってくださいね。もちろん頑張れる方は、全部行うことで総合的なリスニング力が上がり、さらにはスピーキング力の向上も期待できますよ。

今回紹介した勉強法は、継続することで効果が得られるものです。最初は慣れないと思いますが、しっかりと習慣化することで、リスニング力を上げて行きましょう!

著者
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン 取締役。小学校〜高校卒業までをベルギーで過ごす。上智大学を卒業後、大手英会話スクールにて7年間教務主任として多くのクラスを担当。外国人講師の指導にも従事。マンツーマン英会話教室の代表を経て、2014年から現職にて語学プログラムの総監修を務める。これまで1万人以上にレッスンを提供。TOEIC990点、英検1級。

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