ITエンジニアのための やりなおしの英語 実践レッスン Season 4 10

使い分けていますか? 英語の「カジュアルな表現」と「フォーマルな表現」

今回は、英語における「カジュアル(くだけた)な表現」と「フォーマル(ていねい)な表現」の違いを紹介します。

宮園 順光(みやぞの よりみつ)

2023年9月8日 6:30

目次

  1. はじめに
  2. 表現1:want to (〜をしたい)
  3. 表現2:can’t (できない)
  4. 表現3:Do this (これをして)
  5. 表現4:Thanks for your help. Really appreciate it
    (手伝ってくれてありがとう。感謝するよ)
  6. 4つ目の表現の説明に入る前に、Thanks for your help. Really appreciate it.と言われたらカジュアルだと感じますか、フォーマルだと感じますか。 appreciate(感謝する)という少しかしこまった単語が入っているので、フォーマルに聞こえますが、実はカジュアルに聞こえる表現です。理由は「単語が省略されているから」なのですね。 これを完全な文で書くと、Thank you for your help. I really appreciate it.となります。意味は同じですが、ThanksThank you、Really appreciateI really appreciateとすることでフォーマルに聞こえます。 英語では、単語や表現を省略・短縮して言いやすくすることがありますが、それによって多くの場合、カジュアルな表現になります。例えば、短縮で言うと、会話でよく使われる単語には下記のようなものがあります。
    gonnagoing to (~するつもり)
    wannawant to (~をしたい)
    cuzbecause (なぜなら)
    dunnodon’t know (知らない)
    これらは会話で耳にしますが、カジュアルな印象を与えます。ネイティブの人たちがビジネスシーンで使っていることもあります。基本的には使い分けや与える印象をしっかりと理解できるまでは、積極的に使うことをおすすめしません。 このように、単語が省略や短縮されたものでカジュアルとフォーマルな英語が異なる点も覚えておきましょう。
  7. 表現5:I don’t understand what you’re saying.
    (言っていることが分からないよ)
  8. おわりに

はじめに

英語に「敬語」はなく、誰とでも同じように話すという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。

確かに、英語には日本語のような敬語があるわけではありませんが、その代わりにていねいな表現を使って違いを出しています。これは英語ではFormal Englishと呼ばれており、ていねいな英語を指します。このフォーマルな英語はビジネスシーンや目上の人に使うことがあります。

同時に、英語にはその逆のCasual Englishも存在します。これは比較的砕けた英語で、友人や同僚等に使うことが多い英語です。

これは「どちらが良い」という話ではなく、使う場面や相手によって使い分けることが大切です。例えば、大事な商談でカジュアルな英語で話してしまうと、相手はあなたのことを「信用できない」と考えてしまう可能性があります。逆に、パーティー等で友人にていねいな英語を話せば場違いになってしまい、「変な人だ」と思われてしまう可能性が高くなります。

このように、「カジュアルな英語とフォーマルな英語がある」ことを知り、それぞれを適切な場面とタイミングで使い分けられると英語が上手に使えるようになります。

今回は、5つの表現におけるカジュアル、フォーマルな言い方を見ていきます。パターン(傾向)で見ていくものもあるので、ぜひ話す際の参考にしてください!

表現1:want to (〜をしたい)

最初の表現はwant toです。この表現を選んだ理由は、よく会話で使われるにもかかわらず、カジュアルとフォーマルな言い回しを分けずに使っている人が多いからです。

want toには「〜をしたい」という意味があることは知っていますよね。文で使うには、後に動詞の原形を続けます。例えば、「水を飲みたい」と言う場合はI want to drink water.となります。

これはとてもよく使われる表現ですが、カジュアルかフォーマルかで分けるとカジュアルに分類されます。よって、ていねいに話したい場合はwant toを格上げする表現を使うと良いでしょう。それがwould like toです。

want towould like toと全く同じ意味で文中での使い方も同じですが、相手に与える印象が異なります。

もし、顧客に「〇〇についてお話をさせていただきたい」と伝える場合には、I would like to talk to you about 〇〇.と言うことで、とてもていねいな印象を与えることができます。

意味は同じでも、こういった表現を使い分けられると、ビジネス等をよりスムーズに進めやすくなることもあります。

表現2:can’t (できない)

2つ目の表現は、何かが「できない」を意味するcan'tです。こちらもwant toと同様に、多くの人が使っているためピックアップしました。もちろん、何かができないと伝える際に、この表現を使うことは間違いではないのですが、これもカジュアル表現なので、使う相手や場面によっては砕けたように聞こえてしまいます。

特に、否定的な表現は、伝え方によって相手に不快な思いをさせる可能性があるので注意しましょう。例えば、誰かがcan’tを使って「お手伝いできません」とあなたにその旨を伝えたとしましょう。あなたは、下記の2つの文を言われた場合、印象の違いを感じますか?

I can’t help you.

I’m unable to help you.

どうでしょうか。意味は同じですが、①の方が突き放されている感じがしませんか。これはcan’tはカジュアルな英語で、unable tonot able toはフォーマルな英語だからです。相手に与える印象としては②の方が良いと言えます。

ちなみに、これらの文の前にクッション言葉でI’m afraid (残念ながら)などを入れることで相手を気遣う文に生まれ変わりますが、それでも①より②の方がていねいに聞こえることは変わりません。

これは、皆さんもよく使っている表現だと思いますので、ぜひ使い分けられるようにしておきましょう。

表現3:Do this (これをして)

3つ目の表現は、パターン的な説明です。例えば、Do this.と言った場合、動詞から始まる「命令形」の文で「これをやって」という意味になりますよね。

悪気はなくても、無意識に命令形を使って命令口調で話している人も多くいます。これは、完全にカジュアルな表現で、友人に使った場合でも相手を不快にさせる可能性があるので注意しましょう。

例えば「そのコーヒーを取って」と伝える際にPass me the coffee.と言ったとしましょう。これは英文として正しいのですが、命令形のためカジュアルな表現になります。これくらいであれば、友人や同期等に使っても「Sure (いいよ)」くらいで返してくれると思います。

しかし、これをあまり知らない相手や目上の人に使った場合、間違いなく相手は命令されたと思って不快に感じるでしょう(そもそも、そのような人に「コーヒーを取って」と頼んでいること自体が失礼だという点は置いておきます)。

では、このような場合には、どのように言えばていねいな表現になるのでしょうか。命令形の文の前に、ていねいで便利な依頼の表現を足すと良いでしょう。いくつかありますが、代表的なものは下記の表現です。

Could you …?
例:Could you pass me the coffee? (そのコーヒーを取ってもらえますか?)

Would you mind …ing?
例:Would you mind passing me the coffee? (そのコーヒーを取っていただけますか?)

このように、命令形を使うとカジュアルな表現になりますが、ちょっとしたていねいな表現を足すと一瞬でフォーマルな表現に変えることができます。ぜひ使ってみてくださいね。

表現4:Thanks for your help. Really appreciate it
(手伝ってくれてありがとう。感謝するよ)

4つ目の表現の説明に入る前に、Thanks for your help. Really appreciate it.と言われたらカジュアルだと感じますか、フォーマルだと感じますか。

appreciate(感謝する)という少しかしこまった単語が入っているので、フォーマルに聞こえますが、実はカジュアルに聞こえる表現です。理由は「単語が省略されているから」なのですね。

これを完全な文で書くと、Thank you for your help. I really appreciate it.となります。意味は同じですが、ThanksThank you、Really appreciateI really appreciateとすることでフォーマルに聞こえます。

英語では、単語や表現を省略・短縮して言いやすくすることがありますが、それによって多くの場合、カジュアルな表現になります。例えば、短縮で言うと、会話でよく使われる単語には下記のようなものがあります。

gonnagoing to (~するつもり)
wannawant to (~をしたい)
cuzbecause (なぜなら)
dunnodon’t know (知らない)

これらは会話で耳にしますが、カジュアルな印象を与えます。ネイティブの人たちがビジネスシーンで使っていることもあります。基本的には使い分けや与える印象をしっかりと理解できるまでは、積極的に使うことをおすすめしません。

このように、単語が省略や短縮されたものでカジュアルとフォーマルな英語が異なる点も覚えておきましょう。

表現5:I don’t understand what you’re saying.
(言っていることが分からないよ)

あなたが、何らかの説明を聞いて、ちょっと理解できない部分があったとしましょう。その際にI don’t understand what you’re saying.と言った場合、相手は良い気分にはなりません。その理由は、かなり直接的な言い方だからです。

英語では「結論を先に言う」「遠回りな表現は好まれない」と言われたりしますよね。もちろん間違いではないのですが、だからといって何でも「常に直接的に言えば良い」というわけではありません。確かに議論をする際にI disagree.(同意できません)のように直接的な表現を使うこともありますが、英語でも基本的に「相手がどのように受け取るか」を考えて話すことが多くあるのです。

この表現のように直接的な表現はカジュアルに聞こえるものが多い傾向にあります。これをフォーマルでありつつも、そこまで直接的に聞こえないようにするには、副詞を使ったり、似ている意味を持つ単語に変えるといった方法があります。

先ほどのI don’t understand what you’re saying.を例に見てみてみましょう。

I don’t really understand what you mean.
 (あなたが意図していることがいまいち理解できていません。)

really(他にもquite)といった副詞を入れることで「理解できない」を「あまり」や「いまいち」と和らげることができます。またsayingmeanに変えることで「言っていること」ではなく「意図」となるため、相手を理解しようとしている姿勢があると受け取られます。

文にこのような変更を加えると、よりフォーマルな表現にできます。少し難しい部分もありますが、他の人たちがこういった方法を使っていないか聞いてみると良いでしょう。

おわりに

今回は、5つの表現におけるカジュアルな表現とフォーマルな表現の違いを紹介しました。英語ではどちらの表現もよく使われるので、違いを理解した上で、場面や相手に適した選択をして使い分けられるようにしましょう。

ちなみに、その場でどのような英語を使うべきか分からない場合には、周りの人たちが実際に使っている英語を聞いて判断するのも有効な方法です。しかし、その判断ができても、カジュアルとフォーマルな英語表現の知識がなければ使い分けられませんので、日ごろから少しずつこれらを意識して学習していきましょう!

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