ネイティブ講師インタビュー① ここが変だよジャパニーズ・イングリッシュ!
はじめに
言葉を覚える際に、間違えたり、恥ずかしい思いをすることは必ずあります。間違いから学べることも多いので、積極的に話した結果の間違いであれば前向きに捉えるべきだと言えます。
ただ、間違いの中でも、日本人の多くが「ついついやってしまう間違い」というものがあります。日本語のニュアンスや言い方に原因があるものなので、通称「ジャパニーズ・イングリッシュ」と呼ばれます。
このジャパニーズ・イングリッシュは、話す方は得てして気づかない場合が多いです。そこで今回は、本シリーズでも何度か動画で登場しているイギリス出身で日本在住、日本語も話せるキティ先生にインタビューを行い、そこで出た「ネイティブだからこそ気になるジャパニーズ・イングリッシュ」を3つのポイントに絞ってまとめました。
日本人の英語学習者へ向けた愛情を込めた指摘なので、ぜひ前向きに捉え、面白い部分は笑いながら参考にしてみてください!
1. 日本語の直訳で出来上がる
ジャパニーズ・イングリッシュ
まずキティ先生が挙げたのは、日本語を全て直訳することで出来上がるジャパニーズ・イングリッシュです。これらの中には、言っていることは伝わるけれど不自然になってしまうものもあれば、意味自体が通じないものもあるそうです。例を見てみましょう。
「単に7時だよ?」
日本語にすると変なことが分かりますよね。でも、これは実際にキティ先生が担当する複数の生徒さんから聞いたものだそうです。生徒さん達が言っていた文はこちらです。
It’s just 7 o’clock.
言いたかったのは、「今ちょうど7時だよ」ということだったようです。justは「ちょうど」と訳せますが、それを日本語の語順で英語にしてしまったために起こったジャパニーズ・イングリッシュです。
この場合、おすすめの言い方はIt’s exactly 7 o’clock.です。もし、どうしてもjustを使いたい場合はIt’s 7 o’clock just.のように、時間の後に持ってきましょう。
「私達は私と一緒に映画を観に行こうよ!」
ノリが良く、一緒に映画を観に行きたくなりますね。日本語でも「一緒に行きたい!」という気持ちがしっかり伝わりますが、ちょっと不自然ですね。キティ先生いわく、これもよくある間違いとのこと。
Let’s go to the movies with me!
「どのように寿司は味がするみたいですか?」
もしこのような質問をされたら、何となく分かりそうだけれども、答えに困ってしまうような文ですね。
How does sushi taste like?
おそらく「寿司はどのような味がしますか?」という感想を聞きたいのだと思いますが、これを訳す際に「どのような」という意味のhowとlikeの両方を入れてしまったパターンです。また、How taste this sushi?のように「どのような=how」+「味=taste」と直訳する人も少なくはないとのことです。
この文は、次の2つの訳がおすすめです。
①How does sushi taste?
②What does sushi taste like?
①は、寿司がどのような味なのか、食べた人の印象で伝えて欲しいということですね。「甘い」とか「あっさりしている」といった形容詞を使って答えるようになります。
それに対して、②はwhat(何)で始まっているので、whatとlikeの組み合わせで「例えると何の食べ物の様か?」という意味になり、味が似ている食べ物(名詞)で答えることが多くなります。
キティ先生の印象としては、日本人は情報を一語一句正確に訳そうとしてしまう傾向が強いので、こういった間違いが起こるのではないかとのことでした。ある程度直訳することは問題ありませんが、それが難しい場合や、今回のように誤解が生じてしまう場合もあるので注意が必要です。
2. 礼儀正しい人なのに
直球なジャパニーズ・イングリッシュ
続いてのジャパニーズ・イングリッシュは、直球な英語です。これは、日本人の学習者は礼儀正しいのに、英語になると突然直球、または攻撃的な表現を使って驚かされることがあるとのことでした。他にも(話し手の意図とは異なり)馴れ馴れしい表現で話すようなこともあるそうです。 これらは全て、覚えた表現を間違った場所やタイミングで使ってしまうことが原因のようです。
「これを明日までに支払って。さもなくば…」
何だか物騒に聞こえますね。しかし、これは実際にキティ先生の生徒さん達が、支払いの期限を伝える練習の際に、何度も繰り返し言っていたもののようです。
You’d better pay this by tomorrow.
なぜ強く聞こえたかと言うと、had betterという表現を使っていたからです。この表現を単に「〜した方が良い」とか「〜すべき」という意味で覚えている方も多いと思いますが、この表現のニュアンスは「~をしてください。(さもなくば)」という「強い意味」を持つものです。
今回のような場合は、次のような表現がおすすめです。
This payment needs to be made by tomorrow.
(この支払は明日までに完了させてください)
You「あなた」という単語を入れずに、payment「支払い」を主語にすることで、文の焦点を「支払いすること」に当てることができます。このように、人を主語にしないことで、支払いのような少しデリケートな話題でも上手に伝えることができます。
英語の表現は意味を正しく理解することはもちろんですが、どのように使うものなのかを知ることもとても大切ですね。
「なんか文句でもあるの?」
突然言われたらびっくりしてしまいますね。まして心配そうな表情で言われたら、言われた人は心配されているのか、不満があるのか分からず、混乱してしまいます。これは、表現の意味を間違えて覚えてしまったパターンです。
What’s your problem?
これを「何が問題なの?」と心配して聞く表現だと思って使った場合は、上記のような正反対の印象を相手に与えてしまうことになります。 What’s your problem?は、けんか腰で「文句ある?」と言う際に用いる表現なので注意しましょう。この表現を間違えて覚えてしまっている人も多くいるそうです。
この場合は、Problemを使わずに、What’s the matter?やIs everything all right?といった表現を使うことで、相手に心配していることを伝えることができます。
「あなたの意見が欲しいんだ」
これは、少し砕けた表現という印象を与えてはいるものの、大きな問題はないように見えますよね。しかし、日本人が使ってしまう英語で、キティ先生はヒヤッとすることも多々あるそうです。どういうことか説明する前に、英文を見てみましょう。
I want your opinion.
文法的な間違いはなく、実際にネイティブでも使う表現ではあります。では、何が問題なのでしょうか。それは「使う相手」です。これを友人や同期や部下に言う分にはまったく問題はありません。しかし、相手が上司だったらどうでしょうか。キティ先生のこれまでの経験から、用いる表現が相手に与える印象を正しく理解しておらず、聞いていて冷や汗をかいてしまう場面に遭遇したことも多くあったそうです。
今回の表現を丁寧、または目上の方に伝える際は、次のような言い方がオススメです。
May I ask for your opinion?
I would like to have your opinion.
また、「〇〇について」と足す場合は、opinionの後にon/about 〇〇と付けましょう。
日本人学習者は「意味の正確性」を強く意識しますが、ニュアンスや相手に与える印象といった部分の確認が抜けてしまうことがあるため、間違ったシーンやタイミングでこういった表現を使ってしまうことがあるそうです。
このような点にも意識を向けてみると良いですね。
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