GitHub Universe 2025レポート 5

GitHub Universe 2025、日本からの参加者による座談会を開催

GitHub Universe 2025の会場にて日本からの参加者による座談会を開き、会場のようすなどを語ってもらった。

松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

6:00

GitHub Universe 2025に参加していた日本人を集めて座談会を実施した。インタビューはカンファレンス最終日の夕方に株式会社ZOZOのエンジニアの輿水勇輝氏、BIPROGY株式会社のエンジニアの富永陽一氏及びプロダクトマネージメント担当の村野葉月氏を招いて行われた。

今回は3名とも初めての参加ということですが、印象はどんな感じですか?

左から輿水氏、富永氏、村野氏

左から輿水氏、富永氏、村野氏

輿水:初めて参加したんですが、GitHubが持っているエネルギーを凄く感じましたね。勢いがあるというか。

富永:AIに関するトピックがやはり多かった感がありますね。あらゆるところにAIが出てくる、AIエージェントだらけでした。我々はGitHubのAIを知りたかったので、そこは良かったですけど。

村野:GitHubのカルチャーが感じられるカンファレンスだったなという印象ですね。開発者やコミュニティのカルチャーみたいなものをみんなで盛り上げようという気持ちを感じました。

カンファレンスは2日間でコンパクトにまとまっていた感がありますが、初日のキーノートにはCopilotだけではなくAgent HQという新しい機能も紹介されました。だいたい初日のキーノートで新しいことを言って2日目はコミュニティにまつわるトピックやユーザーを連れてきて喋らせるというのが定番ですが、どんな評価ですか?

富永:GitHubはプラットフォームを目指すんだなという意図は感じましたね。点のソリューションじゃなくて面で攻めるというか。そうだろうと想定はしていたので驚きはなかったですね。

村野:私は開発者ではないので違った見方かもしれませんが、開発者向けや管理者向けといったそれぞれの機能が揃ってきたことで、IT系Tech企業だけでなく、社内ルールなどが厳しい一般企業でも安心してGitHubのAI機能を活用したソフトウェア開発をできるようになりつつあるんだなという印象は持ちましたね。

輿水:Agent HQはAIの抽象化のレイヤーとして動いていくのかなと。Agent HQが一旦受け止めて適材適所という意味で、Agent HQがそれぞれの生成AIのツールに仕事を割り振っていく役割を担うのだという理解です。

今回のキーノートではCopilotとAgent HQがメインだったんですが、他のベンダーのカンファレンスだと生成AIはMCPと抱き合わせみたいな感じですが、GitHubは敢えてMCPという単語を使っていなかった気がするんですが、それについては?

輿水:それについては気付かなかったですね。確かに言われてみればそうだったかもしれません。

今回、おもしろいと思ったのはデベロッパーが関わるタスクに関する説明はGitHubの人がやるんですが、それ以降のタスク、つまりSREみたいな運用サイドの話になるとだいたいMicrosoftのエンジニアが説明するという場面が多かったような気がして、そうか、そういう役割分担なんだぁと思ったんですよね。

富永:SRE Agentを持っているのがMicrosoftなんで、そこをMicrosoftがやるのは自然だった気がしますね。今回、プロジェクトの計画を作るPlan Modeというのが出てきて、個人的に興味を持ちました。でもどこまでやれるのかというところが知りたいですね。もともとGitHubはデベロッパーのプラットフォームなので、それをAzureのようなインフラストラクチャーで実装するところは、GitHub社員じゃなくてMicrosoftの人が説明するということなんだと思いました。

実際に私が聴いたセッションではMicrosoftのエンジニアが3人出てきて、アプリケーションの開発からSRE的なタスクまで全部、Microsoftのエンジニアがやってましたけどね(笑)。村野さんは何がおもしろかったですか?

村野:そうですね、当社でもソフトウェア開発ライフサイクル全般でAIを活用する取り組みを進めていまして。SRE AgentやAgent HQのようにGitHub以外のエージェントとの連携が広がったことで、自分たちの開発や運用に合わせてサービスをどうやって組み合わせたら良いのか? という部分についてはいろいろなアイデアを貰えたような気がします。

GitHubは数年前にGitHub Actionsを出して、その後Copilotが出てきて、今回はAgent HQという風にカバーする裾野が拡がっているんですよね。そしてAIがコードを書くというのが当たり前になってきた。Kyle Daigle(GitHubのCOO)が言っていたのは「AIの否定派は『AIの書いたコードを信用できるのか!』みたいな議論になるけど、実際にはAI、つまりCopilotにはデベロッパーが毎日やっている面倒な仕事をAIに割り振ってデベロッパーはより創造的な仕事に専念しましょう、そうやってAIを使って欲しい」ってことなんですよね。

輿水:GitHubが提案しているAIの機能と方向性については個人的には正しいような気がしていますね。なぜなら、エンタープライズですでに多くのコードが存在するような環境でどうやって活かすべきか? といった疑問に対してGitHubの提案はすごく合っていると思うからです。

実際にAIを使っている側からすると、確かにAIによってコードを書く速度は速くなって、コードの量も増えましたけど、その分、レビューの作業量というのも増えてしまっています。この変化に人間のほうが追い付いていないというか、人間とAIの役割分担がまだ手探りな感じがするんです。その点に対してAIの機能を高めるだけではなく、人間がやっている仕事にこうやってAIを取り入れると便利になるよというような提案ですね。AIそのものの機能を高めるという方向よりもAIと現実の仕事とのギャップを埋めるという方向だったのが良かったと思います。そこには納得感がありましたね。今回は良い話が聞けたと思います。

AI否定派の主張としてありがちなのが「生成AIはハルシネーションを起こす、つまり間違うじゃないか! だから生成AIはまだ使い物にならない!」というものがあります。今回、MicrosoftがSpec Kitのデモで見せていたプロジェクトにはconstitution.mdファイル(constitution:憲法)という仕組みがあり、プロジェクトが絶対に守らないといけない厳密なルールをそこにMarkdownで書き、その他の仕様やルールもMarkdownで書くというのが当たり前になっています。このような仕組みを使えば相当に精度が高いアウトプットが出てくるんじゃないかなという気がしますよね。

富永:我々も大きなプロジェクトをやる時はパートナーの開発会社を巻き込んで一緒にやりますけど、その時もちゃんとルールや決まりを作って共有するので違和感はないですよね。ただそれをAIが読み易いようにマークダウンで書くという点が異なるだけですね。

ただこれまでは人間同士で暗黙知みたいな感じでやれていたのを生成AI向けに厳密に言語化する必要があるという仕事は増えますけどね。では、これからのGitHubに期待したいことは何ですか?

富永:私は仕様駆動型の開発に関しての話をもう少し聞きたかったかなと。そこについてはあまり深く解説したセッションに出られなかっただけかもしれませんけど。キャセイパシフィックが話していたユースケースではシフトレフトをやるという話で、かなり具体的にエンタープライズでの開発について語っていたのは良かったですね。

GitHub Universeで解説された新しい仕様駆動型のフレームワークSpec Kitについては、以下のURLを参照されたい。

●参考:Spec Kit:https://github.com/github/spec-kit

2日目のキーノートでインドのオープンソースの非営利団体が出てきて「インドの地方の病院ではまだシステム化が進んでないので病院用のシステムをオープンソースで作ってます!」みたいな話がされていて、Kyle Daigleが思いっきり褒めてましたし、会場でも賞賛されてましたけど、私はアレを聞いた時に日本で同じように「病院向けのシステムを全部オープンソースで作って納品してます!」ってやったら困るソフトウェア会社は多いんじゃないかなということでしたね(笑)。

富永:変なところから横槍が入るかもしれませんね(笑)。

皆さん、来年も来たいですか?

輿水:来年も参加したいですね。

村野:ぜひ来たいと思います。

富永:私も来たいですね。

最後は笑顔で座談会終了

最後は笑顔で座談会終了

来年、GitHub Universeに来る時は若いエンジニアを連れてくると良いと思います。カンファレンス自体がおしゃれにできてますし、楽しいので。御飯もまぁまぁおいしいですし、ラッテも無料で飲めますから。

3名とも初めてのGitHub Universe参加ということだったが、工夫されたセッション会場やベンダーブースの傍に設置されたデモステーションなどでのプレゼンテーションを充分に堪能したようすだった。11月のサンフランシスコにしては天気が良く暖かかったのがプラスだったのかもしれない。2026年のGitHub Universeで1年の経過を聞いてみたいと思った。

インタビューを行ったプレス向けラウンジの外にはカモメがお出迎え

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