徹底比較!OSS監視ソフトウエア
各ソフトウエアの情報量と検索トラフィックの比較
システム監視ソフトウエアに限らず、オープンソースソフトウエアは商用のソフトウエアとは異なり、販売されたライセンス数や販売額からシェアを割り出すことができません。そのため、本連載ではシェアの比較を行うための指標として各ソフトウエア名をGoogleで検索した検索結果の数と、Googleトレンドを利用して検索トラフィックの比較を行います。
オープンソースのソフトウエアを選定/利用する際には、コミュニティやブログなどによる情報量や認知度も重要です。よって、こうした情報量の調べ方も客観的な指標の1つとしてとらえて参考にしてみてください。
まず、Googleで検索を行った時に表示される検索結果数を用いて情報量の比較を行います。なお、検索に際しては、Googleアカウントにログインしない状態でソフトウエアの正式名称を""(ダブルクォーテーション)で囲って行いました(図3-1)。なお、この値はすべて原稿執筆時点(2008年12月現在)のものです。
Web全体、日本語ページともにNagiosがトップです。ソフトウエア自体の歴史が最も古く、利用実績も多いことから情報量は非常に豊富であることが分かります。
なお、Hobbit Monitorは正式名称が使われることが少ないためか、正確な情報が採取できていないと考えられるため、今回の比較では考察対象から外しています。
統合型のうち後発組であるZABBIX、Hinemos、Zenoss、Growndwork Monitor、Hyperic HQを比較すると、Web全体ではZABBIXとZenoss、日本語ページではZABBIXとHinemosがNagiosに次いで情報量が多いことが分かります。
Cacti、Munin、Monitの特化型はNagiosと比較しても情報量は豊富であるといえます。同じグラフ作成に特化したCactiとMuninで比較すると、Web全体ではCactiの情報量が多く、日本語ページではMuninの方が多くなっています。
Googleトレンドによる検索数の比較
続いて、Googleトレンド(http://www.google.com/trends)を利用した検索トラフィックによる比較を行います。いくつかに分けて調査を行い、それぞれNagiosを「1」とした場合の相対的な値を示しています(図3-2)。なお、この値はすべて原稿執筆時点(2008年12月現在)のものです。
Web全体、日本語ページともに検索トラフィックはNagiosがトップです。検索結果数による比較と同様、Hobbit Monitorは正確な数値が出ていないと思われるために考察対象からは外しています。
統合型のソフトウエアでは、Web全体ではNagios、ZABBIX、Zenoss、日本国内ではNagios、ZABBIX、Hinemosがトップ3になっています。ZenossとHinemosは世界全体と日本国内で結果に顕著な差が見られ、Zenossは世界全体では0.14ですが、日本語ページでは0となっており、世界ではそれなりの認知度がありますが、日本国内では普及していないことが分かります。逆に、Hinemosは日本語ページでは0.37と非常に検索トラフィックが多い反面、世界で見ると0.02と低い数値になっています。
特化型のソフトウエアではCactiが非常に検索トラフィックも多く、ほかのソフトウエアを大幅に上回っています。これは検索結果数でも同様の傾向であったことから、Cactiは世界的にも日本国内でも幅広く利用されていることが分かります。
Googleの検索結果やGoogleトレンドの数値は、状況によって日々刻々と変化していますし、実情とは若干異なるかもしれません。しかし、監視ソフトウエアを選択するにあたって判断指標の1つとして参考になるでしょう。
さて、ここまでオープンソースのシステム監視ソフトウエアについて解説を行いました。オープンソースのシステム監視ソフトウエアは、それぞれに特徴があることがお分かりいただけたと思います。
選定の際にはどのような機能が必要で、今後のどのように監視項目を拡張していくかというシステム要件と拡張計画をたてた上で導入を行うことが重要です。一見同様のソフトウエアに見えても、使ってみると想像していたものと全く違ったということもありますので、選定の際には試用してみることをお勧めします。
次回は商用の監視ソフトウエアについて解説を行います。