押さえておきたい選定の重要ポイント
システム監視ソフトウエアの大分類
今回は、連載のまとめとしてシステム監視ソフトウエアを選定する場合の立場から、オープンソース、商用のソフトウエアを総括し、選定する際のポイントを解説します。
これまで解説してきたオープンソース、商用の監視ソフトウエアを総括すると、大きく、「大手ベンダー製品」「専業ベンダー製品」「オープンソースの統合型」「オープンソースの特化型」の4つに分類することができます。
これらのカテゴリごとに大きく特徴が異なるため、システム監視ソフトウエアを選定する際には、まずこの4つのカテゴリから適したものを選択し、その後各カテゴリ内で個別のソフトウエアを選択するのが良いでしょう。
各カテゴリのソフトウエアの特徴を図1にまとめました。
カテゴリごとのソフトウエアの特徴
大手ベンダー製品に分類されるのはJP1、Systemwalker、Tivoli、WebSAMです。これらのソフトウエアは、管理ソフトウエアと連携してシステム全体を監視、管理することができます。非常に高機能ですが、その分ソフトウエア自体が複雑で難しく、高価です。
主に大規模システムでシステム全体を監視/管理する場合に適しているといえます。また、ハードウエアの監視機能が標準で用意されていることが多い点も特徴です。多くの場合、システムで利用しているサーバーのハードウエアベンダーのものを利用することがほとんどです。
専業ベンダー製品に分類されるのはSenju、Net-ADM、NetCrunch、HDE Centerです。大手ベンダー製品よりも価格が安く、商用サポートが受けられることから、中規模以上のシステムに適しているといえます。また、管理機能を有しているソフトウエアもあり、この点はオープンソースのソフトウエアと比較して大きなメリットになります。
このカテゴリのソフトウエアは紹介したもの以外にも多数のベンダーからさまざまなソフトウエアが開発されているため、選定の際は十分に調査と比較を行うのが良いでしょう。
OSS統合型に分類されるのは、Nagios、Hobbit Monitor、ZABBIX、Hinemos、Zenoss、Groundwork Monitor、Hyperic HQです。オープンソースであるためライセンス費用がかからないことが大きなメリットです。
注意点としては、構築の際の監視設定のカスタマイズが必要になる場合があることや、製品によっては日本国内で商用サポートを提供している企業がない場合があることなどが挙げられます。これらの注意点を除けば、監視機能は必要十分に備えているソフトウエアも多く、商用ソフトウエアに比べてコストダウンをはかることができます。
OSS特化型に分類されるのはCacti、Munin、Monitです。これらのソフトウエアはリソース監視もしくは死活監視のどちらかの機能を備えています。ソフトウエア自体がシンプルなため、容易に導入することができます。
商用のサポートを提供している企業が存在しないので、小規模のシステム、もしくはシステムの一部に導入する場合に適しているといえます。設定や表示方法から考えて、大規模なシステムへの対応や機能拡張は難しい面も多いため、本格的な監視システムを構築するためのものではなく、補助的なツールととらえた方が良いでしょう。
続いてコストの面から選定ポイントを考えてみましょう。