徹底比較!商用の監視ソフトウエア
商用のシステム監視ソフトウエアの特徴
「第2回:徹底比較!OSS監視ソフトウエア」では、オープンソースのシステム監視ソフトウエアについて掘り下げて解説を行いました。第3回となる今回は、商用のシステム監視ソフトウエアについて解説を行います。
商用の監視ソフトウエアは、自社でハードウエアや各種ミドルウエアを販売している大手ベンダー製品であるJP1、Systemwalker、WebSAM、Tivoliと、それ以外の専業ベンダー製品であるSenju、Net-ADM、NetCrunch、HDE Centerの大きく2つに分けることができます。両者にはさまざまな点で違いがあるため、今回はこの2種類に分けて解説を行います。
オープンソースのものと比較して、商用製品はハードウエアやソフトウエアの対応が充実している点が特徴として挙げられます。
大手ベンダー製品は、自社製のハードウエアやソフトウエアについては、標準またはオプションでそれに対応する監視機能と設定が用意されている場合が多くあります。これにより、導入や運用の手間が大きく削減されますので、特定ベンダーのハードウエアで統一されているシステムの場合、大きなメリットになります。
また、よく利用される主要OSやソフトウエア、ネットワーク機器などについてもオプションで監視機能と設定が用意されていることも多く、オプションを購入することで、一般的な監視項目や閾値(しきいち)を用いた監視を行うことが可能です。こうしたオプションを活用することでも、監視システム構築の際の手間を削減することができます。
専業ベンダー製品では、Senjuが主要ソフトウエア監視オプションを提供していますが、そのほかのソフトウエアでは特定のハードウエア、ソフトウエア用のオプションは用意されていません。そのため、監視システム構築の際にはハードウエア監視やソフトウエア監視の要件定義を行い、必要に応じてスクリプトなどの作り込みが必要になることがあります。ハードウエアとアプリケーションの監視機能について、図1-1にまとめています。
価格とサポート
続いて、価格とサポートはどうでしょうか。
商用のシステム監視ソフトウエアは、監視マネージャ、監視エージェントの導入台数、監視するソフトウエアの種別ごとにライセンスが発生する場合が多く、システム規模に応じてライセンス価格が大きく変動します。
特に大手ハードウエアベンダー製品にその傾向が顕著であり、システム全体の管理を行うためには数100万円~数1,000万円の費用を要することも珍しくありません。基本的には大規模システムを想定した価格設定になっているといえます。
なお、ベンダーによっては、一部機能を制限した中小規模向けの製品や特定ハードウエアにバンドルされた簡易版が用意されていることがあり、数10万円から導入ができるものもあります。
専業ベンダーの製品は大手ベンダー製品と比較して安価であり、有している機能から考えて、中規模以上のシステムをターゲットにしていると思われる製品が大半です。もちろん、商用製品であるため、各社商用サポートを受けることができます。年間のサポート価格は、ライセンス価格の15%程度に設定されていることが多いようです。
続いてシステム監視以外の機能について、見てみましょう。システム監視以外の機能も導入にあたってはぜひ検討したいポイントです。
商用のシステム監視ソフトウエアは、監視以外の機能が充実しており、監視機能と連携してシステム全体の管理を行うことができるものが多くあります。特に大手ベンダーが開発を行っている製品にその傾向が顕著であり、ジョブコントローラ、スケジューラをはじめとする管理機能や、資産配布、セキュリティーマネジメントなど多岐に及びます。
運用管理全般をシステム化することによって、システム全体のトータルマネジメントを行うことが可能であり、ITIL準拠やSOX法対応のために利用することができます。その代わりに、製品自体が多機能、高機能になることからソフトウエアやそのライセンス体系が複雑化しやすく、オープンソースのものと比べて機能や操作を理解することが比較的難しい傾向があります。
専業ベンダーが開発している製品のうち、Senjuについては大手ベンダーと遜色(そんしょく)ない機能を有しており、Net-ADM、NetCrunch、HDE Centerについてはそのほかのソフトウエアと比較して機能はシンプルであり、導入や運用も比較的容易であるといえます。付加機能の比較表を図1-2にまとめました。
続いて、専用エージェント型とエージェントレス型に分けて、機能を考えてみましょう。