徹底比較!商用の監視ソフトウエア
各ソフトウエアのシェアを比較
少し古いデータにはなりますが、IDC Japanが2007年8月に発表している資料「国内インフラストラクチャマネージメントソフトウェア市場2006年の分析と2007年~2011年の予測」をもとに、各ソフトウエアの売り上げシェアを比較します。なお、このデータは監視機能だけでなく、システム全体の管理ソフトウエアを含めたものであるため、専業ベンダーのシェアが相対的に低くなっていることに注意が必要です。
まずは売り上げによる各ソフトウエアの市場シェアです。ベンダーのシェアはJP1をトップにSystemwalker、WebSAMとなっており、国内市場はこの3製品で70%程度のシェアを占めることになり、多少の増減はありますがシェアの割合は2005年、2006年でそれほど変わっていません。また、市場全体は2005年から2006年で8.3%の成長となっています。
次に、各ソフトウエアの稼働環境別の売り上げデータです。環境別ではWindows、UNIX、メインフレームがほとんどであり、伸びてはいるもののLinuxを利用したシステムでは、相対的にそれほど利用されていないことが分かります。Linuxを利用したシステムは、比較的中小規模に多いことを考慮しても、各OSの違いで監視システムの要不要がそれほど変わるとは考えられないため、商用OSには商用の監視ソフトウエアが利用され、Linuxではオープンソースの監視ソフトウエア、もしくは中小規模をターゲットとした安価な製品の利用が多い傾向があるのではないかと考えられます。
なお、売り上げシェアで5位になっているHewlett-Packard社の製品はHP Software(旧HPOpenView)という製品群です。基本的にはほかの大手ベンダー製品と同様にシステム全体を管理することが可能となっています。リソース監視にはHP Operations Center、死活監視にはHP Network Management Centerというソフトウエアを利用します。2007年に名称変更とソフトウエア群の再編が行われたこともあり、情報やデータが少なかったために本連載では解説を行っておりません。
商用ソフトウエアの総括
商用のシステム監視ソフトウエアについて解説を行いました。大手ベンダーが開発している商用のシステム監視ソフトウエアには、監視機能自体にはそれほど差がないため、監視機能以外の管理機能や価格で選定する必要があります。現実的には、利用しているハードウエアやソフトウエア、運用管理を委託している企業とかかわりの深いベンダーの製品が選ばれることが多いように思います。
専業ベンダーの製品のうち、Senjuは大手ベンダーと同程度の機能を備えているため、特にマルチベンダーのシステムでメリットが出やすいといえます。そのほかの製品については、監視方法や付加機能にそれぞれの特徴があるため、利用の際には、要件に応じて選定を行う必要があるでしょう。
今回取り上げたソフトウエアは、数ある商用のシステム監視ソフトウエアのうちのほんの一部です。特に中規模向けのソフトウエアはさまざまな企業が開発/販売を行っており、OSの対応や機能の有無などによってそれぞれ特徴があります。すべてをご紹介することは難しいのですが、ここでご紹介できなかったソフトウエアを検討される際も、比較項目の参考としていただければと思います。
さて、最終回となる次回は、オープンソース、商用の両方を含めたシステム監視ソフトウエアの総括と、選定の際のポイントを解説します。