本質的なSEOとは

2009年2月9日(月)
中島 公平

ビジネス視点から見た成果指標の例

 成果指標とは、ビジネス成果を測るために用いる物差しのことです。成果指標において何を物差しとするのかは、企業ごとにまったく異なります。製造業であれば製品の売上高が、宿泊業であれば宿泊施設の売上高が、保険業であれば保険商品の売上高などがそれに該当します。

 そして、企業にとっての成果指標は単に売上高のみではありません。新たに利益を獲得するだけではなく、経費を削減することも立派なビジネス成果であると言えます。リピーターや顧客における満足度の向上などもビジネス成果にインパクトを与える要因としてここに含まれるべき要素です。また、Webサイトの運用、更新に多くの費用がかさんでいる場合、これを削減することも経費削減の観点から見ればビジネス成果と言えるものでしょう。

 多様な業種業態を持つ企業が、自社の掲げる目標に合致する成果指標を持つこと、これこそがWebサイトにおけるビジネス成果追求のあるべき姿であると言えます。

 そもそも企業活動の目的は、経済状況や競合会社との関係性、そして社会状況に大きく左右されるものです。そのような中、企業に対しても軽快なフットワークが求められます。時代の変化をいち早く察知し、そこに順応していく努力を怠った企業は置き去りにされかねません。

 それを避けるためにも、時代や状況に見合った成果指標を掲げ、目標に向けて努力を重ね、取り組みが成功だったのか失敗だったのかを客観的に評価し、次の一手を打つということを短いスパンの中で繰り返していく必要があるのです。

PVはビジネス成果か?

 Webサイトのアクセスログ解析においてPV(ページビュー)という項目がありますが、これはビジネス成果でしょうか?

 ページビューとは、あくまでもWebサイト上の個々のページが表示された回数の合計であり、それ以上の意味はありません。そして、その数の大小そのものはビジネス成果となるべき性質のものではありません。

 ページビュー数が増えた時、多くの人は来訪者が増えたと認識すると思います。しかし、この時にWebサイト全体の訪問者数も同時に比べてみなければ一概に来訪者が増えたとは言い切れません。なんらかのSEO施策を実施した後にこのような結果が出ることがあります。この場合、できるだけ長期間の追跡調査を行うことをお勧めします。多くの場合、一時的なものでしばらくたつと、またもとの数値に戻るはずです。この理由は前回(http://thinkit.co.jp/article/822/1/)で述べた通りです。

 ページビュー数を増やす要因はほかにも考えられます。例えば、ユーザーが目的の情報を探し出せずに迷っている時、ログファイルには特定のユーザーのものによる多くのページビューがカウントされるはずです。前回述べましたが、ページビュー数の増加はサーバーへの負荷を高めます。このことが本当に情報を欲しているユーザーへのレスポンス低下という悪影響を及ぼす可能性があることを再度、明記しておきます。

 逆にページビュー数が減った場合、事態が好転したと考えられる場合があります。以前に比べてユーザーが迷わずに目的の情報へと到達できるようになった場合、自然と全体のページビュー数は減るはずです。ユーザーのアクションを促すリンクやボタンの配置を変更した結果、全体のページビュー数が減った場合などは、むしろ歓迎されるべき結果と言えるでしょう。

 ページビューは単体で評価をしても意味がありません。さまざまな角度から複合的に分析することによって初めて意味を持ってくるものであり、ページビューそのものがビジネス成果に成り得るものではないことをご理解いただければと思います。

株式会社キノトロープ
広島大学教育学部卒業。デジタルハリウッド福岡校の講師を経て、2005年にキノトロープ入社。開発部にてECサイトやコーポレートサイトの構築ディレクション、業務系システムのインターフェース設計等に従事。2008年より営業・広報部副部長としてグループ全体の営業窓口・ブランド戦略を担当。http://www.kinotrope.co.jp/

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