本質的なSEOとは

2009年2月9日(月)
中島 公平

成果は数値で定量化すべし

 成果の測定に際して、結果は数値で定量化することを強く推奨します。

 前項で述べた成果指標は多種多様で、評価が難しいでしょう。しかし、測定結果を絶対的なスケールを用いて定量化することによって、明確な差分を取ることが可能になります。この「差分が取れる」という点が最も重要です。

 「差分が取れる」ということは、違いが分かるということです。違いが分かれば、それが成功だったのか失敗だったのかを、誰にでも判断できるようになります。この判断基準のよりどころとするために数値化を行うのです。

 数値化によって、結果の共有が容易になるというメリットもあります。誰にとっても明確で分かりやすい違いがそこから読み取れるため、結果に対する認識の違いが生じることもありません。たとえ、ITの技術知識に乏しい上長であっても数値による報告であれば、結果が良かったのか悪かったのかはすぐに理解してもらうことができるでしょう。

 先述した成果指標の中には数値化が難しいものもあります。例えば業務効率やブランド認知度などです。このような場合は、新たに測定方法を考案することで解決できます。業務効率については単位時間あたりのアウトプットを質・量の両面から評価する評価軸を作成することなどで対応可能ですし、ブランド認知度などは外部調査会社の資料などを利用することも一案です。

 こうして得られた定量的な結果に対する評価によって、次に起こすべきアクション、そして次回に目指すべき目標数値の設定が可能になります。ここが次なる施策のスタートラインとなるのです。

費用対効果の高いSEOを実現するために

 今回の最後に、初めてSEO施策を行うにあたって、差分を取るために必要な作業である「仮説の立案」について説明します。

 仮説とは、文字通り、ある施策を行うにあたりどのくらいの結果が見込めるのかを客観的な根拠に基づいて導く仮定の目標です。

 施策に要する人件費や外注費、そのほかの経費などを可能な限り厳密に試算し、どのくらいの成果が見込めるのかについて、あらかじめ見通しを立てておくことで、実際に結果に対する比較材料として活用することができる、というわけです。

 次に、あらかじめ仮説として見通しを立てた上で、実際の結果と比較します。そして、最終的な結果を定量化した上で評価し、次のアクションを検討するのです。

 この一連のスキーム(枠組み)を確立することが、SEO施策における最も費用対効果の高いアプローチ方法です。この方法をここでは「仮説・検証」スキームと呼びます。あらかじめ立てる見通しが「仮説」、結果との比較が「検証」となります。

 この方法は、一般的にPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルとも呼ばれており、おそらくこちらをご存じの方も多いでしょう。

 SEO施策を通じて費用対効果を得ていくためには、結果が出るかどうかも分からないSEO施策に湯水のようにコストを投入するのではなく、この「仮説・検証」スキームを繰り返し行うことが重要です。

 SEO施策の舞台となるWebサイトとは、成長するメディアです。一度の施策によって良い結果がもたらされなかったとしても、「仮説・検証」スキームを繰り返し繰り返し実行することで、Webサイトは目指すべき姿へと着実に近づいていくことができるでしょう。

 次回はもう1つのSEO対策である「ユーザー視点での情報発信」について詳述していきます。

【参考文献】

生田昌弘/株式会社キノトロープ著『Webブランディング成功の法則55』株式会社翔泳社(発行年:2005)

株式会社キノトロープ
広島大学教育学部卒業。デジタルハリウッド福岡校の講師を経て、2005年にキノトロープ入社。開発部にてECサイトやコーポレートサイトの構築ディレクション、業務系システムのインターフェース設計等に従事。2008年より営業・広報部副部長としてグループ全体の営業窓口・ブランド戦略を担当。http://www.kinotrope.co.jp/

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