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| 株式会社八千代銀行 | ||||||||||||
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2003年5月4日に稼動を開始したオープン勘定系システム「BankingWeb21」の開発で、オブジェクト指向開発ならびにUMLが採用されている。「BankingWeb21」はオープン勘定系システムという名のとおり、NEC、HP、Oracle、BEAなど複数のオープン系ハード/ミドルウェアベンダーの製品で構成されている。 「BankingWeb21」の開発規模は、以下のデータが示すとおり大規模なもので、アプリケーション開発を担当するNECでは、日本、米国、中国、インドといった開発拠点から構成されるGBS(Global Banking System)プロジェクト体制を作り開発にあたっている。 |
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アプリケーション開発では、ソフトウェア資産・業務部品の再利用を可能とすることで、稼動後のプログラム変更や新商品・サービスの開発スピードを高められるようオブジェクト指向を採用した。そしてオブジェクト指向開発における生産性向上のために、UMLモデリング・ツール(Rational Rose)を使ったMDA開発を取り入れている。ただし、業務要件設計までは従来型の構造化手法を採用している。 通常、構造化手法の設計結果を実装時にオブジェクト指向にマッピングすることは困難とされているが、NECでは構造化手法の世界で抽出された業務要件結果をオブジェクト指向の世界へ融合するための工夫として「GBS-TOOL」を開発しRational Roseにアドオンして使用している(図3)。 ![]() 図3:アプリケーション開発工程(構造化設計とオブジェクト指向設計) 出所)NEC「Rational Educational Seminar Part.2 2003年11月5日」 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します) |
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| 多くの成功事例が公開され、共有できるかどうかがカギ | ||||||||||||
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今回できる限り多くの事例を紹介できるよう努力したが、日本で公開されている事例は非常に少ないことを痛感した。そもそも適用案件が少ないことは十分承知していたが、それにしても少な過ぎる。 UMLやオブジェクト指向開発が普及しない理由として「成功体験が少ない」もしくは「成功体験を共有できない」ことが大きな原因のひとつと筆者は考えている。昔からある開発方法論やドキュメント記述は、企業内に長年脈々と受け継がれてきたノウハウであり、先駆者の成功体験を身近に共有することができる。そのため自分が開発プロジェクトを任された場合、何らかのトラブルが発生した場合も、その回避策の手駒を豊富に持った状態でプロジェクトに望むことができる。 しかし、オブジェクト指向開発やUMLを導入するとなるとそうはいかない。成功体験が自分自身に無い、もしくは身近に成功体験をした人間がいない状態でプロジェクトをスタートさせなくてはならない。これは非常に大きなリスクとなる。欧米ではこういった成功体験に基づく事例が豊富に公開されている。日本でもオブジェクト指向開発やUML導入の成功体験を事例として積極的に公開してほしい。 企業によっては、大変な苦労をして成功させた体験をそう易々と公開できない、せっかく取得したノウハウを競合他社に教えたくないと思われる場合もあろう。しかし成功体験が多くの開発者で共有される環境が作られることで、オブジェクト指向開発やUML自体の普及が促進され、ユーザ企業の導入意向も高まり、市場全体を大きくする可能性も出てくる。成功体験を持った企業が、その体験を抱え込んでいては市場は大きくならない。 ユーザ企業の多くはテクノロジーが日進月歩で進化する中、開発方法論やドキュメントだけが旧態依然のままで良いとは考えていない。まずは市場拡大に向けた取り組みに成功体験を役立ててほしいと切に願う。 次回は、今回の事例の内容も踏まえ、UMLを導入することで期待できる効果について解説したい。 |
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