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UML導入に関する考察
第4回:UMLの今後と展開
著者:
野村総合研究所 田中 達雄
2005/8/1
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事例からの考察
前回、UMLを導入することで期待できる効果として以下の2点をあげた。
外部リソースとの情報伝達
国内国外に関わらず、開発生産性の向上を補う手段として外部リソースの活用は不可欠な状況であり、益々増加するソフトウェア開発量を考えると外部リソースの活用は増加する傾向にありそうだ。そういった国内国外の外部リソースとの情報伝達には、曖昧な文章ではなくてモデルベースの情報伝達が相応しく、世界のデファクト標準であるUMLが最も相応しいモデルといえる
MDA機能による開発生産性向上
外部リソースの活用に頼るだけでなく、自社の開発生産性を向上することも必要となる。UMLでモデル化された設計書を自動的にプログラムコードに変換するMDA機能により、以下のような開発生産性における効果が期待できる
自動生成機能によりオウンコーディング量を減らす
自動生成コードの割合を増加させることで品質を均一化し、テスト工数も抑制する
コードと設計書が常に自動的に整合性が確保されるため、仕様変更時の設計書修正工数や、整合性チェックなどの手間が省ける
筆者自身は、UMLはこの2つの効果をより洗練する方向に向かうべきだと考えている。今回はこの2つの効果に焦点を当てて、UMLの今後と展開を考察していく。
UMLを導入することで期待できる効果としてあげた2つの効果は、よく見ればどちらも情報伝達であり、1つは
「人から人への情報伝達」
、もう1つは
「人から機械への情報伝達」
であることが分かる。
図1:2つの情報伝達
出所)野村総合研究所
どちらの情報伝達も、読み手(人もしくは機械)に対して、より多くの情報を、より正確に、伝達できることが望ましい。またMDAに限っていえば、UMLモデリング・ツールなどの製品が伝達した情報を無駄にしない精度(網羅性、完全性、整合性)を持つことが望ましい。
これらのことを踏まえた場合、
「情報伝達能力(表現力)のさらなる向上」
と
「MDA機能の精度向上」
といった方向があげられる。
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
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第4回:UMLの今後と展開
事例からの考察
情報伝達能力(表現力)のさらなる向上
MDA機能の精度向上
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