第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編) (2/4)

BIツール選択に失敗しないために
BIツール選択に失敗しないために

第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
著者:アイエイエフコンサルティング  平井 明夫   2005/6/21
前のページ  1  2   3  4  次のページ
積み上げ計算

   一般的なメジャーの値は最下層から順に加算していくことで上位階層の値が求められます。しかし、平均値や在庫の期首・期末の値などは単純に最下層から順番に積み上げる計算では求められません。分析ツールではこのような値の計算もBIツールの機能としてできなければなりません。

   OpenOLAPの場合以下の7つの方法が選択できます。

Sum 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードのメジャーに相当するカラムの合計値が、そのデータセルの計算値となる
Avg 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードのメジャーに相当するカラムの平均値が、そのデータセルの計算値となる
Max 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードのメジャーに相当するカラムの最大値が、そのデータセルの計算値となる
Min 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードのメジャーに相当するカラムの最小値が、そのデータセルの計算値となる
Count 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードの件数が、そのデータセルの計算値となる
First 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードの内、一番最初のレコードのメジャーに相当するカラムの値が、そのデータセルの計算値となる
Last 対象となるデータセルに含まれる元データのレコードの内、時間ディメンションに相当するカラムの値の内一番最後のレコードのメジャーに相当するカラムの値が、そのデータセルの計算値となる

表3:計算機能

   例えば製品Aの2005年6月のデータセルに含まれる元データのレコードが3件あるとすると、それぞれの方法による計算値は図4のようになります。

OpenOLAPの7つの集計方法
図4:OpenOLAPの7つの集計方法

   これらの計算方法の中でCountは顧客分析で、データセルに含まれる顧客の数を分析するような場合に必要となります。

   First/Lastは在庫分析で、一定期間の最初の値(期初在庫数)や最後の値(期末在庫数)を使用する場合、管理会計で預貯金や売掛金といった資産の残高や借入金、買掛金といった負債の残高を分析する場合に必要となります。これを実際のOpenOLAPの画面で見てみると図5のようになります。

Lastを使用した積み上げ計算の例
図5:Lastを使用した積み上げ計算の例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   このように、積み上げ計算機能は、分析ツールの利用対象となるBIアプリーションの種類を考慮してチェックする必要があります。

   もう1つのチェックポイントとして、ディメンションの下位の階層から上位の階層を計算する場合の集計方法があります。積み上げ計算の方法によっては、必ず最下層から計算しなおさないと正しい値が得られない場合があります。例えばAvg(平均値)の場合でいえば、図6のように1つ下の階層から計算してしまうと、本当に必要な値とは異なった結果が出てしまう場合があります。

誤った平均値の計算の例
図6:誤った平均値の計算の例

   BIツールが採用している処理方式によって、最下層から再計算させると処理に時間がかかりレスポンスが低下しやすい傾向があります。単に可能かどうかだけではなく、このような点も注意する必要があります。

前のページ  1  2   3  4  次のページ


アイエイエフコンサルティング
著者プロフィール
株式会社アイエイエフコンサルティング  平井 明夫
日本DEC(現HP)、コグノス、日本オラクルを経て現職。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。 特に、データウェアハウス、BI、OLAPを得意分野とする。現在、企業業績管理、管理会計などデータ分析ソリューションの短期導入を可能にするテンプレートやパッケージの開発を行っている。


INDEX
第3回:分析ツールの選択〜パワーユーザに必要な機能をチェック(後編)
  メンバーの自由選択と不均一階層への対応
積み上げ計算
  グラフ機能
  Excelとの親和性

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る