実はBCPのルーツは、冷戦の初期、すなわち1950年代にまで遡ります。これは米国の国家機密に属する事項でほとんど公にされていない話なのですが、米国では1950年代から、旧ソ連から核攻撃により国土が大きな被害を受けた際に、少なくとも6ヶ月間耐えられるように、憲法に基づく政府の存続を保障することを目的とした連邦政府存続維持計画(COG:Continuity of Government)が準備されていたそうです。
当時のクリントン米国大統領は、これらのテロ事件を受けて連邦危機管理庁(FEMA:Federal Emergency Management Agency)を連邦政府のCOG活動のための執行機関として位置付け、1998年に憲法に基づく政府の存続(COG)と連邦政府機能の維持(COOP:Continuity of Operation)を保障することを規定した大統領決定指令67号(PDD67:Enduring Constitutional Government and Continuity of Government Operations)を発令しました。
9・11同時テロ事件後、州・地方政府に対しても、テロ対策として既存の防災・危機管理計画の強化が求められるようになってきています。2002年8月に、FEMAは州・地方政府に対して、既存の防災・危機管理計画を強化する一環としてテロ対策を含む全ハザード対応としてのCOOP策定のためのガイダンス(Introduction to State and Local EOP Planning Guide)を発行しました。現在、米国の州・地方政府においても、防災・危機管理計画の一環として、COOPを盛り込んだ包括的な緊急時管理計画を策定することが求められています。