第1回:組織力とは何か (2/3)

組織力
最強の組織を創る!適材適所で最大生産性を実現

第1回:組織力とは何か

著者:ベストソリューション  乘浜 誠二   2007/5/7
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ERPに受け継がれる概念

   従来、日本企業の経営者の間には「組織は経営企画部などの管理部門が決めるものであり、システム部門はシステムだけを構築していればいい」という風潮があった。これは基本的に今現在でも変化していないと考えられる。

   面白いことにERPツールには、このIEの概念・思想は受け継がれており、組織に関して同様の意識がみられる。
ERPツールの概要
図2:ERPツールの概要
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ERPツールには、大きく分けて以下の3つの特徴がある。

  • データが共有できていること
  • 連結決算ができること
  • 多通貨多言語であり、国際会計基準に準拠していること

表1:ERPツールの特徴

   ERPツールの機能は会計・人事・物流の3つがあり、中でも人事は「人事管理」と「人事計画」に分けることができる。国外からやってきたERPツールの人事計画の中には「組織計画」や「適正人員配置計画」といった要件があるが、一部の大手企業以外ではほとんど使われていない。

   一方、日本製の会計パッケージアプリケーションは、日本特有の「修正申告制」を採用しており、会計期内であればデータを遡って削除/追加でき、複数会社の会計処理(裏帳簿)を行える機能を備えている。これの意味するところは、組織計画に重点を置いたERPパッケージ会社は日本には存在しないということである。

   つまり、中小企業の割合が相当数を占める日本では、組織計画がもたらす本来の生産性向上の効果については、まだ気付かれていないのである。


ストックビジネスからフロービジネスへの変革

   経営者は、ここ数年の間で在庫管理の考え方である「SCM(サプライチェーンマネジメント)」の普及による効果を実感しているはずである。

   筆者が所属する会社のクライアントも、システム導入前に8億あった在庫が、計画生産・販売計画のシステム導入によって3億5,000万まで減少し、結果として4億5,000万のキャッシュフローが生まれた。つまり、ストックビジネスからフロービジネスにシフトしてきたのである。

   これは大きな時代の流れであり、DELLのようにインターネットで注文を受けてから生産/納品するような不要な在庫が存在しないというフロービジネスのモデルが増えている。

   筆者はさらにこの現状を推し進め、「HCM(ヒューマンチェーンマネジメント)」という考え方を提唱している。なお、人事コンサルタント用語では「HCM」は「ヒューマンキャピタルマネジメント」である。

HCMのコンセプトと位置づけ
図3:HCMのコンセプトと位置づけ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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株式会社ベストソリューション 乘浜 誠二
著者プロフィール
株式会社ベストソリューション  乘浜 誠二
1982年に中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、エネルギー関連の商社や朝日(現あずさ)監査法人国際事業部を経て、1994年にベストソリューションを設立。システム構築上での業務プロセスの効率化や簡素化などを実践する。現在、NPO日本アクションラーニング協会発起人やNPO日本語表現力協会理事、外資系情報産業研究会副会長、小樽商科大学大学院非常勤講師などを勤める。


INDEX
第1回:組織力とは何か
  日本における組織力の考え方
ERPに受け継がれる概念
  ヒューマンチェーンマネジメントが目指すもの
最強の組織を創る!適材適所で最大生産性を実現
第1回 組織力とは何か
第2回 なぜ、人は会社を辞めるのか

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