TOP>スカウト> 転職で活かせるキャリアについて 転職バーチャル相談室 〜転職成功への近道〜 第2回:SIerから社内SEを目指す(後編) -「これまでのキャリアはどのように評価されますか」 2006/10/12 前のページ 1 2 相談者Bさん 職種:SIer 年齢:30歳 経験年数:6年 現在2次受けのSIerに勤務しているが、様々な案件を通して1つの会社の全体のシステム構築に関わりたいと感じ、今回転職アドバイザーに相談を行った。 株式会社ナインライヴス 転職アドバイザー駒井 卓也氏 1998年、ニューヨークに渡米。ニューヨーク大学SCPSにて映像理論を学んだ後、マンハッタンにある日系不動産会社にてエージェントとして勤務。帰国後は外資系SIPS企業を経て日本オラクルに勤務する。2004年、IT人材に特化したエグゼクティブサーチとして起業し、現在に至っている。 資格は机上論 転職で第1に評価されるのは実務経験です。勉強したことや資格は無駄にはなりませんが、転職でのアピール度は弱くなります。 社内SE=楽、ばかりではない 社内SEの年収は、その会社の業態や業績によって大きく異なります。このため、会社によって仕事内容は大きく異なります。 なぜその会社に入りたいのかをアピール 社内SEとして成功している方はその会社のサービスやプロダクトを愛していて、だからこそ仕事の原動力になっています。 リスクとリターンで目指す会社を探す ローリスク・ローリターンの会社で仕事がしたいのか、ハイリスクでもハイリターンを求めたいかを考えて判断しましょう。 人間関係の転職理由は× 人間関係を転職理由に挙げた場合、それが明らかに客観的なものである以外は同じことを繰り返すと見られがちです。 相談者B氏 これまでの経験を活かした形で転職する場合、どのような企業が考えられるのでしょうか。 駒井氏 物流をやってらっしゃったとのことなので、製造業であるとか、ロジスティックを持っている事業会社がまずあげられます。 相談者B氏 現在、開発で使っている言語はC++がメインなのですが、Javaや.NETの経験が無い点は問題になりますか。 駒井氏 もちろん実務経験が無いのはマイナスですが、面談の際には必ず「興味はありますが、経験としてできませんでした。入社後は必ずキャッチアップします」といったアピールを忘れずに行ってください。 ただ、その時点で企業が求めている人材の枠として、即戦力が欲しいのか、先輩格の下について2〜3年間育てたいのかによって、それがどう評価されるかは違います。できるだけ後者の案件を紹介しますので、それを信じてアピールしてください。 相談者B氏 資格の面では活かせるものはありますか。 駒井氏 社内SEとしてどのプロジェクトに関わるかわからないので「これが」というものは無いですね。簿記の資格があるので、会計系、ERP周りのシステムに関われると良いと思います。 相談者B氏 それ以外というのは難しいでしょうか。 駒井氏 社内SE、情報システム部は転職市場において狭き門という点で、それほど仕事を選ぶ余地はないと考えてください。 相談者B氏 わかりました。では今後取得しておいたほうが良い資格などはありますか。 駒井氏 資格という点ではOracle Database 10g ・ORACLE MASTERを取得することをお勧めします。後はProject Management Professional試験も、今後プロジェクト管理をしていく立場を目指す上で重要ですね。 相談者B氏 社内SEという立場になって、求められていく資質はどのようなものですか。 駒井氏 経験やスキルも重要ですが、今後求められるのはコミュニケーション能力でしょう。これは私が転職をされる方に向けていつも説明している図になります。 図1:これまでのコミュニケーション範囲(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します) SIerをメインに考えた場合、ある程度の規模の基幹システムを導入すると、このようなパートわけになると思います。現在Bさんはプロジェクトマネージャの下あたりの工程を主に担当していると思います。 つまりBさんの場合、日ごろコミュニケーションを対外的にとっているのはプライムのSIerのプロジェクトマネージャだけだと思います。もしくは社内の上司または先輩との会話だけで、外部のスタッフとはまったく話をしていないのではないでしょうか。 相談者B氏 その通りだと思います。 駒井氏 Bさんが社内SEになった場合、下の図のようにコミュニケーション相手はエンドユーザやITコンサルタント、営業担当など非常に広くなります。また、これらの相手とコミュニケーションできる人材を企業が求めているということです。 図2:転職後のコミュニケーション範囲(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します) UNIXやJavaの経験、知識はあくまで基本として必要なだけであって、最終的にビジネスの上でコミュニケーション能力が一番だと思います。さきほど必要な資格としてProject Management Professional試験を勧めましたが、スタッフとコミュニケーションをとり、オンタイムでプロジェクトを管理できる能力も重要となるでしょう。 相談者B氏 コミュニケーション能力は面接で判断されるのですか。 駒井氏 もちろんです。最初に入室した5分間と退出するときの5分間で決まるといってもいいでしょう。社内SEだからといって技術だけをわかっていればいいのではなくて、元気良く「よろしくお願いします」と言ってください。 その際、面接はオーディションだという意識を持って、最高の服を着て、最高の髪型で行ってください。会社には30分前に入り、トイレで何回も髪型をセットして、きちんとした格好かどうか確認しましょう。この人と一緒に働いてもいい、働きたいと思ってもらえるようにアピールしてください。 相談者B氏 転職できた後についてですが、例えば余暇は増えるのでしょうか。 駒井氏 原則的にSIerに比べて社内SEは余暇が多くなりますし、残業も減ることが多いと思います。しかしそれは会社によって異なるので、必ずしも期待しないでおくと良いでしょう。 相談者B氏 年収についてはどうなりますか。 駒井氏 それは株と一緒で、事業の状況によります。そういう意味では社内SEという仕事がどうかというよりは、どの会社を選ぶかで違うと考えてください。 例えば事業会社の社内SEですと、業績が上向きになることで給料が大幅にアップするケースがあります。しかしその面だけ見て、社内SEを目指すのはやめたほうが良いですね。他力本願で給料アップしても、後々苦しむのは自分ですから。 相談者B氏 社内SEはどのようなキャリアアップが期待できるのでしょうか。 駒井氏 まず基本的にSIerから社内SEへの転職はワンウェイだと考えてください。市場ではサービスを提供する側の方が、お客様を相手にする仕事ということで、大変だといった評価になります。 社内SEとして最終的なキャリアはCTOになると思うので、目指す方向はCTOだけで、その会社のIT戦略を構築する人物になることこそがゴールになるでしょう。 企業側が求めているのは、どれだけ自分の手となり足となって働いてくれて、痒いところまで手を届かせてくれる人材です。まずは、その期待に応えられるように頑張ってください。 相談者B氏 ありがとうございました。 前のページ 1 2 INDEX 第2回:SIerから社内SEを目指す(後編) -「これまでのキャリアはどのように評価されますか」 現在の仕事と転職活動の状況について 転職で活かせるキャリアについて 転職バーチャル相談室 〜転職成功への近道〜 汎用系SEからオープンソース系SEを目指す(相談者:28歳SE) 第1回:前編「汎用システムそのものの将来性に不安があるのですが」 第1回:後編「バックオフィスからエンドユーザコンピューティングに転職できますか」 SIerから社内SEを目指す(相談者:30歳SE) 第2回:前編「企業のシステムを1から構築したいのですが」 第2回:後編「これまでのキャリアはどのように評価されますか」 社内SEからゲーム業界SEを目指す(相談者:25歳社内SE) 第3回:前編「やっぱりゲーム業界で働きたいんです!」 第3回:後編「これからのゲーム業界動向とそこでのキャリアアップは?」