第4回:コンペティタの一歩上を行く提案活動 (3/3)

負けないERP
ERPコンサルタントのために

第4回:コンペティタの一歩上を行く提案活動
著者:鍋野 敬一郎   2006/11/17
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機能面や実績で劣ってもコンペに勝つ秘訣

   例えば、圧倒的に多機能で導入実績がある外資系パッケージに対して、機能面や実績で劣るパッケージを提案する場合の対応手段を紹介しましょう。


課題の明確化:本当に必要な機能の絞込み

   ERP商談でよく多機能をうたった説明があるのですが、こうした豊富な機能がすべて必要なお客様は極稀です。ベンダーは巧みな説明によって、お客様の認識を「あればいいな」から「いずれ必要になるに違いない」という思い込みにいつのまにか摩り替えます。

   多機能という目くらましに対抗するためには、本当にお客様が必要としている機能とそのレベルを明確にして、「ここだけで評価すべきである」と論点を絞り込む戦略や、「多機能ということはムダな機能に投資することになり費用対効果は低い」という意識付けを行うという戦略が有効です。


運用性能:サポート体制や継続性の訴求

   ERP導入の狙いは、ERPパッケージでシステムを構築することではないはずです。むしろ導入後のコスト削減やシステム変更の柔軟性など運用フェーズにこそフォーカスすべきだといえます。しかし、システム構築費用が莫大であり、お客様社内の関連部署も多いことから、運用性能の重要性については導入後に気付くというケースが多々あります。

   したがって、ランニングコストの試算についても外資系パッケージがコンペの場合には、英語対応や海外ベンダー動向(M&Aなどによる統廃合や日本からの拠点撤退など)を訴求ポイントとすることが対抗策として考えられます。

   「日本語でサポートがあります」「国内代理店が万全の体制で製品サポートを行います」という話は当然あると思いますが、外資系ベンダーの統廃合などでサービスレベルが下がった場合のリスクも考慮すべきです。

   「外資系ベンダーが本当に御社を重要なお客様として認識しているのか」「お客様ご自身で、万が一に備えたリスク対応が可能か」こういう運用ポイントの整理確認を促す対策があります。特に外資系ベンダーの統廃合は激しいものがあり、実質的に寡占化しています。


ERP商談でコンペに差をつけるために

   ERP商談でコンペに差をつける活動を表1にまとめます。

  1. お客様情報収集を徹底する
  2. アカウントプランを情報共有手段として作成する
  3. コンペ動向を的確に把握し、コンペに合わせた対策を採る
  4. お客様の意志決定者を見抜き、価値観を誘導する

表1:コンペに差をつけるための活動

   以上が、基本的な対策となりますが常に敵を意識しながら戦うというところがERP商談の難しさでもあり、醍醐味でもあります。もちろん勝利したときのビールの味は毎回忘れられません。もっとも筆者はビールよりも日本酒の方が好きなのですが。

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鍋野 敬一郎
著者プロフィール
鍋野 敬一郎
1966年生まれ。同志社大学工学部化学工学科卒業後、米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属しマーケティング責任者などに従事。1998年よりERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職しマーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経てアライアンス本部にてmySAP All-in-Oneソリューション立ち上げを行った。現在はERPベンダーのマーケティング・アライアンス戦略の支援や、ERP導入業者のビジネス活動の支援に従事。


INDEX
第4回:コンペティタの一歩上を行く提案活動
  ERP商談の難しさ
  アカウントプラン作成のコツ
機能面や実績で劣ってもコンペに勝つ秘訣
ERPコンサルタントのために
第1回 負けないERP提案
第2回 ERPの導入によってBRPを提供する
第3回 負けないERP提案のコツ
第4回 コンペティタの一歩上を行く提案活動
ITILを活用したシステム管理
ITILを使ったサービスのすすめ
IT部門のための日本版SOX法対応準備
今やらなければ間に合わないコト
技術力とは何か
第1回 実案件を通して得た技術力とは?
エンジニアからコンサルタントのスキルアップへの道
第1回 コンサルタントとしての心構え
要求をシステム開発に正しく反映させるには
第1回 要求開発とは何か?
第2回 プロジェクトを成功させる秘訣
第3回 プロジェクトの初陣を乗り切る
なぜ今また人財戦略なのか
第1回 これから必要なスキル
第2回 これからの人財戦略

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