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| 発覚した欠陥 | ||||||||||||||||||||||
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「なんだこれ?」あるメンバーが突如声を上げました。そのメンバーのPCの画面をのぞくと「印刷できるものがありません」というExcelのメッセージが表示されていました。 あるExcelファイルを印刷しようとすると、「印刷できるものがありません」というメッセージが表示され、印刷することができませんでした。印刷プレビューを実行しても同様で、問題のExcelファイルを見ても、何の問題もなさそうです。そのメンバーに確認したところ、Microsoft社のサイトでこのメッセージについて調べてみたが、解決できなかったそうです。そこでWebでこのエラーメッセージをキーワードにしてさらに調べました。しかしまだ日本語の情報が少ないため、英語に悪戦苦闘しながらもなんとか解決することができました。 Excelのシートが選択されていない状態で印刷を実行するとこのエラーとなるそうです。そこで、POIでExcelファイルを作った後でシートを選択するようにしたところ、無事エラーが発生しなくなりました。 「よかった」と安堵したのもつかの間、新しい問題が発覚しました。それは"結合したセルを囲む罫線をセットすることができない"、というものです。しかも調べた結果、これはPOIのバグであったため、直すにはPOIのソースを修正する以外ありませんでした。 結合したセルの周りを結合していないセルが囲んでいるのであれば、囲んでいるセルに罫線をセットすることで、結合したセルが罫線で囲まれているように見えます。ただ、悪いことに開発対象のレポートでは、結合したセル同士が隣接しており、かつそれらを囲む罫線をセットする仕様になっていました。 |
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| 仕様の調整に | ||||||||||||||||||||||
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本来であれば、設計段階で使用するライブラリについてその限界を調査し、仕様に適合するかを調査しておく必要があります。仕様に適合しなければ別のライブラリを検討するか、仕様をライブラリに合わせるかを検討する必要があります。しかし、この段階では既に多くの機能でライブラリが使用されており、別のライブラリに変更するということは大きな手戻りとなります。そのため、仕様をライブラリに合わせて変更するよう顧客と調整することになりました。 この調整が一苦労でした。一般的にシステムのユーザは帳票の見栄えにはこだわりを持っています。日々目にするものであり、経営者への提出資料として用いることもあるため、これは当然のことです。そのため最初にこの説明をしたときには、顧客担当者は首を縦には振ってくれませんでした。 私たちは謝罪すると共に顧客の別のキーマンを巻き込み、プロジェクトの現状とライブラリを変更することのリスクを根気強く説明することに加え、POIで可能な範囲で見やすいレポートのレイアウトを提案しました。 この結果、顧客担当者は私たちの提案を受け入れてくださり、何とかこの問題を乗り切ることができました。 |
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| 上流での品質の作りこみが重要 | ||||||||||||||||||||||
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その後いくつかの山はありましたが、当初の予定から3日遅れでカットオーバーを迎えることになりました。読者の皆様の中でも、このような経験をした方は結構多いのではないかと思います。あるいは、このような経験をさせてしまったという反省をしている方もいらっしゃるかもしれません。 要件定義については難しい、ユーザの要件があいまいだ、などとよく言われています。しかし、システムのプロではないユーザがシステム構築のための要件を正確に伝えられることの方が珍しいことです。私たちエンジニアが要件定義のスキルを身につけ、ユーザのあいまいな要件から、品質の高い仕様を作り上げられるようにすることが大切なのだということを、このプロジェクトを通して痛感しました。 |
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