インストール後に行う設定

2006年3月30日(木)
古賀 政純

RHEL4のブートについて

OSをブートするためにはマスターブートレーコード(MBR)が必要です。MBRはディスクの先頭の512byte以内に格納されてなければなりま せん。通常、MBRはOSのインストール時に設定しますが、OS起動後にも可能です。MBRの設定は「/boot/grub/grub.conf」ファイ ルを編集します。主に以下の項目を設定します。

  • 起動するディスク
  • ロードさせたいカーネルの種類とカーネルパラメータ
  • カーネルが読み込む初期RAMディスク名
表3:MBRの主な設定項目

「/boot/grub/grub.conf」ファイルには、起動するディスクがroot(hd0,0)と記述されていまが、これはGRUBからみた場合のディスクの名前であってデバイス名とは異なります。

hd0がどのデバイスを示しているのかを確認するには、「/boot/grub/device.map」ファイルのhd0が記述された行を見ます。

# cat /boot/grub/device.map | grep hd0
(hd0)  /dev/cciss/c0d0

上記のように、現在のGRUBの設定ではhd0が「/dev/cciss/c0d0」を意味しています。「/boot/grub /grub.conf」ファイルにおいて、起動ディスクがroot(hd0,0)と設定されていれば、ブートディスクはローカルディスクの「/dev /cciss/c0d0」から起動することになります。

ProLiantサーバでローカルディスクからOSを起動させる場合、MBRは「/dev/cciss/c0d0」にインストールします。サーバの MBRに障害が発生した場合は「grub-install」コマンドでブートローダを再インストールすることも可能です。

# grub-install /dev/cciss/c0d0

逆にddコマンドを使えば、MBRを消去することが可能です。

# dd if=/dev/zero of=/dev/cciss/c0d0 bs=512 count=1
RHEL4の/boot/grub/grub.confファイル
図1:RHEL4の/boot/grub/grub.confファイル
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

MBRを消去する状況としては、ブレードサーバなどにPXEを使ったブートとKickstartによる全自動ネットワークインストールを行う場合などがあげられます。

通常、ブート順序の初期設定ではNICよりもローカルディスクの方が先に読み込むように設定されていますので、ブートローダが記述されている場合はPXEを使って起動せずに、ディスクから起動しようとします。

従ってMBRを消去しておけば、強制的にPXEからブートさせることが可能となります。ただしMBRを消去した場合はOSが起動しなくなり、大変危険ですので細心の注意を払う必要があります。

再インストールする場合などには適用できますが、MBRを消去する場合は必ずMBR領域をバックアップしておくことを推奨します。

ProLiantサーバの場合は、hpasmとよばれるソフトウェアをインストールすれば、MBRを消去しなくてもhpasmcliコマンドなどに よって、ブートデバイスの順序の変更や、再起動後に1回だけPXEを使ったブートさせるなどの設定が可能になりますので、MBRを削除するような危険な作 業をしなくてもPXEブートによるネットワークインストールができるように設計されています。

今回のキーポイント

今回のキーポイントは次のようになります。

サービスの設定のキーポイント
  • X Window Systemはsystem-config-displayで容易に設定可能
  • 現在のOSのランレベルをrunlevelコマンドで確認し、「/etc/inittab」ファイルで設定
  • ntsysvを使って、不要なサービスが起動しないように設定する
  • GUIを必要とする管理サーバなど(ランレベル5で稼動させる場合が多い)
  • GUIを不要とするブレードサーバなど(ランレベル3で稼動させる場合が多い)
  • ハードウェア時刻を正確に設定しただけでは不十分である
  • HAクラスタではクラスタノードの時刻のズレはシステム障害を招く場合がある
  • システム全体で時刻を同期させるためにはNTPサーバを別途設置する
ブートの設定のキーポイント
  • RHEL4はディスクの先頭512ByteにGRUBブートローダを持つ
  • GRUBブートローダが存在しないとOSは起動しない
  • GRUBの設定ファイルは、「/boot/grub/grub.conf」ファイルである。「/boot/grub/grub.conf」ファイルには起動したいカーネルを記述する
  • 複数のカーネルをインストールしている場合に/boot/grub/grub.confファイルに複数のカーネルのエントリを記述しておき、起動を切り替えることが可能
  • MBRを削除すると、ハードディスクからOSがブートしなくなる
  • MBRを削除するのは、ブレードサーバなどで強制的にネットワークインストールを行う場合に利用される
  • ブレードサーバなどのネットワークインストールにはブレードに搭載されたNICのPXE機能を利用する場合が多い
  • NICのPXE機能を使ってシステムを起動させることをPXEブートと呼ぶ
  • ProLiantの場合MBRを削除しなくても、hpasmと呼ばれるソフトウェアでPXEブート可能
表4:今回のキーポイント
日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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