連載 :
  徹底比較!!ERP

2006年企業アプリケーション導入実態調査

2006年7月25日(火)
田口 佳孝

国産ERPパッケージの躍進

   導入しているERPパッケージの調査項目では、例年SAP、Oracleの2強が1位と2位を保ってきたが、2006年度の調査では第2位に国産のERPである富士通のGlovia-Cが躍進を果たした。

   図2に示すように独SAPの「mySAP Business Suite」が19.3%で1位、2位は富士通の「GLOVIA-C」で10.3%だった。また中小規模システム向けの「SAP Business One」の6.0%を加えるとSAP製品の導入比率は25.3%となり、2005年調査の28.5%と比べ3.2ポイント減少している。

導入済み/導入予定のERPパッケージ製品
図2:導入済み/導入予定のERPパッケージ製品
出典:ERP研究推進フォーラム


   2位の富士通は「glovia.com(製造業向け)、GLOVIA/SUMMIT(会計業務向け)」を加えると15.6%となり、前回を5.5ポ イント上回った。一方、前回2位だったOracle社の「Oracle Applications」についてだが、2006年調査では「E-Business Suite」の状況を尋ねている。この「E-Business Suite」の導入率は7.3%であり、前年調査を3.5ポイント下回った。

   4位は「COMPANY」と「OBIC7」が同率7.0%で並んだ。前年調査に比べると、COMPANYの導入率が0.5ポイントの上昇、 OBIC7は2.7ポイント上昇した。このように見ていくと、2006年の調査では国産パッケージの躍進が顕著となったことがわかる。

   なお1%以上のシェアを占めた製品数は21あり、2005年の17を上回った。これはユーザ企業が国産ERPパッケージを含めた多くの選択肢から、自社の要求に合ったERPパッケージを選択していることがうかがえる。

   国産のERPパッケージの躍進の中、SAPの中堅企業向けERPの「SAP Business One」は、7位(6.0%)につけており、2006年度は海外大手ERPベンダーの中堅企業向けERPパッケージと、国産各社のERPパッケージとの激 戦が予想される。

ERPマーケットの主戦場は、中堅企業にシフト

   ERPの導入状況を売上高別でみると、中堅企業のERP導入が目立つ。300億円〜1,000億円未満の企業で「導入済みで現在利用している」とした回答が32.2%となり、前年調査比で12.1ポイント増加した。

   また、100億円未満の企業でも「導入済みで現在利用している」とした回答が前年調査比13.4ポイント増加、売上高100億円未満の中小規模企業 では「関心なし」とした回答が前年調査比18.6ポイントも減少しており、中小規模企業におけるERPの認知度も急速に上昇しているといえる。

   今年の調査で際立った点は、売上高100億円未満の企業で、ERPに「感心なし」とした回答が、昨年は54.5%であったのに対して、2006年は 35.9%大幅に低下したことである。売上高100億円未満の企業にとっても、ERP本来の持つ企業の全経営資源の最適計画は不可欠のものとなっているこ とを示しているといえる。

   図1に戻るが特に300億円〜1,000億円未満の中堅企業、100億円〜300億円未満の企業の導入率と導入中の数字が堅調である。またERPを 導入の方向で検討・準備中の企業が300億円〜1,000億円未満の中堅企業で8.1%、100億円〜300億円未満の企業で11.2%と今後のERP導 入予備軍としての期待が持たれる。

   2006年度は、300億円〜1,000億円規模の企業にERPパッケージ導入の伸びが予測される。

ERP研究推進フォーラム 常任理事

元日本ガートナーグループ代表取締役。大学卒業後、1971年(財)機械振興協会・技術研究所でCAD/CAMの研究業務に従事。1975年にミシガン州アナーバー市のCAD・CAMのソフトウェアサービス会社へ移籍。その後、EDS-ジャパンの立ち上げ、アウトソーシング、コンサルなどに従事。ガートナーグループの立ち上げを経験。

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