サーバベンダーのイメージ評価
はじめに
本連載も今回で第7回目となったわけであるが、中堅・中小企業のサーバベンダーに対する評価の紹介をもって最終回として締めくくる。
今回紹介するサーバベンダーの評価はあくまでイメージ評価である。つまり企業において今まで使ったことのないベンダー製品であっても、ノーク・リ サーチで指定した9つの項目について、評価してもらった。そのため、厳密な意味でのベンダー評価ではないことを前提に見ていただきたい。
調査プロフィール
本調査は、ノーク・リサーチ所有の企業データベースから抽出した全国の年商5億円以上500億円未満でIAサーバを導入した民間企業約4,000社 を対象に、2006年1月から3月までの期間で郵送アンケートおよびWebアンケートを実施し、その結果有効票931件を回収した。
中堅・中小企業のベンダー評価に大差はなく、全体的に評価は高い
サーバベンダーの評価は、9つの項目についてそれぞれ5段階で、「期待度」(5:大変期待する、4:やや期待する、3:どちらでもない、2:あまり 期待しない、1:全く期待しない)「満足度」(5:大変満足、4:やや満足、3:どちらでもない、2:あまり満足しない、1:全く満足しない)で回答して もらった。
集計方法は、例えば「期待度」では、大変期待する5点、やや期待する4点、どちらでもない3点、あまり期待しない2点、全く期待しない1点を、それぞれの回答数をかけて、合計点を回答数で割るという、加重平均で行った。
「乖離指数」とは「期待度−満足度」のポイントである。これは数値が少ないほど評価度合が高い(期待通りという)ことを意味している。
表1から直感的に判断できる中堅・中小企業のサーバベンダーに対するイメージ評価について、まず全体を総括すると大きく3つの傾向がみえる。
- サーバベンダーに対するイメージ評価の差は小さい
- 中堅・中小企業の「サーバベンダー評価は、やや高い傾向(まあまあ期待通り)」にある
- ただし「期待度よりも満足度が低い」
サーバベンダー別では、期待度でIBMが6項目、NECが3項目、デルが1項目でトップ。満足度ではIBMが6項目、NECが2項目、デルが1項目となっている。乖離指数では8項目でHP、デルが1項目、富士通が1項目でトップとなっている。
あくまでイメージ評価の結果ではあるが、このような結果となった背景について次のことを説明として付け加えることが可能だ。
すなわち、本調査の対象(アンケート送付先)は、IAサーバ導入企業の中でも「基幹系システムのサーバ」を中心とした導入実態調査となっているために、基幹系業務システムに強いサーバベンダーに良い反応を示す傾向が認められる。
つまり対象企業にはオフコン的なシステムが前提にあって、その継続機として現在のサーバシステムにリプレースされていると考えるのが妥当であり、 IBM/NEC/富士通といった基幹系業務システムに強いサーバベンダーが、製品価格を除いた品質面/営業面/サポート面などで高い評価を獲得することに なった。それはベンダー直販でもチャネル販売であっても、基幹系業務システム中心に販売展開しているために同様のことがいえる。
逆にHPやデルは中堅・中小企業に対して基幹系業務システムではなく、情報系システムやネットインフラに豊富な実績を持つ。さらにいえば、HPは大 企業に対して実績を残しており、本調査では相対的に低い評価に見える。ただし製品価格面については、読者も承知の通り両社は高評価を得ている。