レポーティングをはじめとした従来のBI(ビジネスインテリジェンス)製品とともに、業績管理やデータ統合など、包括的なBIソリューションを提供するBusiness Objects。同社の製品戦略やBI市場の動向について、ワールドワイドマーケティングを統括する同社CMOのJuliette Sultan氏に伺った。
— Business Objectsでの役割やミッションを教えてください
Sultan氏:Business ObjectsのCMO(Chief Marketing Officer)およびワールドワイドマーケティング担当のバイスプレジデントとして、マーケティングのあらゆる側面を統括しています。全世界に向けた広告やPRをすべて担当するほか、各地域のデマンドジェネレーションなども展開しています。
Business Objectsという会社について簡単に紹介しましょう。Business Objectsはフランスのパリとアメリカのサンノゼに本社を持ち、特にヨーロッパとアメリカの市場において広く認知されている企業です。1990年の設立以来、一貫してBIの分野でソリューションを提供し続けています。日本市場に関しては、進出して既に10年以上が経過し、「BIと言えばビジネスオブジェクツ」というくらいに浸透してきています。
この15年間に渡り、我々は市場におけるBIの認知度を高めるための様々な活動を行ってきました。2003年に行ったCrystal Decisions買収などを経て事業を拡大し、成長を続けてきました。現在は欧米だけでなく、日本を含むアジア・パシフィック、中東、アフリカといった全世界が我々のターゲット市場となっています。
— なぜ企業においてBIが必要となるのでしょうか
Sultan氏:
大手アナリスト企業であるIDCおよびガートナーによると、現在の企業のITにおいて、BIは最も重要な分野として位置づけられているとの報告があります。この報告からわかるように、企業のIT投資の中でも、セキュリティに次いで大きな投資がBIに対して行われるようになっています。
これまでの10年間、企業が行ってきたIT投資の中心は、いわゆるトランザクションデータベースのシステムでした。例えばOracleやIBMのリレーショナルデータベース、SAPのERPなどがあげられます。つまり、データの蓄積およびトランザクションプロセスの自動化に対して多額の投資を行ってきたわけです。
それが今日では、そのデータベースに蓄積したデータをいかに認識して、いかに活用するかということがより重視されるようになってきました。そこで必要となるのがBIです。
これまでも欧米の企業では、データベースの中にあるデータをレポートとして出力して、それを各部門で活用することは行われていました。部門レベルだけでなく全社レベルで蓄積されたデータをインサイト(洞察)として活用するためには、データの統合が必要となってきます。その前提として、データの「質」も問われます。また企業の業績を正確に把握して意思決定を行うためには、経営層向けのダッシュボードなどを提供するパフォーマンスマネジメント(業績管理)も重要なのです。
こうした企業内のデータ統合や様々なレベルでのデータ活用を実現する強力なインフラとして、我々は包括的なBIプラットフォーム「BusinessObjects XI」をはじめとしたソリューションを提供しています。
— 企業がBIを成功させるために、特にCIOに求められることは何でしょうか
Sultan氏:
企業にとってどのデータが最も重要なのかを、最初の段階でCIOが理解することが必要です。データの統合やKPI(主要業績指標)の測定も、それが本当に重要なデータに対して行われなければ意味がありません。
またCIOという立場の人は、誰がどのデータにアクセスするのかということも、最初に認識しなくてはいけません。
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