Linuxカーネル技術者であるJames Bottomley氏は、SteelEyeのCTOを勤めつつ、Linuxのビジネス利用を推進するOSDLにおいてもTAB委員長という重責を担いっている。OSDLで展開するLinuxコミュニティ支援のための活動やLifeKeeperを中心としたSteelEyeのビジネスについて、そして同氏に話をうかがった。
— OSDLが果たす役割とは何でしょうか
Bottomley氏:
OSDLには多くのベンダーやLinuxディストリビュータが参加しています。たとえ競合の関係にある会社であったとしても、OSDLの中ではLinuxという共通のインフラに対して全員が貢献することができるのです。
OSDLでは先般、新たな活動方針を発表しました。今後は特に、企業におけるLinux/OSS採用の促進とともに、開発者コミュニティの支援に注力していきます。つまり、コミュニティとベンダーの橋渡しの役割をOSDLが担っていこうというものです。Linuxの採用促進は、パートナーシップを通じてのみ可能であるというのが事実です。ですから、このパートナーシップをいっそう深化させ、拡大していく必要があります。
— OSDLの役員として、どのような活動をしているのですか
Bottomley氏:
現在はTAB(Technical Advisory Board)の委員長として活動しています。
OSDLの組織構造は一般的な米国の企業とよく似ています。まず役員会(Board of Directors)があり、そこでOSDLの方向性を決定して、マネジメント層に対して指示が出されます。そして、その方向性の指示を受けたマネジメント層がイニシアチブを実行するという形です。
その中でTABが何をしているかというと、例えば役員会に対してはLinuxコミュニティが今何を考えているのかといったことをインプットし、OSDLにアドバイスをします。またマネジメント層に対しては、具体的な技術プログラムに関するアドバイスなどを提供します。
TABのメンバーは10名で、2年ごとにLinuxカーネルサミットで選出されます。その際には、コミュニティのことをよく理解している人を選び、コミュニティの意見をきちんとした形で反映できるようにしていくことが非常に重要だと思います。
— コミュニティの声をOSDLに反映していく上で特に難しいところはありますか
Bottomley氏:
コミュニティの皆さんは確固たる意見を持っている方が多いので、意見をいただくことに関してはそれほど難しくありません。ただし、その中でまとまった意見を見つけるということは大変です。
TABはコミュニティと直接的に向き合う立場にありますので、コミュニティのことを理解している経験豊富な人材をそこに配置するということが重要になってきます。そしてコミュニティから良い意見を吸い出すことはもちろんのこと、コミュニティを新しい分野へといざなうことも重要な役割の1つです。
|