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踊るエンジニア 〜システム開発現場の風景
踊るエンジニア 〜システム開発現場の風景

第1回:初心者SEと最初のプロジェクト

著者:ビーブレイクシステムズ  鹿取 裕樹   2005/2/25
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はじめに

   プロジェクト、それはソフトウェア業界に新しく入った方にとっては憧れの言葉かもしれません。一方、ベテランの方の中には気が重くなる言葉という方もいらっしゃるかもしれません。

   ソフトウェア業界の仕事はプロジェクトの繰り返しであり、エンジニアはその中で数多くのプロジェクトを経験していくことになります。プロジェクトは常にリスクがつきまとい、そのリスク管理がプロジェクトの成否を分けます。ベテランの方々はご存知かと思いますが、プロジェクトに失敗すると…、連載の初めに書くのは忍びないので、後のお楽しみにさせて下さい。

   この連載では筆者が体験した様々なプロジェクトでの体験談をご紹介します。これからプロジェクトに参加される方はそのための準備として、今プロジェクトに参加されている方は息抜きとして読んでいただければ幸いです。今回は初回ということで、筆者にとって初めてのJava開発プロジェクトについて紹介します。


初めてのJava開発プロジェクト

   私が大学卒業後、最初に勤務したのはパッケージベンダーであり、そのプロジェクトは大規模なものでした。まだ若いこともあり比較的責任の小さい仕事を任されていて、自分が関わっているのはプロジェクト全体の一部分でした。

   しかし、次の会社はできたばかりのJava・オープンソースを用いたシステム開発を行っており、社員の数は少なく、システム規模は数人月のものからあり、受注する案件もその多くは小規模のものばかりでした。

   その中で、いよいよ筆者初のJava開発プロジェクトが決まり、開発メンバーは2人で、筆者がリーダーを行うことになりました。


プロジェクトの概要

   開発するシステムはコンサルティング会社向けの経営管理システムでした。引き合い時のユーザの要望は次のようなものです。

  • コンサルタント個人の実績時間を把握したい
  • コンサルタント個人の収益性を把握したい
  • プロジェクト個々の収益性を把握したい
  • プロジェクトの計画と実績との乖離を把握したい
  • 会社の収益性を把握したい

   この要望を実現するためには図1のようなシステムを提案し、1週間ほどユーザによる検討の結果、めでたく受注に至りました。

提案したシステム構図
図1:提案したシステム構図


   サーバはLinuxのPCサーバを使用して、ソフトウェアはオープンソースプロダクトが中心になり、サーブレットコンテナにTomcat、データベースにはPostgreSQLを使い、これらの上に筆者の会社のフレームワークをのせた環境で開発を行うことになりました。おおよそのスケジュールは要件定義には半月、設計・開発には1ヵ月半、テストには半月、移行には10日で、全体で3ヶ月というものでした(図2)。

初期スケジュール構図
図2:初期スケジュール構図


   このプロジェクトでは、筆者がほとんどの役割をこなすことになりました。開発メンバーは一応2人いるのですが、もう1人は筆者の上司にあたり、別に主担当のプロジェクトを抱えている状況で、筆者のサポートという役割でした。つまり、実質1人でした。

   初めてのJava開発プロジェクトで、すべてを自分ひとりで行うということで、今思うとかなり無理がある体制でしたが、ベンチャー企業とはこういうものであって、多少の無理をしてでもいかなければ成長していけません(念のため、現在はしっかりとした体制でプロジェクトを運営していることを付け加えておきます)。

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ビーブレイクシステムズ
著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ  鹿取 裕樹
オープン系ITコンサルタント。SAPジャパン社にて、ERP導入コンサルティングを行い、そのユーザ企業の現場でJava及びオープンソースの躍動を感じ、それらに興味を持つ。その後、会社を設立。オープンソース及びJavaを用いたシステム提案活動を行い現在に至る。専門分野はSAP R/3と連携するWEBシステムのコンサルティング。


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