第4回:日本企業に必要な人材マネジメント (1/3)

IT戦略と人材マネジメント〜IT効果による人材革命
IT戦略と人材マネジメント〜IT効果による人材革命

第4回:日本企業に必要な人材マネジメント
著者:日本ピープルソフト  小河原 直樹   2005/10/21
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これからの時代に求められる人事部の役割

   これからの日本企業に求められる人材マネジメントとは何か。最も大切なことは経営者が「企業戦略=人材戦略」であることを認識することである。よって、経営者が自社のマニフェストである企業戦略を明確にして、企業戦略を社内で共有・実践するための人材マネジメントが必要になる。

   経営上の様々な課題を突き詰めていくと、最後は「人材」の問題に行きつく。企業の源泉はヒト・モノ・カネであるが、モノとカネを運用するのはヒトである。自社の製品やサービスで他社に対して優位に立つためには「差別化」のための人材投資が必要である。

   しかし人材投資に関する経営者の意欲は高くない。産業能率大学で行なった調査によると、人材に関する費用をコストとして捉えている経営者は全体の76%である。また、競合企業を上回る人材投資を考えていく企業は22%にとどまった。

   欧米に比べても人材投資に対する日本の経営者の意識は低い。産業能率大学の調査では1年間に一人当りの研修費用は、アメリカでは95,285円、ヨーロッパでは99,235円に対して、日本は47,322円と欧米に比べて約半分である(図1)。

人材開発投資の比較(日本vs欧米)
図1:人材開発投資の比較(日本vs欧米)
出典:産業能率大学「人的資源開発における戦略的投資」に関する基礎調査

   これらの結果から、経営者は企業戦略と人材開発の関係をあまり重視してこなかったことがわかる。設備投資やIT化などの「モノ」に対して「カネ」を投資するのは、企業戦略を遂行するためである。同じように「ヒト」に対して「カネ」を投資することも同様なことといえる。すなわち人材投資に見合った効果を得るために、企業戦略にそった人材マネジメントを実践していかなければいけないことを経営者が自覚しなければいけないということだ。

   では、どのようにして企業戦略を遂行する人材マネジメントを策定していけばいいのか。人事部に求められる役割は次の3点である。

  • 企業戦略にそった人事政策の策定
  • 人事政策を現場に委譲するためのサポート
  • 現場での人事政策の運用状況のモニタリング

表2:人事部に求める役割

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日本ピープルソフト社 小河原 直樹
著者プロフィール
日本ピープルソフト株式会社  小河原 直樹
米国Baylor大学大学院国際ジャーナリズム学科卒業後、SAPジャパン(株)にHRコンサルタントとして入社。その後、外資系金融企業で日本及びアジア地域の人事責任者として勤務。現在日本ピープルソフト(株)でHCM Global Product Strategy. Senior Managerとして日本の製品戦略の責任者。


INDEX
第4回:日本企業に必要な人材マネジメント
これからの時代に求められる人事部の役割
  人材戦略と企業戦略
  企業に求められるリーダーの育成〜コンピテンシー・マネジメント
  ネクストソサエティを越えて「サラリーマンという職業の自由化」

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