エンタープライズサーバOS インタビュー

2007年4月15日(日)

Solaris

サン・マイクロシステムズ株式会社
纐纈 昌嗣(こうけつ まさつぐ)氏

大学院修了後、コンピュータメーカーにてミニコン、UNIX サーバのオペレーティングシステムの開発、事業提携、製品計画などに従事。1997年、サン・マイクロシステムズに入社。ソフトウェア、ストレージ、サー ビスの事業に従事。今年7月からプロダクトマーケティング全般を担当。
 
   ここ数年、エンタープライズサーバOSの分野でLinuxが注目されるにつれ、とりわけUNIXが徐々に衰退し、Linuxに取って代わられるよう に論じられることが少なくない。Linuxは確かにPOSIXに準拠したUNIXベースのOSであり、商用UNIXに比較すると遥かにコストパフォーマン スが高い。だからと言って、UNIXはLinuxにすべて置き換えさせられるものなのだろうか。UNIXベンダーの代表として、サン・マイクロシステムズ のプロダクト・マーケティング本部長、纐纈昌嗣氏に話を聞いた。
— Solarisは、エンタープライズサーバOS市場でどのようなポジションにあるのでしょうか。
 
纐纈氏   サンでは、3レイヤーのコンピューティング・システムを想定しています。1つはアプリケーション サーバ、2つ目はデータベースサーバのようなハイエンドでバーティカルな領域のサーバ、そして3つ目はフロントエンド、エッジのサーバです。データセン ターは、これらの3種類のサーバで構成されているのです。サンが考えるSolarisのポジションニングは、この3つのレイヤーのどこでも動かすことがで きるというものです。ですから、アプリケーションサーバとしても使われますし、Webサーバやメールサーバとして使われるエッジでも使われます。また、 ミッションクリティカル性が求められる大企業のデータセンターのサーバとして使われることもあります。このように、あらゆるサーバの領域をサポートしてい るのがSolarisの強みです。

 
— Solarisの新バージョン「Solaris 10」が発表されました。この新しいOSの特徴についてお聞かせいただけますか。
 
纐纈氏   Solaris 10には600を越える新しい機能が追加されていますが、その中でも最大の特長として挙げられるのが、x86プラットフォーム向けのアップデートリリース で実装する予定になっている「Project Janus」です。これは、特にRed Hat Linux Enterpriseを強く意識したもので、Linuxアプリケーションに一切手を加えることなく実行させる技術です。ただ単にネイティブで実行できるだ けでなく、Linuxよりも高速に動作します。

 
— これは、Solaris 10がLinuxディストリビューションの一種としても考えられるようになったと言えるのでしょうか。
 
纐纈氏   いいえ、違います。Linuxディストリビューションは、オープンソースのLinuxカーネルに 各種アプリケーションを同梱してパッケージ化したものです。Solaris 10に実装されるProject Janusは、Linuxカーネルではなく、あくまでもSolarisカーネル上でネイディブに実行する技術なのです。ただし、マーケットは競合すること になるでしょうね。

 
— そのほかには、どんな特徴がありますか。

 
纐纈氏   Solaris 10では、ミッションクリティカルなシステムに求められる機能が多数追加されています。たとえば、システムの性能を低下させる原因になっている問題の所在 を自動的に解明して性能のボトルネックを解決する「ダイナミックトレース」、システムのエラーやトラブルを検知して問題の解析、プロセスの再起動など問題 修復作業を自動的に行う「測的セルフヒーリング」などの機能です。
 
  さらに、ソフトウェア・パーティショニングによってOSの仮想化を可能にする「Solaris コンテナ」では、1つのサーバで稼働する1つのOS上で最大8,000以上のパーティションに区切った仮想OSを構築できます。それぞれの仮想OS環境 は、セキュリティの面においても、障害が発生しても、完全に独立して動作します。これまで、複数のパーティションに複数のOSを導入するようなパーティ ショニング技術はありましたが、1つのOSで完全なパーティショニングを実現できるのはSolaris 10が初めてです。
 
  このほか、アップデートリリースで実装する予定の機能として、従来のUFS(Unix File System)ではなく、運用管理の容易性、データの完全性などを考えて新しく設計したファイルシステム「Solaris ZFS(Zetta Bytes File System)」があります。このファイルシステムでは、128ビット・アドレッシングをサポートし、事実上無限大のサイズを実現します。現在は不要かも しれませんが、将来的にファイルの容量が増えることは間違いないので、それを見越した機能と言えるでしょう。

    なお、Solarisでは、過去のバージョンの100パーセント互換性を実現しているので、Solaris上で構築されたアプリケーションは、すべて確実に稼働します。


 
— Solaris 10は、商用、研究など使用目的にかかわらず無償で提供されるそうですね。
 
纐纈氏   はい。1〜4CPUまでのシステムでは、使用目的を問わず無償で提供します。サンのサイトから ダウンロードすることができるほか、有償のメディアキットも販売します。サポートについては、導入・設定に関するサポートを行う「ベーシック・サービ ス」、土日を除く週5日、12時間の電話サポートとインターネットのeラーニングが受講できる「スタンダード・サービス」、週7日、24時間の電話サポー トとさまざまな技術サービスが利用できる「プレミアム・サービス」の3種類の年額制サブスクリプションサービスを提供します。
 

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