SMB市場におけるLinuxの導入実態
シェアは「Red Hat Enterprise Linux」が圧倒的
Linuxを「すでに使っている」という25.0%のSMBユーザに利用中のLinuxのディストリビューターを聞いたところ、「Red Hat Enterprise Linux」が62.7%と圧倒的、2位は「Turbolinux」(32.9%)、3位は「MIRACLE LINUX」(8.3%)であった。
トップシェアのレッドハットは世界的に強力なベンダーであり、国内でも主要サーバベンダーとのパートナー関係を生かして高いシェアを誇っている。 ターボリナックスは今回のライブドア事件などでメディアに登場する回数は多かったが、レッドハットには大きく離された形で2番手である。ミラクル・リナッ クスは、日本オラクルとの関係、韓国・中国企業とAsianuxを共同開発する合弁会社設立着手が話題であるが、SMBにおけるシェアは10%未満である。
Linuxの主な利用用途はメール/Webサーバ
SMBのLinuxユーザにLinuxサーバの利用用途を聞いたところ、最も多かったのは「メール/Webサーバ」で64.0%、「データベースサーバ」(38.2%)、「ファイアウォール」(23.7%)、「基幹業務サーバ」(11.4%)と続いた。
LinuxはWeb系/情報系サーバとしての導入が主であり、現状では基幹系への導入は進んでいない。Web/情報系サーバならハイスペックなハー ドウェアを必要としないLinuxは魅力的である。しかし、高可用性が求められる基幹系システムへのLinuxの導入は、例えどんなに高いスキルを持って いる技術者がいたとしても、万一の場合のことを考えると安心できない。
SMBにおけるLinux導入への鍵は?
今後SMBへLinuxを浸透させるためにもディストリビューターに次の2点を理解してもらいたい。
価格を明確にする
本来Linuxは「無償かつオープンソース」であることがメリットなはずだ。それにもかかわらず「結局はライセンス料以上にサポート料がとられる」 といった声が聞こえるような状況はよくない。セミナー(セミナーは無償であることが望ましい) を各種開催することで、価格面についての明瞭性を全企業の8割強であるSMBのWindowsユーザにしっかり伝える必要がある。
Linuxを扱えるスキルのハードルを下げる
オープンソースのオープンという言葉があらわすように、Linuxは一部のスキルを持つ、限られた人間だけが満足に使えるOSではなく、普遍的に活用できるようなOSであるとSMBユーザにも認識させる努力をベンダーには心掛けてほしい。
システムを扱う人間全員がベンダーなどが用意した資格認定制度を受け、ハイレベルなスキルがなければ運用できないような状態は望ましくない。Linuxを扱えるスキルのハードルを下げるため、ディストリビューターには是非工夫を凝らしてもらいたい。
これら2点をディストリビューターが理解した上で、はじめてSMBへLinuxが浸透していく可能性が見い出せるだろう。