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隠されたニーズを引き出すXMLデータベース
第1回:その必然と当然
著者:
ピーデー 川俣 晶
2006/1/26
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ビジネス展開と対応していなかったニーズは表裏一体
この連載では良いニュースと悪いニュースを語ることになる。
先に良いニュースとは何かを明らかにしよう。それは、IT業界にはこれから開拓すべき未開の分野が膨大に存在することである。それによって、ベンダーやシステムインテグレータは新しいビジネスを行うことができるし、ユーザはこれまでシステム化できなかった分野の効率化をはかることができるだろう。
そんなに都合の良い話があるのか、といわれそうだがそれは間違いなくそこにある。特にIT化できる処理はすべてIT化済みで、これから何を作っていけば良いのかと考えているようなシステムインテグレータやユーザにとっては、良いニュースといえるだろう。
では、悪いニュースの方を明らかにしよう。それは、これまでのIT業界は業界内外の人々が思っているほど的確にはユーザのニーズに対応できなかったという事実を暴露してしまうということである。これは、特に自分の仕事に誇りを持っている技術者には腹立たしい話だろう。あるいは自社の技術に絶対の自信があるシステムインテグレータには嫌な話かもしれない。
しかしこの良いニュースと悪いニュースは、1つの問題の裏と表を表現しているということに注意を払っていただきたい。従来のIT業界の仕事に抜けている部分があるからこそ、そこに大きな潜在的なニーズが眠っているということなのである。
図1:それは表と裏の関係
そしてその潜在的なニーズを満たす技術こそがXMLデータベースであると考える人たちがいる。筆者もそうではないかと考えている。
本連載では3回に渡って、潜在的なニーズとは何か、XMLデータベースとは何か、どうやってXMLデータベースによってニーズを満たしていくかを語っていく。
では前置きはこれぐらいにして、本題に入ろう。眠っている潜在的なニーズとはいったい何だろうか。
それはどこで間違ったのか?
例えばこういう経験はないだろうか。自分で体験していないまでも、こういう光景を目撃したことはないだろうか。
新システムの提案
ここで、貴方は紙でやり取りされていた様々な書類を電子化する新しいソフトウェア/システムを開発・導入するための担当者になったとするとしよう。このドラマに登場するのは、貴方の他にそのシステムを開発する技術者とシステムを使うユーザの3つの立場である(話を単純化するために、立場をこの3つに絞った)。
最初の手順は、おそらく電子化したい書類を技術者に見せることだろう。すると技術者はこういうかもしれない。
「同じような書類の書式が何種類もあって無駄が多いですね。統一して効率化はかりましょう」
貴方はそれはもっともだと思うかもしれない。確かに筋の通った提案である。ではさっそく、書式の統一を含むシステムの設計を依頼する。
ここで、貴方は運良く仕事のできる優秀な技術者と仕事をしているとしよう。貴方は、まもなく素晴らしいシステムの仕様書を見ることができるだろう。膨大な種類の似て非なる書類は最低限の数の書式に統合され、何の無駄もない効率的なシステムの姿が描かれている。
「これさえあれば、我が社の業務が効率アップすること間違いなし!」
予想外の反発
しかし誰もが喜んでくれると思って社内に発表すると、思いも寄らない抵抗が貴方を押し包む。
「こんなものでは仕事ができない!」「今まで通りの書式を使うようにしろ!」「すぐやめさせろ!」
貴方は慌てて技術者に相談しに行く。だが技術者からは、どんなことでもそれまでのやり方を変えさせようとすれば人間は抵抗するものだから、根気よく説得するしかないと諭されてしまう。
貴方はこれほど素晴らしいシステムをこのまま葬るのは大きな無駄だと思ったので、社内の感情的な反発を誠意ある説得で1つ1つ解消していく。
だが、貴方は最終的に説得不可能な壁に突き当たることになる。
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著者プロフィール
株式会社ピーデー 川俣 晶
株式会社ピーデー代表取締役、日本XMLユーザーグループ代表、Microsoft Most Valuable Professional(MVP)、Visual Developer - Visual Basic。マイクロソフト株式会社にてWindows 3.0の日本語化などの作業を行った後、技術解説家に。Java、Linuxなどにもいち早く着目して活用。現在はC#で開発を行い、現在の注目技術はAjaxとXMLデータベース。
INDEX
第1回:その必然と当然
ビジネス展開と対応していなかったニーズは表裏一体
設計変更
美しい設計
変化を阻む万里の長城