それから、多くのデベロッパーがインハウスで開発を行う場合でも、もう既にオープンソースを十分に活用していたこともあるでしょう。たとえば、現在もMac OS Xの上にオープンソースのコードを乗せて、さらに新たなソフトウェアを創造していくといったことが普通に行われています。そうした技術の醸成感もありました。
それにしても、Mac OS Xの開発を始めたばかりの頃、自分たちは最先端を進んでいるのだという実感がありましたが、実際に製品が世に出てみて、開発者も一般のユーザもこぞってオープンソースを使い始めたのを目の当たりにして、私たちの行ってきたことは正しかったんだな、と改めて実感しました。
ロン氏 それはちょっと違いますね。もともとMac OS Xを開発するにあたって私たちは「次世代における最高のOSを開発しよう」ということをビジョンとして掲げていました。その際には、ターゲットとしてコンシューマだけでなくもちろんプロフェッショナルも想定していましたから。オープンソースへのアプローチはその上でのことです。
事実、クライアントでもサーバでも、「プラットフォーム」としてご判断いただけば、Mac OS Xは実に優れたOSであることがおわかりいただけると思います。Mac OS Xを基盤として、iMacもiTunes Music StoreもiPod miniもすべて成功してきたわけですから、そのことも非常に優れたOSであることの証明といっても過言ではないでしょう。さらに、ハイエンドのMac OS X ServerやPower Macというようなエンタープライズ向けの製品においても、高い成功を収めています。
こうしたことを鑑みると、まず優れたOSであるMac OS Xがあり、その上でオープンソースを活用することで、さらに幅広いユーザに展開できるようになったと考えていただく方が自然でしょう。
Darwin Mac OS Xの基礎部分をオープンソースとして公開するというプロジェクト、またはその基礎部分のこと。この公開により、多くのエンジニアの手によって修正・改良が加えられ、より優れたMac OS Xのコアとして活用されている。また、Mac OS Xのユーザインターフェイスなどを削り、「Darwin(OS)」というオープンソースなコアOSとしての活用も行われている。