日本IBM、ハイブリッドクラウドでサービスの継続性を強化するソフトウェアを提供開始

2014年8月30日(土)

日本IBMは8月28日、IBMの垂直統合型システム「IBM PureApplication System」を管理するソフトウェアの最新版「IBM PureApplication Software V2.0(以下、V2)」の提供開始を発表した。V2では、1つの管理コンソールから複数のPureApplication Systemや複数のデータセンター間で運用するPureApplication Systemに対して、一元的にパターンを配布し管理する機能や、サーバー間のデータ複製などの新機能を実装し、基幹システムに求められる高い可用性、災害対策、保守・運用の効率を向上している。IBMおよびIBMパートナー経由で提供する。

2012年4月に垂直統合型システムのプライベートPaaS基盤として発表したPureApplication Systemは、ビジネス環境の変化に対応した企業戦略を支える迅速なアプリケーション基盤やプライベートクラウドの展開、既存アプリケーション基盤の統合などに利用されている。PureApplication Systemは、システム自動構築技術であるパターンデプロイメント技術を用いてシステムの標準化、自動化を推進し、システムの効率化に効果を生んできた。2014年6月には、PureApplication Systemの技術をオフプレミスでも利用できる「IBM PureApplication Service on SoftLayer」を発表し、パターンによるハイブリッドクラウド環境を提供開始した。

今回発表した「V2」は、PureApplication Systemが提供する専門家の知見を組込んだ可用性や運用保守の柔軟性、サービス継続性をさらに強化し、様々な企業アプリケーションに求められるクラウド環境をシンプルに提供する。また、システムを自動構築するパターン構成も、オープンソース技術や業界標準技術と組み合わせることでカスタマイズの柔軟性が向上する。

「V2」は、以下の機能を拡張している。

・「V2」に新たに実装されたマルチラックデプロイメント機能により、1つの管理コンソールから複数のPureApplication Systemや複数のデータセンター間で運用するPureApplication Systemに対して、パターンを配布し、管理することが可能になる。

・ストレージ仮想化技術であるブロックストレージ機能のサポートにより、作成から破棄に至るデータのライフサイクルとアプリケーションのライフサイクルを分離する。アプリケーションからデータを切り離したり、異なるアプリケーションに関連付けることで、可用性と運用保守の容易性が向上する。また、ブロックストレージの複製により、災害対策を想定した柔軟なシステム構築が可能になる。これらのマルチラックデプロイメントとブロックストレージ機能を活用することで、継続的なサービス提供や災害対策などの連続的な可用性の向上に貢献する。

・「V2」では、既存資産の有効活用を可能とする外部ストレージのサポートや、分散共有ファイルシステム General Parallel File System(GPFS)を構築するGPFSパターンを提供する。さらに、システムの障害と兆候を検知して、IBMのサポートセンターに自動的に連絡するコールホーム機能の提供など、運用保守の効率を高めている。

「V2」では、パターンエンジンを強化し、オープンソース技術であるOpenstack HEATやChefにも対応した。これにより、Heat Orchestration Template (HOT)ドキュメントを利用した展開やChefのオープンソースコミュニティーで開発された多様なChefレシピの利用が可能になり、パターン構築の柔軟性が向上した。


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