EMC、ストレージオートメーションソフトウェアのオープンソース版をリリース

2015年5月13日(水)

EMCコーポレーション(以下、EMC)は、「EMC ViPR Controller(ヴァイパー コントローラー)」をオープンソースで提供する「Project CoprHD(カッパーヘッド)」を発表した。「CoprHD」は、オープンな開発環境をサポートするとともに、非本番環境での利用を前提に「ScaleIO(スケールアイオー)」ソフトウェアを無制限に無償でダウンロード提供する。あわせて「ScaleIO」の今後の機能強化も公開した。

ビジネスをコントロールすると同時に市場ニーズの変化へ即応するイノベーションを維持する上で、オープンソースソフトウェアはエンタープライズ環境の中心的な戦略として重要性を増してきている。オープンソースソフトウェアとオープンな開発環境によって、企業や組織は決まったプラットフォームに縛られることがなくなるとともに、複数のプロジェクトに参加して自社のニーズに合わせてソフトウェアを改変しながら、同じような立場にある開発者たちのコミュニティを最大限に活用できるようになる。商用ソフトウェアの開発者は、開発パートナーのエコシステムを利用することで、自社が使用しているプラットフォームを基盤に、コミュニティの力を背景にしたイノベーションをシミュレートすることができる。

2013年のリリース以来、「ViPR Controller」はベンダーに依存しない、業界をリードするSoftware-Defined Storageオートメーション(自動化)のコントロールポイントとして、ユーザー、パートナー、業界に広く認められ導入されている。ストレージオートメーションソフトウェアの「ViPR Controller」は、EMCおよびサードパーティのストレージを一元化し、シンプルで拡張性に優れたオープンなプラットフォームに変える。EMCは今後も「Project CoprHD」の商用バージョンで、完全なサポートを提供する「EMC ViPR Controller」を販売していく。「ViPR Controller」は、完全に統合された次世代スケールアウトストレージアーキテクチャが不可欠な、第3のプラットフォームアプリケーションの主要なイネーブラとしての役割を果たす。

「Project CoprHD」が生成する「ViPR Controller」のコード(すべてのストレージ自動化機能とコントロール機能)は、すべてコミュニティ主導の開発環境でオープンに利用できる。「Project CoprHD」は来月からGitHubで利用可能になる。ライセンスはMozilla Public License 2.0(MPL 2.0)で提供され、ユーザー、パートナー、開発者、ストレージ ベンダーは「Project CoprHD」の幅広く深い機能と能力にアクセスし、これらの拡張や強化に貢献できるようになる。データセンターにおいて、マルチベンダーストレージ向けの単一のオープンコントロールプレーンとして機能する「Project CoprHD」は、「ViPR Controller」と同レベルの柔軟性、選択肢、セキュリティ、透明性を提供しながら、新しいサービスやアプリケーションを構築する機能を提供する。

EMCのSoftware-Defined Storageおよびストレージ自動化/管理製品の今後の成功にとって、強力な開発者コミュニティの構築は不可欠な要素だ。EMCはこのような開発者コミュニティの構築を強力に支援するため、「Project CoprHD」に貢献しサポートするエンジニアリング/コミュニティ リソースに投資している。さらに、先日EMCは「EMC {code}(Community Onramp for Developer Enablement)」を立ち上げた。「EMC {code}」は、EMCテクノロジーによってオープンプロジェクトとDevOpsイベントに貢献し、DevOpsコミュニティをサポートすることに焦点を当てた技術者のチーム。EMCのオープンソース戦略にとって、「Project CoprHD」と「EMC {code}」は2つの基本要素だ。

「EMC ScaleIO」はソフトウェア専用ソリューションで、既存のサーバーストレージを共有ブロックストレージへと変え、柔軟で高い拡張性のパフォーマンスと容量をオンデマンドに提供することで、IT部門のエンパワメントを実現する。このハードウェアに依存しないソフトウェア定義型の統合ストレージプラットフォームは、エンタープライズレベルの回復性を実現し、ハイパースケール環境をサポートしながら低い運用コストが求められる次世代アプリケーションをサポートできるようにデザインされている。また、スケールアウトサーバーSANアーキテクチャによって、ユーザーは1~2台から数千台のサーバーの環境へとパフォーマンスをリニアにスケールアップさせていきながら成長させることができる。

EMCは、EMCコミュニティネットワーク(ECN)のScaleIO製品コミュニティも発表した。ScaleIO製品コミュニティは、テクニカルサポートやScaleIOのエキスパートへの質問、製品関連ドキュメント、ダウンロード、ユーザーガイド、FAQ、トレーニングなどのインタラクティブな情報交換の場を提供する。ユーザー、パートナー、開発者はこのコミュニティを通じて「EMC ScaleIO」ソフトウェアを無償でダウンロードし、非本番環境で利用できる。時間や容量の制限はない。ユーザーは登録の必要なしに数回クリックするだけで、EMCの哲学を体現する「無償、摩擦なし」のダウンロードを実行できる。ユーザーは本格的な「ScaleIO」環境を無償で構築し、非本番環境で利用できる。その後、本番環境用のライセンスを購入し、アップグレードが可能。

EMCは、基幹業務アプリケーションおよび急成長する大規模インフラストラクチャのエンパワメントを実現する、「ScaleIO」のエンタープライズ向けの機能強化を公開した。

強化された「ScaleIO」は年内に一般提供開始の予定で、第3のプラットフォームアプリケーションを展開しているエンタープライズユーザーとサービスプロバイダの新たなニーズに応える新しい機能を提供する。これらの強化によってエンタープライズレベルの「ScaleIO」の機能が拡張され、IT部門の戦略的優先項目をサポートするとともに、ビジネスのエンパワメントを実現するアプリケーションの可用性を確保する。「ScaleIO」は高可用性、セキュリティ、回復性、サポート性などの分野に対応する新機能を提供する予定。

EMCは、「ScaleIO」の新しい展開オプションと選択肢も明らかにした。ユーザーは「ScaleIO」をEMCからのソフトウェア専用ソリューションとして利用することも、VCEを通じて完全に統合されたハイパーコンバージドラックスケールシステムとして導入することもできる。EMCのSoftware-Defined Storage「ScaleIO」を利用する「VxRack」システムは、業界をリードするVMware vSphereやKVM(カーネルベース仮想マシン)、ベアメタルを含むハイパーバイザーの柔軟な選択肢を提供する。これによって企業およびサービス プロバイダはモバイル、クラウド、分散型ティア2の次世代スケールアウト アプリケーションの展開を劇的に簡素化することが可能になる。


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