PR

ストレージ戦略総まとめーEnterprise Storage Nowレポート

2017年1月26日(木)
鈴木 教之(Think IT編集部)

企業・学術機関のためのストレージ戦略を知ると題したイベント「Enterprise Storage Now」が昨年11月に開催された、主催はownCloudの公式パートナーである株式会社スタイルズ。同社が、昨今のストレージへの関わり方を盛り上げるためリーディングカンパニー各社を集めた、と言うとおり、6社のストレージベンダー・リセラーによる豪華なイベントとなった。各社の講演をダイジェストでお届けする。

ストレージ業界最新動向 -SDS今昔物語-(レッドハット)

冒頭、和田氏はUBERやFacebookなどの企業を紹介し「ソフトウェアをベースにした破壊的なビジネスモデルが登場しているソフトウェアデファインドビジネスの時代だ」と説明。ハードウェアを持たないソフトウェアデファインド(SDx)の波が到来しているとし、レッドハットがTransformationをコンセプトに企業が変わり続ける重要性を説いた。CEOが54%が新しい変化を求めているなどの調査データを示し、時代の変化やビジネスの進化に順応できるストレージが求められている点を強調、これを解決するのがSDS(Software Defined Storage)であると、レッドハット製品としてはGlusterとCephを紹介した。

レッドハット株式会社 プロダクト・ソリューション本部シニアビジネスデベロップメントマネージャー 和田 健一郎 氏

これまではCPUやメモリの性能向上に比べてストレージが足を引っ張ることが多かったが、ここ数年でFlashの登場によって性能が跳ね上がったと振り返る。また、ストレージ分野を4象限に分け、ハイパーコンバージドとしてのBlock Storage、非構造化データを扱うObject Storage、としてそれらをソフトウェアで扱うかハードウェアで扱うかに別れると説明。ストレージにおけるデータ形式には非構造化データが70〜80%を占めており、ここをどう扱うかが重要になる。レッドハットはハイブリッド戦略をとっており、スケールアウトをどう扱うかが製品選定のネックになる。「正しいSDSの選択には、ストレージに加えコンピューティングの機能が必要になってくる」と解説した。

和田氏は最後に「ソリューション志向で、自分たちが何をしたいかにあった実装をしているSDS製品を選ぶのがよい」とアドバイス。また、CERNやYahoo, IncによるCeph、FacebookによるGlusterFSの実装例を紹介し、彼らの導入によって得られたノウハウがすでにフィードバックとして含まれているOSSをベースとした製品をレッドハットの強みだとした。

ハイパースケールストレージ~Sync & Share を支える新しいクラウドストレージの形(富士通)

続いて登壇した富士通の中村氏は、冒頭にストレージ市場の出荷容量予測を示し、5年後には3.6倍の成長を見せていると説明。また、ビジネスモデルやワークスタイルの変化によって、クラウドの占める割合が5年後には20%から40%が高まっている点に触れた。

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部・マネージャー 中村 聡 氏

IDGが発表した第3のプラットフォームである、「モビリティ、ソーシャル、ビッグデータ、クラウド」などの台頭により、今後ますますこれらのサービスに対応したストレージが必要になるが、従来型のRAIDシステムでは、容量拡張、コントローラー性能、データ消失リスク、リプレース時のシステム停止などの問題点をあげた。これらを克服するためにハイパースケールストレージが必要だと提唱した。それを実現するのが、OSSのCephを全面採用した、オブジェクト分散ストレージをSDSアプライアンスである同社の「ETERNUS CD10000 S2」だ。レッドハットの講演でも登場したCephだが、富士通もコミュニティに積極的に参加。アドバイザリーに名を連ね、先日実施されたCeph Daysイベントもオーガナイズしている点を紹介した。

そもそもオブジェクトストレージは、HTTPによるアクセスを前提としたAPI設計、REST APIを用意しているのが特徴。データとメタデータを「オブジェクト」単位で扱うため、ファイルストレージと異なりデータ移動などにも柔軟に対応、また大容量データの管理が可能になるという。Amazon S3互換がほぼ業界標準になっているためクラウドサービス基盤との相性も良い。

「ETERNUS CD10000 S2」の事例として、ownCloudを組み合わせたオンラインストレージを紹介。ビジネス用途にはセキュリティや拡張性などが重要になるが、拡張性においてはゼロダウンタイム、42PBまでの対応を誇る。「富士通のETERNUS CD10000 S2はCeph++という位置付け、Cephの商用利用のために最大限にチューニングを行いもちろんすべて検証済み」とアピールした。同社がスタイルズと検証した30,000ユーザー事例は以下のホワイトペーパーで確認できる。

データ格納先としてのオブジェクトストレージの選択(ネットアップ)

ネットアップ井谷氏のセッションでは、最近ではパブリッククラウドのみの顧客も増えてきている、非構造化データが増大、また既存のシステムのインターネット連携が必要、といった背景を説明し、同社のラインナップのうち今回はオブジェクトストレージ製品群(FASシリーズとStorageGRID)についてを紹介した。オブジェクトストレージの使用用途としてはWebのデータ、企業内のバックアップ、メディアデータなどがあり、NetApp製品の特徴としてはテープへのTiering、クラウドTering、ILMポリシーなどが挙げられる。また、提供方法としてはソフトウェアとアプライアンスの2種が用意されている。

ネットアップ株式会社 システム技術本部コンサルティングSE部 井谷 寛 氏

ownCloudの連携事例では、社内のFASサーバーのデータをソフトウェア的に社外のデバイスから格納できたり、1サイトから他サイトへのネームスペース上でアクセスできる事例などを紹介した。

生まれ変わったEMCとそのストレージラインナップの全貌、そして最新事例で学ぶ一押し最強スケールアウトNAS「Isilon」のすごいトコ(EMCジャパン)

冒頭同氏は、9月7日に合併が完了しDELLテクノロジーズに名称が変更されたことに触れ、ストレージやデータセンター、仮想化などの幅広い領域で業界トップに位置付けられていると同社の優位性をアピールした。今後2020年には、70億人ユーザー、300億デバイス、44ZBデータが必要になるとの調査結果を示し、富士通のセッションでも紹介されたプラットフォーム3の時代だと強調した。インフラベンダーとしては、これまでのプラットフォーム2の資産のコストを削減しながらプラットフォーム3への成長投資が必要になると。プラットフォーム2では、低TCO化が最重要で、プラットフォーム3ではデータの増加、分析などが必要になる。

EMCジャパン株式会社 パートナー営業本部パートナー第二営業部パートナーアカウントマネージャー 稲葉 祐一 氏

ハイパーコンバージド型の、スケールアウト型のNAS製品「Isilon」など、同社は多くの製品ラインアップを揃えているが、構成要素は5つあり、フラッシュ、スケールアウト、ソフトウェアデファインド、クラウド連携、Protectionの5つのキーワードをあげた。例えばFlashにより高パフォーマンスと中長期的にみた低TCOを挙げた、2016年今年はFlashとHDDのTCOが切り替わるFlash元年だとしTCOでみた場合のコストメリットを強調した。

そんななかで今回紹介するのがスケールアウト型のNAS製品「Isilon」だ。SMBなどの旧来からHDFS, RESTなどの様々なデータのプロトコルをサポートする。図研ネットウエイブの岡田氏による事例紹介では、製造業やなどの導入事例を紹介し、20TB〜50PBまでに対応した大容量データを1つのボリュームで提供する、ボリュームコントロールできるRAIDではなく分散ファイルシステム。サービス無停止で容量増設ができデータ移行の必要がないなど特徴を持っている点をアピールした。

図研ネットウエイブ株式会社 営業本部第二営業部営業二課課長 岡田 隆史 氏

Panzuraで実現する高速クラウドファイルサーバー(SCSK)

PanzuraとはAmazon S3、AzureのBLOB、IIJ などのクラウドストレージに対したゲートウエイサーバー。従来のオンプレの使い勝手と同じファイルサーバーとして裏側にクラウドのストレージを接続している。SSDキャッシュによる高速アクセス、スナップショットによるバックアップ、重複排除によるストレージ容量削減、クラウドストレージによる災害対策、暗号化、グローバルなファイルシステム、無停止によるビジネス継続性、ownCloudによるオンラインストレージ連携の8つのメリットを提案した。グローバルファイルシステムの特徴的なのが、クラウドストレージ上に一元管理したものを、世界の各拠点にはPanzuraを設置するだけでメタデータを同期するごとで実現している。クラウドストレージ側への負荷と容量の削減を実現する。

SCSK株式会社 ITエンジニアリング事業本部エンタープライズ第一部 落藤 尚孝 氏
ITエンジニアリング事業本部エンタープライズ第一部 シニアエンジニア 玉川 昇 氏

国内のジャパンネット銀行のCIFS接続を改善した事例では、海外の32拠点間を繋げ大幅にコストを削減したElectronic Artsの事例などを紹介した。デモ環境ではIIJ GIO、Amazon、Azureなど、2拠点で作成したデータがクラウドストレージを通じて同期される様子が紹介された。これらは、データの作成、削除のみではなく、排他制御やスナップショットからの復旧も可能である点をアピールした。

クラウドストレージ活用による次世代ファイルサーバの実現

登壇した南雲氏はIIJのクラウド事業の前進であるIBPSといったIIJの歴史を振り返り、クラウドサービスのIIJ GIOやネットワークサービスのIIJ Omnibusなど、またコンシューマー向けにはモバイルを提供するに至っている。

株式会社インターネットイニシアティブ マーケティング本部アライアンスマーケティング部 南雲 建三 氏

ストレージ業界の動向に関して、2012〜27年にかけて、トラディショナルなストレージから2016年はハイパースケールなストレージに置き換わっていく転換点になると示した。データセンターにおけるサービスプロバイダーのラック数が、個人ユーザーのそれを上回った。

ストレージ業界のトレンドとしては、ハイパースケールなDatriumの一例を紹介、ハイパーバイザー上の仮想アプライアンスをスケールアウトしていくことでIOPSを向上させる、また、クラウド用のストレージゲートウェイ製品市場が立ち上がりはじめるなど、オンプレからクラウドへの移行期であり物理アプライアンスからハイパーバイザー上の仮想アプリケーションに映っていく

オンプレミス型ストレージのメリットは、ソフトウェアのできによって左右される。反対のデメリットとしてはアーキテクチャがロックインされてしまうことを挙げ、IIJの立ち位置としてはクラウド型ストレージの優位点を強調した。クラウド型のオブジェクトストレージは容量単価が安い。クラウドストレージの選定ポイントとしては、I/O性能の下限値のコミット、LANの帯域上限、海外リージョンに分散した場合のレイテンシなどを理解しておくと良い。オブジェクトストレージとしては1ファイル5TBまででファイル数無制限、7円/GBでダウンロード課金なし、パフォーマンスが安定していることや、RestAPIで操作できることなどを強調した。

ownCloudの導入事例、その先の応用について

主催のスタイルズからは矢野氏が登壇、ownCloudの公式パートナーとして活動。2014年からサポートビジネスを開始している、各社との検証やサポートを進めホワイトペーパーも多数公開している。社内から社外へ、また社外からのアップロードについて、マルチデバイス対応したアプリからownCloudサーバーを介することで社内のファイルサーバーに直接データをアップできるようになる。

株式会社スタイルズ ownCloudエバンジェリスト 矢野 哲朗 氏

単純なオンラインストレージだけではない特徴的な活用事例を紹介していく、1つ目はWindowsタブレットによるペーパーレス会議システム、担当者がファイルサーバーにアップロードすることで各端末150台にファイルが同期される。2つ目はCardDAVによるiPhoneアドレス帳連携システム、MDMツールでプロファイルを手動で配布していたものを、ownCloudのアドレス帳アプリを用いて1,000台のiPhoneに同期される。3つ目は請求書の発注システム、これまでメール添付で実施していたものを、アクティビティアプリを用いてファイルに対する操作を記録し、メール通知する機能がある。帳票システムから払い出されたPDFファイルをownCloud側に同期されるとアクティビティアプリで各顧客に自動で通知できる。また、開発事例としてNASアプライアンスから画像認識システムなどを開発中とのこと。

また、ownCloudからフォークしたプロジェクトNextcloudの概要について説明、開発のFrank氏が退職しているがownCloud側も新しいCEOが決まり最新バージョンの9.1版も登場している。Nextcloudのスタンスはすべてオープンソース化、ownCloudのエンタープライズ機能をNextcloudとして実装を進めている。ドイツを中心に採用が進んでいるとのことだ。

Microsoftは本気(マジ)らしい。 – OSSとAzureのちょっと良い関係 –

元レッドハット・現マイクロソフトの藤田氏は、自宅にownCloudを構築するほどのヘビーユーザー。簡単にownCloudを使える環境として同社のAzureを紹介し、他のクラウドサービスとの優位点としてマイクロソフトとしては政府からの要求に対して開示しないコミットメントや、日本の法律に則って日本の裁判で準拠している点を強調した。

日本マイクロソフト株式会社 クラウド&ソリューションビジネス統括本部グローバルブラックベルトセールス部 藤田 稜 氏

マイクロソフトはOSSのユーザーであり、多くのOSSを推している。Azure上の1/3強のインスタンスはすでにLinuxになっており、新規デプロイでは半数以上がLinuxという状況だ。デモではマーケットプレイス上でownCloudを簡単にデプロイする様子を紹介してみせた。

著者
鈴木 教之(Think IT編集部)
株式会社インプレス Think IT編集部 編集長

Think ITの第X代目編集長。新卒第一期としてインプレスグループに入社して以来、調査報告書や書籍(紙/電子)、Webなどさまざまなメディアに編集者として携わる。Think ITの企画や編集、営業活動に取り組みながら、プログラミングやWebマーケティングに関する書籍を手がけている。OSSのRe:VIEWを活用した電子書籍と紙書籍のハイブリッドな出版サービスを構築するなど、プラットフォームやビジネスモデルへの関心も高い。

連載記事一覧

Think IT会員サービスのご案内

Think ITでは、より付加価値の高いコンテンツを会員サービスとして提供しています。会員登録を済ませてThink ITのWebサイトにログインすることでさまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think IT会員サービスのご案内

関連記事