ブレードサーバーの選択基準およびシステム構成のポイント
ブレードサーバーの特長
前回はサーバーを仮想化させる2つの技術を主に解説しました。今回は、ブレードサーバーをどうやって選ぶか、またシステムを構成する際のポイントについて解説します。
すでにご存じの方も多いと思いますが、最初にブレードサーバーとは何かをまとめておきましょう。ブレードサーバーとは、シャーシまたはエンクロージャーとよばれる筐体に複数のサーバーを格納するものです。
シャーシはサーバーラックに搭載することが一般的であり、6Uから12U程度のサイズになります。例えば、7Uのシャーシに14枚のサーバーを導入することができるとします。この計算では、1サーバーあたり0.5Uの面積でサーバーを配置することができ、ラック型サーバーと比べてより高密度にサーバーを配置することが可能です。
ブレードサーバーの特長は、モジュール化されたデザインです。サーバー、スイッチ、電源、冷却ファン、管理モジュールなどに分けられたモジュールがシャーシ内に配置されています。モジュール部ごとに取り外しができるため、システムの追加や障害時の交換などが容易になります。このことは、システム増強時の工数削減や、運用後のダウンタイムの削減に貢献します。
最近ではグリーンITと叫ばれていますが、ブレードサーバーは省電力化に貢献する重要な要素です。電源、冷却ファン、管理モジュールといった、サーバーの機能として関係無い部分をシャーシ内の複数のサーバーで共有することで、ラック型サーバーと比べてより効率の良いシステムになっています。
さらに電力、冷却などのコストを20%程度削減でき、統一された管理モジュールを使用した運用によって、運用コストも下げることができます。また、低消費電力タイプのプロセッサーや半導体ディスク(SSD)などをブレードサーバーに使用することにより、サーバー1台あたりの電力消費量を40%程度減らすことができます。
このように、ブレードサーバーは運用性が高く電力効率の良いプラットフォームとしてユーザーに認識されています。またサーバー統合や仮想化プラットフォーム、クラウド基盤として使用されるケースが多くなっています。結果としてブレードサーバーは、サーバーの分野では最も成長率の高いプラットフォームとなっています。
仮想化に適したブレードサーバーの選択基準
ブレードサーバーは各社から出ていますが、仮想化サーバーの用途として検討する場合に、どのように選択していけばよいのでしょう?ここで選択の基準として3つあげたいと思います。
まず1つめは、「可用性の高いシャーシデザインであるか?」です。
ブレードサーバーを仮想化の用途で使用する場合には、これまで分散されていたサーバーを、1つまたは複数のシャーシ内に統合することが可能です。つまり、1つのシャーシ内で多くのアプリケーションが動作することになります。シャーシが壊れてしまうと、多くのアプリケーションの動作に影響することになります。
例えば、14台のサーバーが1シャーシに入っていて、1台あたり8つのVMが動作していると仮定します。この場合、全部で112個のアプリケーションが1つのシャーシで動作していますが、シャーシに障害が発生すれば、これらのアプリケーションが同時に動作しなくなります。
このため、シャーシ内部では、徹底した冗長化が図られる必要があります。IBM BladeCenterでは、ブレードサーバーへのデータ転送経路、電源供給経路はすべて2重化されています。また、ブレードサーバーがシャーシに接続されるミッド・プレーンとよばれる部品も上下に2重化されています。
また当然ながら、電源装置、冷却ファンについても2重化されています。冷却ファンは、十分な風量を供給でき、かつ必要最小限の個数にするため、2つの冷却ファンで構成されています。IBMのブレードサーバー上には一切の冷却ファンを持っていないので、サーバー上の部品を減らすことができ、連続可用性を向上します。
このように、シャーシ単体において単一障害点(SPOF)を無くすことが、仮想化統合を行う際に重要なポイントとなります。
次に、2つめと3つめの選択基準について解説していきます。