工程/進ちょく管理のツールを比較!
GanttProjectの機能と特徴
今回は、プロジェクトの工程管理や進ちょく管理のニーズに対して、ガントチャート機能を中心に提供しているツールとして、「GanttProject」と「OpenProj」を検証します。
GanttProjectは、Java言語(Swing)を用いて作られている、オープンソースのデスクトップアプリケーションです。原稿執筆時点(2008年9月現在)での最新バージョンは2.0.7です。
主な機能としては、「タスクの階層化と依存関係の設定」「ガントチャート」「リソース負荷チャート」「PERT図の生成」「レポートの出力(PDF・HTMLほか)」「MS-Projectファイルのインポート・エクスポート」「WebDAVを用いたファイルの共有」があります。
ツールのインストールは非常に簡単で、ダウンロードページ(http://ganttproject.biz/download.php)にも、特に複雑な説明はありません。
ツールの初回起動時は、表示されるメニューやメッセージが英語になっています。そのままでも日本語のデータを扱うことは可能ですが、設定画面からツールで使用する言語を変更することができます。
また、デスクトップアプリケーションとしてではなく、JWS(Java Web Start)形式で利用者に配布することも可能です。大勢のプロジェクトメンバーが利用するような場合、ツールの修正やバージョンアップに一斉に対応させられるというメリットがありますが、この場合はGanttProjectのソースコード取得と設定・ビルド作業を行った上、Webサーバーに配置するといった手順が必要となります。開発者向けの情報(http://ganttproject.biz/developers.php)を参照してください。
GanttProjectの利用シーン
ガントチャートを扱うソフトウェアツールとして代表的なものに、Microsoft Office Project(以下、MS-Project)があります。GanttProjectもMS-Projectを意識していますが、「MS-Projectユーザーの80%は、その膨大な機能の中でわずか20%しか利用していない」という主張のもと、あえて「基本的な機能に絞って提供している」ことが特徴です。
機能は非常にシンプルで、ガントチャート機能としてはほぼMS-Projectと同等の機能を実現しています。プロジェクトマネジャーやリーダーがツールを利用するシーンとしては、次の2つが考えられます。
1つ目は、プロジェクト計画時にWBS(Work Breakdown Structure)を作成し、期間を見積もって、リソースをアサインし、スケジュールを作成して展開するまでの道具として使う場合です。
2つ目は、プロジェクト実行時にタスクの進ちょく状況を記録し、計画スケジュールとの差異を把握する(そしてステークホルダへの報告や、課題の対策立案への入力情報とする)ための道具として使う場合です。
このツールにおける「タスク」の設定項目は、WBSおよびスケジュールを計画するのに必要最小限のものに絞られています。プロジェクトごとに必要に応じて項目を追加することも可能ですが、追加項目をチャート上に表示したり、レポートに印刷することは現状ではできないようです。
各タスクに対して、人的リソースを割り当てたのち、その情報をもとにして、リソースチャートでタスク割り当て状況を確認しながら、計画段階での作業負荷を平準化するといった作業が可能です。
現状では、画面での操作性や表示形式のカスタマイズ、カレンダー(休日)の扱い、日本語情報の印刷などいくつか機能的に十分とは言えない点もあるものの、プロジェクトチームメンバーのガントチャート閲覧用ツールとして配布したり、チーム内の進ちょく度の登録ツールとして利用する、といった用途には十分対応が可能です。
MS-Projectとのファイル入出力連携も可能ということになっていますが、連携できる情報が限定されますので、両ツールでの相互運用を考える場合には注意が必要です。
次に、GanttProjectと同様にガントチャートの機能を前面に出しているツール、OpenProjをみていきます。