アイディア溢れる子どもクリエイターが集結! 熱戦を繰り広げたロボットコンテスト「VIVITA ROBOCON 2019 FINAL」レポート
10月6日(日)、Mistletoe of Tokyoにて、「VIVITA ROBOCON 2019 FINAL 」が開催された。本イベント主催のVIVITA株式会社は、⼦どもたちの好奇⼼を実社会で活きるスキルへと成⻑させていくクリエイティブ・コミュニティ。様々な活動を通して、子ども達が⾃分の「無限の可能性」に気づき、世界をより良くする素晴らしいクリエイターやイノベータへと成⻑していく環境を提供している。2017年より子ども達のアイディアから生まれるオリジナルロボット制作コンテンツとして「VIVITA ROBOCON」を展開しており、今回はその4回目だ。
これまでは千葉県の柏の葉にあるVIVISTOP柏の葉のみで開催されてきたVIVITA ROBOCONだが、今回は初の全国大会を実施。夏休みを利⽤して国内5拠点、海外2拠点でロボット製作活動を行い、各拠点で9月に開催された地方予選では子どもを中心に多様な挑戦者のエントリーがあった。全国大会となるVIVITA ROBOCON 2019 FINALでは、全国大会となるVIVITA ROBOCON 2019 FINALでは予選を勝ち抜いた26名と、エキシビジョンに10名の参加者が集結。入賞を目指し白熱した戦いを繰り広げた。
VIVITA ROBOCONは自由度の高いプログラミングによる幅広い作戦展開と創造性が必要になるロボットコンテストで、材料や動力・アイディアに制限はなく、製作者の溢れる発想や工夫を凝らした想い想いのロボットが集結した。
VIVITA ROBOCONのルール
ここで、VIVITA ROBOCONのルールを説明しよう。VIVITA ROBOCONへの参加条件はたったの1つ。「VIVIWARE Cell」をロボットの制御に使⽤すること。ロボットはスタートエリアに収まるサイズなら大きさは問わない。持ち時間は5分間で、競技エリアに設置されたボールの獲得点数で競われる。ボールの点数は位置や色により異なっている。
ロボット開発を強力に
サポートする「VIVIWARE」
VIVITA ROBOCONを支える技術「VIVIWARE」についても説明しよう。
VIVITAWAREには「VIVIWARE Cell」と「VIVIWARE Shell」があり、VIVIWARE Cellはロボットを駆動したり、他のおもちゃを作ったりと、子どもでも感覚的に使えるプロトタイピング型モジュールのこと。ボタンやスライダーなど10種類以上のハードウェアがあり、1つ1つをパズルのように組み合わせて自分だけのロボットを作ることができる。
そして、VIVIWARE Shellは、レーザーカッターなどの図面を出力するためのツールで、タブレット上の操作だけで専門的な知識がなくてもロボットのホイールや車体を自由自在にデザインできる。
出場したロボットはどれもユーモアに溢れていた。滑りやすいボールを時間内に1つでも多く獲得するためアーム部分に滑り止めやスポンジ等が装着されていたり、輪ゴムで獲得したボールが滑らないようにするなどの工夫が施されていた。また、制限時間を有効に使うべく本体にボール収集スペースを備え付けるなど、スタートエリアに戻る時間を節約するアイディアのロボットもあった。
白熱の地方予選と全国大会
なお、9月に日本各地で開催された予選(柏の葉・長岡・滝沢・世田谷・佐川(高知県))と10月6日に開催された全国大会の様子は、Youtube動画から見ることができる。ぜひ、その熱戦の模様をご覧いただきたい。
●9月8日 柏の葉予選(千葉)の様子
●9月21日 長岡予選(新潟)の様子
●9月22日 滝沢予選(岩手)の様子
●9月29日 世田谷予選(東京)の様子
●10月6日 全国大会の様子
●当日配信できなかった、しょうへいさん(柏の葉)が健闘する様子
VIVITA ROBOCON 2019 FINALの入賞作品
多くの熱戦が繰り広げられたVIVITA ROBOCON 2019 FINAL。賞は6つあり、うち2つはエストニアとシンガポールにあるVIVITAの海外拠点から来日したクルー達が選ぶ、エストニア賞・シンガポール賞だ。
エストニア賞
おせしさん(滝沢)の「100%片思い」。歌のフレーズが気に入り、ロボットの名前に採用。車体先端にハートが取り付けられ、その先端には高台のボール取得のため金魚すくいのポイが付いていた。
シンガポール賞
ももぴーさん(柏の葉)の「Candypop」。「とにかく派手に仕上げたかった」という車体のかわいらしさに加え、吸引機構を備え付けた機能には、見た目だけではない女性の強さの部分を感じた。
ベストデザイン賞
ゆうたさん(柏の葉)の「さびれた軽トラ」。年季の入った感じを出すため、エイジング加工の後にサビ加工を施したという。雨よけや運転席など、細部にもこだわりを見せた。
ベストテクノロジー賞
まひろさん(佐川)の「鹿の角もかりたい」。車輪を使っていない6足歩行の鹿ロボットの動きは生まれたての子鹿のようで、会場からは「かわいい!」の声も。「技術賞を狙いたい」という宣言通りの入賞。
特別賞
りくさん(柏の葉)の「ロボ」。取り外し可能なアームや棒により難題である高台やくぼみのボールも難なく取得し満点ゲット。クリア時の制限時間により惜しくも優勝を逃したが、即興でレーザーカッターによる賞状とメダルが作られた。
優勝
ゆうゆうさん(滝沢)の「VIVIさかな」。高台用のボール取得後、アームは潔く切り取られた。精密でスピーディーな操縦さばきで、持ち時間10秒を残しゴール。「嬉しくてたまらないですよ!」という率直な言葉に、会場全体が純真な空気に包まれた。
彼らの姿は
クリエイターそのものだ
安定したロボットの操縦、タイヤ部分にキャタピラを使用して素早い動きの実現や効果的にボールを獲得する吸引機構など、全てにおける大人顔負けのアイディアの数々に驚かされた。持ち時間5分の中、キャタピラが外れたり、ネジのゆるみがあったり、ボールが思うように取れなかったりと、応援サイドがハラハラする場面もあったが、解説の声や周りの空気に流されることなく、競技者たちが落ち着いて操作していた光景は、どこか職人のような眩しさを感じた。
また、競技者の中には自分のロボットをどのように製作したか、資料とともにプレゼンテーションする場面もあり、その資料の出来栄えに筆者は圧倒された。
当日の大会の様子は、Youtubeライブでも放映された。ここで注目したいのは、ハワイ在住の平野湊人(みなと)さん。後日海外向けのYoutube動画配信のため、大会中、なんと英語で実況をしていたのだ。ぜひ、全国大会のYoutube動画の最後に登場する彼にも注目してほしい。
VIVITA ROBOCONの詳細については、VIVITA BLOGも併せてご覧いただきたい。* * *
こども時代から「1つのロボットを作る」という活動の中、想い想いの発想を形にし、共有できる仲間・場があること、そこに加え異文化交流ができることはとても魅力的だと感じた。大会の最後に、VIVITA代表取締役 孫泰蔵氏は「参加しただけで素晴らしい。皆さんがWINNER。今後、VIVITA ROBOCONは世界大会なども開催していきたい。皆さんのクリエイティブな発想を生かし、今後もロボットを作り続けてください」と語りかけた。子どもに限らず、この場を共有した大人も、何か感ずるものや学ぶものがあったのではないかと思う。ぜひ、あなたのお子さんも挑戦されてみてはいかがだろうか。
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